約 969,178 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/4323.html
ゆみ「まさか須賀に麻雀を教わる日が来ようとはな」 京太郎「はは、何言ってるんですかもー」 京太郎「今でも加治木さんには教わってばっかですよー?」 ゆみ「ふっ」 ゆみ「これはこれでいいのかも知れんな…」 京太郎「ん?何がです?」 ゆみ「なんでもない」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/874.html
京太郎「麻雀が好きだから」 京太郎「そんな軽いノリで入った麻雀部…」 京太郎「だがそこは想像を絶する地獄だった」 京太郎「俺は入ったことを後悔し始めていた」 ギスギス編 優希「リーチ!」 優希「一発ツモ!」 優希「8000,4000」 和「……」チャラ 久「……」チャラ 京太郎「……」チャラ 優希「あ~あ」 優希「超偶然だじぇ~」 優希「まさか一局目で倍満なんてね~」 優希「ふぅぅぅ~」 優希「誰も鳴かなくてよかった~」 優希「いや~ほんとに嬉しいじぇ~」 優希「超運がいいじぇ~~」 優希「まあ~」 優希「まだ始まったばかりだし~」 優希「みんな追いつくよね~」 優希「がんばってね~」 和「……」 久「……」 和「それロンです」 和「8000です」 優希「……」チャラ 和「わざわざありがとう」 和「これで私のトップですね」 和「優希はやさしいですね」 優希「チッ」 和「あんれ~?」 和「なんか誰かが舌打ちした気がしますけど…」 和「気のせいですよね!!」 和「優しい優しい優希がそんな事するはず無いですもの!!」 和「いつもいつも私を勝たせてくれる優希がそんな事するはず無いですもの!」 和「ですよね!優希!」 優希「……」 久「はい~それロンンンン~」 和「はい…」チャラ 久「いや~助かった~」 久「さすが和」 久「私の悪待ちに見事ひかかってくれたね~」 久「さすがデジタル(笑)」 和「チッ」 京太郎「あ、あの~ツモです」 京太郎「2000,1000です」 久和優「はあ~」 和「ビギナーズラックって怖いですね~」チャラ 久「てかこの差でその和了りとか何考えてるのか全然わからないわ~」チャラ 優希「さすが初心者だじぇ~」チャラ 久「だからいつまでも初心者なのよ」 優希「ちょっとは勝ちを目指せばいいのに」 和「まあ、京太郎さんには酷な話ですね」 長野県予選決勝先鋒戦終了後 優希「た、ただいまだじぇ~」ガラ 久「ま~予想できたことだし~」 久「あなたを攻めるつもりなんてこれっぽっちもないわ」 久「こうなると思ったから先鋒にしたわけだしね」 まこ「だっる」 まこ「誰かのせいで仕事増えるな」 まこ「まあ、邪魔だからタコスでも食っとけ」 まこ「とりたくないが仇はとっちゃるけぇ」 和「まあ、期待通りですね」 和「優希らしいです」 咲「あ~あ」 咲「私が先鋒になればよかったよ~」 次鋒戦終了後 まこ「……」ガラ 久「あ~あ」 久「期待してたのにな~」 久「まさかの大外れだったなんて」 久「まあ、味噌汁でも飲んでれば?」 久「仕方ない」 久「ワカメの大失敗は埋めておくか」 優希「仇はとっちゃるけぇ(キリ)」 優希「まさか初心者に負けるとは~」 優希「こりゃびっくりだじぇ~」 和「ほんとに大丈夫ですか?」 和「まさかあなたも初心者だったとは…」 和「そんなオカルトあったんですね」 咲「まさかまさかの2連続」 咲「ふたりとも今日は帰ったら?」 咲「頭、じゃなかった」 咲「調子悪いんでしょ?」 中堅戦終了後 久「試合はこれで振り出し」 久「もうちょっと稼いでいてくれてたら余裕のトップだったのにね~」 久「チームメイトが弱いと大変だわ~」 久「あ~しんどかった」 まこ「チッ」 和「チッ」 優希「チッ」 咲「チッ」 副将戦終了後 和「まあこんなものでしょう」 和「パーフェクトにならなかったのは悔しかったですけどね」 久「チッ」 まこ「チッ」 優希「チッ」 咲「チッ」 大将戦終了後 咲「ギリギリだけど勝ち」 咲「だけど驚くことに唯一役満決めたのが私だけなんて」 咲「清澄のレベルを疑うよ」 咲「ほんとにこのチームで全国大丈夫かな?」 咲「私の足は引っ張らないでほしいな」 久「チッ」 まこ「チッ」 優希「チッ」 和「チッ」 京太郎「……」 京太郎(もう嫌だ…) 京太郎(ほんとにやめようかな…) ギスギス編カン シモネタ編 咲「んでさあwwwwww」 和「wwwwww」 久「wwwwww」 まこ「wwwwww」 優希「wwwwwww」 京太郎「……」 咲「それでさぁwwwwww」ボヒッ 咲「てか屁が出たしwwwwwww」 和「くっせwwwww」 久「wwwwwwww」 咲「臭くねーしwwwwww」 咲「てか、ほんとに臭っさwwwwww」 咲「マジで臭いしwwwwww」 咲「わかったwwwwww」 咲「最近便秘気味だからwwwwww」 咲「腹にンコたまってるからだwww」 和「やめれwwww」 久「おなかいたいwwww」 まこ「わしも溜まりまくっとるしwwwwww」 優希「そんな情報要らないしwwwwww」 まこ「前屁こいたら実も出てきたしwwwww」 咲「やめてwwwww」 咲「私も出そうwwwww」 まこ「下着にちょっとついてたしwwwww」 和「あるあるwwww」 久「やめてーwwwwwww」 まこ「てか、いま下着ゴムやばいしwwwwww」 まこ「ずれ落ちそうwwwwwww」 久「誰得wwwwww」 咲「いらねwwwwwwww」 和「須賀君に見せてやればwwwwww」 まこ「お?みるか?wwwwww」 まこ「特別大出血サービスwwwwww」 咲「wwwwwww」 和「wwwwwww」 久「wwwwwww」 優希「wwwwwww」 京太郎「……」 京太郎(マジで勘弁して下さい…) 京太郎(もう嫌だ…) 京太郎(ほんとにやめようかな…) シモネタ編カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3388.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1393065864/ 姫子(部長とのリザベーションが繋がらんくなった……) 姫子(そんかわりに……)チラッ 京太郎「ツモ! 1000・2000!」 姫子「……んんっ!」ビビクン 姫子(な、なんでよりにもよってあいつと……///) ─── ── ─ 花田「すばら!」 仁美「や、やるな」ジュー 京太郎「よーし、次は俺の親ですね」 姫子「……」 美子「……」コトッ 花田「どうでしょう」コトッ 京太郎「リーチ!」 仁美「はやっ」 姫子(い、いやな予感……) 姫子(どんな手ばはっとーと……?) 京太郎「~♪」 姫子「!」 姫子(安めでもマンガン……!?) 姫子「す、須賀! ちょっときてんさい!」グイッ 京太郎「な、なんすか鶴田先輩」 姫子「いいから!」 廊下 京太郎「どうしたんですか?」 姫子「はぁ、はぁ……須賀、あんたわざとやっとーと?」 京太郎「え、なんて?」 姫子「わざとやっとると!? あげん高い手はって……」 京太郎「ああ、昨日言ってたリザべってやつですか?」 姫子「……」コクッ 京太郎「でも俺なにも感じないっすよ。ほんとに俺と先輩が繋がっちゃってるんですか?」 姫子「間違いなかと。須賀があがりよるときだけ、その……ビクッとなるけん」 京太郎「うーん、でも一昨日までは哩先輩と繋がってたんですよね? それがなんで突然俺と……」 姫子「……そげんこと私に聞かれてもわからんばい」 京太郎「じゃ俺はあがらなければいいんですか? それじゃ練習になりませんよ」 姫子「や、安い手なら別によかばい。なんとか耐えられるけん」 京太郎「じゃ細かい手を刻んでいけばいいんですか?」 姫子「……」コクッ 京太郎「……なんとかしてみます」 姫子「よろしゅう頼む」 美子「おかえり」 京太郎「すみません、お待たせして」 仁美「姫子となに話しとーと?」 京太郎「いや、他愛ないことですよ」 仁美「ほほーう」ニヤ 花田「では再開といきましょう」 姫子「……」 京太郎(この局はどうやっても高くなるから降りか……鶴田先輩との約束だし、仕方ないな) 京太郎「……」コトッ 仁美「ポン」 美子「……」コトッ 花田「とおらば!」コトッ 京太郎(……あ、ツモってきちまった) 京太郎「……」チラッ 姫子「……」ジトッ 京太郎(鶴田先輩こっち睨んでるな……降りとくか) 京太郎(……いや、本当にそれでいいのか?) 京太郎(思えば俺、リザベーションってのがどういうもんか聞かされてないんだよなぁ) 京太郎(先輩はさっき『ビクッとなる』としか言ってなかったけど……どういうことだ?) 京太郎「……」ゴクッ 京太郎(すげえ気になる……) 姫子(須賀、なに迷っとる……? はよ捨てない!) 仁美「須賀、どうしたと?」 京太郎「……あ、すみません」パラッ 姫子「!?」 京太郎「ツモで。マンガンです」ニコッ 仁美「おおー、やりおるなぁ」 姫子「……んっ……っ、あぁ!」ビビクン 京太郎「!?」 美子「姫子、どうしたと?」 姫子「っ!///」 姫子「な、なんでもなかと……です」 花田「体調悪いのではないですか? もしかして白水先輩の風邪がうつったとか」 姫子「へ、平気たい……気にせんで」 京太郎「……」 姫子(す、須賀のやつ……!) 姫子「ち、ちょっと来んしゃい!」グイッ 京太郎「お、おおっ!?」 美子「またなんか話があっとーと?」 姫子「すみません、私たち用事あるけん、早引きします」 京太郎「え、」 姫子「失礼します」 ピシャリ 花田「どうしたんでしょう?」 仁美「今日は二人とも様子がおかしか」ジュー 京太郎「ちょ、痛いですって鶴田先輩」 姫子「今のは絶対わざとやりおったとね!?」 京太郎「あ、いやその……」 姫子「約束したばってん!」 京太郎「す、すみません」 姫子「もうしらん!」 京太郎「……」 姫子「……」 京太郎「あの、さっき大丈夫でした?」 姫子「……っ///」 姫子「み、み……見よったと?」 京太郎「えっと……まぁ」 姫子「っ!///」 姫子「ばか! ばかちん!」バンバンッ 京太郎「い、たっ! 痛いですって!」 姫子「っ……ぅう///」 京太郎「あ、あんなになるんすね……」 姫子「う、うるさか!」 京太郎「ほんと悪かったですって」 姫子「反省の色が見えん」 京太郎「じゃあ俺どうしたらいいですか?」 姫子「……須賀は1週間麻雀打つの禁止」 京太郎「えええええっ!」 姫子「えーやない!」 京太郎「ひどいっすよそりゃ……」 姫子「自業自得ばい」 京太郎「わかりましたよ……」 姫子「……」 京太郎「はぁ……」 姫子(い、1週間は長すぎたかいな……?) 姫子「ち、ちゃんと反省しよったらその分だけ早く解除してやらんこともなか」 京太郎「ほ、ほんとですか?」 姫子「……うん」 京太郎「あ、ありがとうございます!」 姫子「べ、別によかばい。ただちゃんと反省しーよ」 姫子「じゃ私はぶちょーのお見舞いいくけん」 京太郎「わかりました。じゃあこの辺で」 姫子「うん」 京太郎「お疲れ様です」 姫子「おつかれ」 スタスタ 姫子「……」 姫子「はぁ……今日はひどい目にあったばい」 姫子「とりあえず部長の顔ば見て安心したい……」 哩ママ「あら、姫子ちゃん。よーきたね」 姫子「こんにちは。哩さんの具合はどげん感じですか?」 哩ママ「だいぶ落ち着いてきとるよ。さ、あがってきんしゃい」 姫子「はい、お邪魔します」 コンコン 哩ママ「哩、姫子ちゃんきよったよ」 哩「姫子が?」 ガチャ 姫子「ぶちょー、大丈夫ですか?」 哩「わざわざすまんな。部活もあったやろうに」 姫子「いいんです。具合どうですか?」 哩「もう熱も下がってきよった。明日か明後日には学校にも行けるやろ」 姫子「ほんとですか? よかったとです……」 哩「……なんかあったと?」 姫子「え、いや……」 哩「私との間に隠し事はなし……そう約束したやろ」 姫子「……」 姫子(でも、さすがに須賀と繋がったことば話すのは……) 姫子「……ぶちょー、なにか昨日から違和感ありませんか?」 哩「違和感? 風邪ひいとるからそりゃあ……」 姫子「そういうんじゃなかとです。例えば私との繋がり……とか」 哩「もしかすっとリザベのことを言っとーと?」 姫子「……」コクッ 哩「そういえば……」 姫子「……部長、私の手ば握ってください」 哩「ああ……」ギュッ 哩「……っ、なして!? 姫子が感じられん!」 姫子「……私もです」 哩「私が肉体的に弱っとるから、繋がりも薄れかかっとるんか……?」 姫子「わかりません……」 哩「くっ……こんなことが起こるなんて」 姫子「ぶちょー……」 哩「姫子……」ダキッ 姫子「……きっと元に戻りますよね」 哩「私が早く身体治せばたぶんな……だからもう少し待てるか?」 姫子「……はい、待ってます」 翌日 姫子(今日も部長は休み……か) 京太郎「おはようございます」 姫子「あ、須賀……」 京太郎「部長どうでした?」 姫子「あ、ああ……まだ治らんって」 京太郎「そうすか……早く元気になるといいっすね」 姫子「うん……」 京太郎「あ、そうだ。俺、昨日のお詫びに作ってきたんすよ」 姫子「え?」 京太郎「特製ゼリーです」 姫子「わぁ……これ須賀が自分で?」 京太郎「はい。これ哩先輩と一緒に食べてください」 姫子「あ、ありがと……」 京太郎「いいえ、昨日は俺もひどいことしましたし」 姫子「……須賀」 京太郎「なんすか?」 姫子「あんた、良いやつやね。私、誤解しちょった」 京太郎「そんな、照れますよ」 姫子「じゃこれもらっとくばい。部長にも須賀からだって伝えとく」 京太郎「はい、じゃあ放課後部室で」 放課後 ガチャ 姫子「どうも」 京太郎「あ、こんにちは」 仁美「お、きよったね。昨日はどうしよったと?」ジュー 姫子「すみません、急に部長のお見舞いに行きたくなりまして……」 仁美「ほーう、まぁよか」 美子「それよりメンツ足りなくて困ってたとこなんよ。姫子も入ってくれる?」 姫子「あれ、でも4人いるんじゃ」 花田「それが須賀くんはしばらく麻雀禁止だとかで」 姫子「あ……」 姫子(昨日の約束律儀に守って……) 仁美「理由聞いても答えてくれん」ジュー 京太郎「はは、いいじゃないっすか。鶴田先輩もきたことですし」 姫子「す、須賀。ちょっと……」 京太郎「はい?」 スタスタ 姫子「……き、昨日のはもうよか。禁止令は解除」 京太郎「けど、俺……」 姫子「今朝ゼリー作ってくれよったろ? あれでもう須賀の誠意は感じとーばい」 京太郎「……ほんとにいいんですか?」 姫子「う、うん」 京太郎「いや、やっぱりいいですよ」 姫子「え?」 京太郎「俺があがるとそのたびに鶴田先輩に負担欠けるわけですし」 姫子「そ、それはそうやけど……」 京太郎「もしかしたら哩先輩が回復したらリザベも元に戻るかもしれません」 姫子「……」 京太郎「それまで我慢しときます。だからゼリーたくさん食べてもらって哩先輩には早く元気になってもらいましょう」 姫子「須賀……」 それから毎朝、須賀は部長のためにゼリーを作ってきてくれた。 放課後にはそれを持って私が部長のお見舞いに行くのが通例と化した。 だが、部長の風邪は一向に治る気配を見せなかった。 そして……。 姫子「……」モゾモゾ 姫子(最近部長と繋がってないせいで……なんというかその……) 姫子「……///」 姫子(よ、欲求不満なんかいな……) 京太郎「……」ペラッ 姫子(須賀はあいからわず部活動の時間は本読んで過ごしとる……) 仁美「ほれ、姫子の番たい」 姫子「あ、す、すみません……」 仁美「?」ジュー 姫子「……」チラッ 京太郎「……」ペラッ 姫子(……須賀に課した禁止令はあと2日……それまで私耐えられるやろか) 京太郎「……ん?」 姫子「うっ……///」 京太郎「どうしたんですか?」 姫子「え、……な、なんでもなか」 京太郎「……」 京太郎(……そろそろか?) ブブッ 姫子「!」ビクッ 姫子(め、メール……? 須賀から??) 姫子「……」 『先輩、大丈夫ですか? 俺も打ちましょうか? 須賀』 姫子「え、なんで……?」チラッ 京太郎「……」ニッコリ 姫子「っ!」 姫子(須賀はなしてこげんこと……) 姫子(! わ、私の心読まれとる!? い、いや、そげんわけなか!) ブブッ 『いいんですか? あと2日、耐えられますか? 須賀』 姫子「……っ///」 姫子(こ、こいじゃまるで……私が禁止令だされとるみたいばい……) ガタッ 姫子「須賀」 京太郎「なんですか?」 姫子「ちょっと」 京太郎「……わかりました」 仁美「どこ行くとー?」 姫子「す、すぐ戻ります」 バタンッ 廊下 姫子「な、なんのつもりと?」 京太郎「? どうしたんですかそんな怖い顔して」 姫子「さっきのメールのことばい!」 京太郎「……」 姫子「まるで私を誘導しよるみたいに……」 京太郎「心外ですね。俺はただ、先輩を心配しただけですよ」 姫子「……っ」 京太郎「どうですか、先輩? 俺に麻雀打って“ほしい”ですか?」 姫子「ぐっ……///」 姫子「最初に優しいフリしたのも嘘やったんか……」 京太郎「嘘だなんてとんでもない。俺はかわいい女の子には平等に優しいですよ」ニコッ 姫子(こげん鬼畜なやつやったなんて……) 姫子「り、リザベーションの特性はどっから聞いたと……?」 京太郎「特性ってなんですか?」 姫子「知っとるくせに……」 京太郎「口で言わないとわからないですよ」 姫子「そ、それは……///」 京太郎「繋がると性的快感を得られるってことですか?」 姫子「っ!///」 京太郎「先日の鶴田先輩の様子を見て、もしやと思いました。そして江崎先輩たちとの会話でなんとなしに探ってみて確信しましたよ」 姫子「……さ、最低な男ばい!」 京太郎「ふふ、本当にそんな口きいていていいんですか?」 姫子「……っ///」 京太郎「もう我慢できないんでしょ?」 姫子「くっ……///」 京太郎「あのメンツ相手なら俺でも倍満くらいは出せますよ」 姫子「……」 京太郎「どうです? 倍満クラスのリザベ……感じてみたくはありませんか?」 姫子「……」 姫子(こ、こんな最低なやつに……ぶちょー、私……) 京太郎「ほら……」サワッ 姫子「っ、ひゃっ!///」 京太郎「はは、敏感すぎですよ。太もも触ったくらいで」 姫子「くっ……!!」 パシンッ 京太郎「……いってぇ……」 姫子「はぁ、はぁ……ゲス野郎!」 京太郎「そんな大声あげたら部室のみなさんにも聞こえますよ」 姫子「全部暴露してやるたい! 今のことも、さっきのことも全部!」 京太郎「はぁ……自分の立場ってもんをわかってないですね」 京太郎「俺との繋がりを断ったら……鶴田先輩、あなたはもう2度とリザベを味わえなくなるんですよ」 姫子「な、なにをデタラメを……! ぶちょーさえ、ぶちょーさえ元気になれば……!」 京太郎「まだ気づかないんですか?」 姫子「……?」 京太郎「彼女も俺と繋がってるんですよ」 姫子「!!」 京太郎「繋がったのはあなたより少し遅かったですけどね」 姫子「まさかもう部長と……っ!」 京太郎「病床の女ってあんなにも落ちやすいんですね、ちょっとびっくりしました(笑)」 姫子「……っ!」 京太郎「まぁ簡単に図解すれば」 姫子―――――――――哩 京太郎「こうだったのが」 姫子―――京太郎―――哩 京太郎「このように俺があなたたちの絆に割り込んだ形で繋がったわけですね。何の因果かは知りませんけど」 姫子「そ、そんな……」ガクッ 京太郎「そもそも風邪がこんなに長引くわけないじゃないですか。あんな安いカモフラージュに騙されるなんて」 姫子「……」 京太郎「もうぶちょーはあなたのことなんか忘れて、俺のリザベでアンアン喘ぐ雌豚になってますよ」 姫子「……っ」ポロポロ 姫子(ぶちょー……毎日手を握り合いましたよね……) 姫子(リザベーションはなくなっても、心の奥底では繋がってるんだって……確かめ合いましたよね……) 姫子「うぅ……ぅ……」ポロポロ 京太郎「さて、鶴田先輩には邪険にされちゃいましたし、俺はそろそろ帰ろっかなぁ……」 姫子「……っ! ま、待って……」 京太郎「……なんですか?」 姫子「ま、待って……ください……」 京太郎「……」 姫子「麻雀……してください……っ」 京太郎「いや、でもさっきはいいって……」 姫子「ご、ごめんなさい……嘘でした……」 京太郎「……」 姫子「……お願い……麻雀して……」 姫子「も、もう……我慢できない……っ」 京太郎「……」ニヤッ 京太郎「わかりました。けど、お願いするならちゃんと言いましょうか」 姫子「えっ……」 京太郎「京太郎君の倍満クラスのリザベーションでビビクンしたいです……って」 姫子「……っ」 京太郎「ほら、早くしましょうよ。先輩たち待たせてますよ」 姫子「……き、京太郎君の……」 京太郎「はい、俺の……なんですか?」 姫子「き、京太郎君の倍満クラスのリザベーションで……」 京太郎「……」ニヤニヤ 姫子「び、び……っ」 姫子「私ばビビクンさせてください……お願いします……」 京太郎「くっくっ……ははははっ!! よく言えました」 姫子「……」 京太郎「じゃあそこのトイレの個室にでも入っててください。このヘッドマイクつけて」 姫子「ま、マイク……?」 京太郎「そこで拾った音声は、この俺がつけてる片耳イヤホンにすべて入ってきます」 京太郎「先輩、聞かせてくださいね? 最高の喘ぎ声を……くく」 姫子「っ」ヒクッ ガチャ 京太郎「お待たせしました」 美子「ずいぶん長かっとーね」 仁美「姫子はどした?」 京太郎「ぶちょーのお見舞いだかなんだかで帰りましたよ」ニコッ 花田「それはすばら。けどカバンを置いていってしまったのはすばらくないですね」 京太郎「俺があとで送り届けときますよ」 花田「京太郎君は優しいですね、すばら!」 京太郎「いやいや、そんなことないですって」 京太郎「それじゃ俺が鶴田先輩の代わりに入りますね」 京太郎(さて……)ゴッ トイレ 姫子「……っ」 姫子(せ、性欲に負けて……あげんことを……) 姫子(一番最低なのは……私ばい……) 姫子「!」 姫子(く、くる……っ!) ――――――――『ロン、3900!』 姫子「あ、ん……っ!!」ビビクン ――――――――『ロン、5200!』 姫子「ひぅっ……! ん……あぁ……///」ビビクンッ ――――――――『ツモ、マンガン!』 姫子「んぁあっ……!! ん……っ……///」 姫子(ダメとぉ……イキすぎて、頭しびれ……っ) 『んぁあっ……!! ん……っ……』 京太郎「……っ」ゾクゾク 仁美「京太郎、今日も調子よかね」 京太郎「ええ……今日は役満でもあがれる気がしますよ、なんて」 花田「それはすばら!」 京太郎「……お、ツモです」パラッ 京太郎「ツモメンタンピン三色ドラ3……」 京太郎「倍満です」ニコッ 姫子「あっ……!! んアっ、……っ、んんっ!!!」ビビクンッ 姫子「はぁ、……あ、ぁ……」ジョワワ 姫子「……っ」 姫子(き、っ……きもちよか……)ビクッ 京太郎「―――お疲れ様でした」 仁美「ぐぬぬ、京太郎の独壇場やったばい」 美子「須賀君、次の秋季大会では個人戦突破できそうたいね」 京太郎「はは、俺には無理ですよ」 京太郎(もとよりそんなものに興味はないんでね……)フフッ 京太郎「じゃ、俺ちょっとトイレ行ってくるんで」 花田「はい、いってらいっしゃい」 ガチャ 京太郎「さて……と」キィイ 姫子「……ぁ……っ」ビビクッ 京太郎「はは……こりゃすごいな」 京太郎「よし、じゃあ今度は俺も気持ちよくしてもらうとするか……」 カン 姫子「ぁ……」 姫子(私……おしっこ漏らして……) 京太郎「ほら、舐めてくださいよ」グイッ 姫子「ごぼっ! がぁ……んっ……」 京太郎「ほらもっと……」 姫子「じゅるっ……れろ……」 京太郎「お、なかなかうまいじゃないですか……もしかして経験あるんですか?」 姫子「んちゅ……っ、あむっ……」 京太郎「ってあるわけないですよね。クソレズだったんですもんねぇ」グイグイッ 姫子「あが……がっ……ご!」 姫子(く、くるしか……!) 京太郎「いたっ……今歯が当たりましたよ」 姫子「ごぼ……っ、ぁ……ご、ごめんなさ……」 京太郎「無駄口叩くヒマあったらもっと気持ちよくしろよこのメス豚!」 姫子「う……っ!」 姫子「じゅるっ……はむ……んっ」 京太郎「あぁ……あ、っ……いきそ」 姫子(えっ……) 京太郎「出しますよ……っ!」ビュルル 姫子「ごほっ……がはぁっ……!」 京太郎「はぁ、はぁ……」 姫子「がはっ……はぁ、っ……はぁ……」 京太郎「あれ、なに吐き出してるんですか?」 姫子「……」 京太郎「今床に吐き出したもの、舐めてください」 姫子「えっ……そ、そいは」 京太郎「いいから早くしろよ!」 姫子「……っ、れろ……ちゅ……うぉえ……」 京太郎「くくく……お、そうだった。先輩たちにメールしとかないと」 京太郎「『下痢ピーなんで先に帰っててください』……っと」 京太郎「さてと……」 姫子「……っ、ぐす……」 京太郎「今度はお返ししてあげますよ」 姫子「……え」 京太郎「胸、出してください」 姫子「う、うん……///」 京太郎「ちいさいっすねぇ……女として恥ずかしくないんすか?」 姫子「ん……ごめんなさい……っ」 京太郎「ま、いいですよ……ほら、どうですか?」コリコリ 姫子「んぁ……あ……よか……すごくよかぁ……///」 京太郎「乳首いじめられて興奮してるんですか?」 姫子「う、うん……私……乳首ばいじられて……興奮しとる……///」 京太郎「変態マゾですね……ほんと」 姫子「へ、へんたい……?///」 京太郎「そうですよ、あなたは年下の男子生徒に乳首もてあそばれて感じる変態なんです」 姫子「んぁ……///」 京太郎「恥ずかしいですよね?」コリコリ 姫子「は、恥ずかしか……んっ……///」 京太郎「恥ずかしいのに感じちゃうんですか?」 姫子「はぁ、ん……か、感じるっちゃ……///」 京太郎「マゾはマゾでも……ドマゾですね」ボソッ 姫子「あぁ……っ///」ゾクゾク 京太郎「……ほら、舐めますよ?」 姫子「んんっ……///」 京太郎「んちゅ……っ、どうですか? 気持ちいいですか?」コリコリ 姫子「あ、あっ……! やばか、やばか……っ///」 京太郎「どうやばいんですか?」 姫子「あ、ああっ……ああああああぁっ!」プシャッ 京太郎「ちょ、……なにひっかけてんだよてめえ!」 姫子「うぁ……ご、ごめんなさぃ! すみません……」ビクッ 京太郎「はぁ……制服濡れちゃいましたよ……」 京太郎「乳首舐められて漏らすとかどんだけですか……ほんと変態マゾですね」 姫子「ひぅ……///」 京太郎「ちょっと見せてくださいよ、先輩のゆるゆるのレズまんこ」 姫子「ぁ……や、ぁ……///」 京太郎「うわ、すごいニオイ……」 姫子「……っ、か、嗅がんといてぇ……っ……///」 京太郎「グショグショじゃないですか」 姫子「あぁ……っ、あ……んん……///」 京太郎「ちょっと指入れてみましょうか」ズボッ 姫子「がぁ……っ、ん……///」 京太郎「ほら、ほら……どうですか?」グチュグチュ 姫子「あっ、あっ……イク……イクっ!」 京太郎「はい、すと~~~~っぷ」 姫子「んぁ……な、なしてぇ……?///」 京太郎「そんなに簡単にイカせるわけないじゃないでしょうが」 姫子「……っ」 京太郎「だって先輩マゾなんでしょ? マゾだったら焦らされた方が興奮するんじゃないですか?」 姫子「……っ、ぐす……」 京太郎「ほら、まんこの筋をなぞってすぅーっと……」 姫子「あぁん……っ……あ、……///」 京太郎「入れてほしいですか?」 姫子「入れてぇ……早く入れてぇ……っ///」 京太郎「ったく、ほんと性欲しか頭にないメス豚の鑑ですね。部長以上ですよ」ズルッ 京太郎「ほら、お望みどおり突っ込んでやるよっ!」ズボボッ 姫子「ひぐぁ!! ああぁ……んぁ……ああんっ!!」 京太郎「ほらぁ、指なんかよりこれが欲しかったんだろ? ああ!?」ギチュギチュ 姫子「は、はぃ……お、おちんぽ欲しかったですぅ……っ!!」 京太郎「ほら、レズまんこ犯される気分はどんなだ!?」ギチギチ 姫子「あぁ、っ、あああっ!!///」 京太郎「ほらぁ、答えろよ!!」 姫子「き、きもちよかぁぁ……あぁん……っ!///」 京太郎「はぁ、ぐっ……」ズボズボ 京太郎(締りがいいな……さすが新品だぜ) 姫子「ぁあ……っ……もっと……もっとズボズボしてぇ!///」 京太郎「っ、こうか?!」 姫子「んっ、んっ……あああぁんっ!!///」 京太郎「くっ……出すぞ!」 姫子「き、キス……キスしてぇ……///」 京太郎「ったく、ワガママビッチだな……んっ」 姫子「んんっ……んぁ……ぅ……!///」 姫子(も、もう何も考えられん……っ) 京太郎「んちゅ……っ、ぁあ……イグっ……!」 姫子「わ、わたしもぉ……!!」 京太郎「ぁ……っ!」ビュルル 姫子「ンぁああぁっ……!!!」ビビクンッ 姫子(す、須賀……のが……私の、中に……) 京太郎「はぁ、はぁ……っ」 姫子「は、ぁ……っ……」 京太郎「どう、でしたか……? はぁ、っ……」 姫子「さ、最高ばい……っ///」 京太郎「……」 姫子「あの……」 京太郎「なんすか?」 姫子「須賀んこと……こいからなんて呼べば……」 京太郎「今まで通りでいいですよ。それともご主人様とでも呼ばせましょうか?」フフッ 姫子「そ、そう頼まれれば……///」 京太郎「どこまでマゾ根性なんですか……いいですよ、別に」 姫子「そ、そいから……」 京太郎「はい?」 姫子「私んこと……姫子って……///」 京太郎「……メス豚」 姫子「ぅ……///」ゾクッ 京太郎「冗談ですよ。姫子」 姫子「う、うれしか……///」 京太郎「単純ですねほんと……」 京太郎「姫子」 姫子「な、なん……?」 京太郎「これから俺が正真正銘の変態マゾ犬にしつけてやるからな」 姫子「う、うん……///」 京太郎「ふふ……」ナデナデ 姫子「す、須賀……キスしてぇ……///」 京太郎「はいはい……んちゅ」 姫子「んぁ……し、しあわせばい……ぁん……っ///」 京太郎(バカな女だ……お前なんて俺のおもちゃの一つでしかないのに……) 京太郎(だけどおもちゃはおもちゃだ。ぶっ壊れるまで愛して遊んでやるからな……)ニヤッ もいっこカン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1825.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1358177535/ 京太郎「買ってくるけど何がいい?」 淡「んーと……キョータローのセンスで」 京太郎「はいよ」ガタ 菫「須賀、あまり淡を甘やかすなよ。すぐに調子に乗るからな」 淡「ヒドーイ!!」 京太郎「いえ丁度買い出しに行こうと思ってたところなんで。先輩達も何か必要なものとかありますか?」 照「お菓子買ってきて。チョコ系」 淡「ダッシュでな!!」 バタン 京太郎「んーと、とりあえず近くの業務スーパーでいいか」 スタスタ... ――――――――――――――――――― ウィーン 「いらっしゃいませー!」 京太郎「必要なものはっと……」ガサゴソ 京太郎「えー、茶葉に月餅にティッシュ箱……それに32ワットの蛍光灯一本にミノーがひとつ……ってなんじゃこりゃ」 京太郎「ミノーってのがよくわからんから、先輩にメールで確認するとして……」ポチポチ 京太郎「よし……他は何とかありそうだな」 京太郎「さて、探しますか」 京太郎「……よし、何とか揃ったな」 京太郎「あとは宮永先輩のお菓子に、淡に頼まれてたジュースか」 京太郎「先輩はいつも棒系のチョコばっか食べてるからな。今回もそれでいいか」キョロキョロ 京太郎「うーんと、ポッ○ーの苺チョコ味か……これだな」ポイッ 京太郎「あとは俺用にマ○ブルチョコも買ってと……」ポイッ 京太郎「淡は……そうだな」 京太郎「お、これなんかいいじゃん! ホットケーキの飲み物だって!」 京太郎「お子様のあいつにはぴったりだな……よし」ポイッ 京太郎「さーて、精算精算っと」 ――――――――――――――――――― 京太郎「あっ、そうだメール」カチャ 京太郎「ふむふむ……わからないから買ってこなくていい、と」 京太郎「了解でっす。すぐに帰ります……っと」ポチポチ 京太郎「よし、んじゃちゃちゃっと戻るか」 スタスタ... ガチャ 京太郎「戻りましたー」 淡「きょうたろーおかえりー! 私の飲み物はっ!?」 京太郎「まぁそう急くな。どうどう」 京太郎「まずは頼まれてたものを先輩方に確認してもらってからな?」 淡「ぶー」 京太郎「先輩、これメモに書いてあったやつひと通り買ってきました」 京太郎「あ、でもミノーってやつが分からなかったんでそれは入ってません」 菫「ああ、照から聞いたよ。たぶんそれは亦野が書いたんだろうな」 京太郎「亦野先輩が……?」 菫「ミノーってのは釣りに使うルアーの名前だそうだ。さっき調べた」 京太郎「そんなのがなんで買い出しのメモに……?」 菫「きっとあいつ自身が買い出しに行く予定で、自分の欲しいものも一緒に買ってこようと思っていたんだろう」 京太郎「あぁ、それでメモに……亦野先輩も案外うっかりですね」 照「……そんなのはいいから早くお菓子」 京太郎「あ、あぁ! すみません……」ガサゴソ 京太郎「茶葉に月餅……これは渋谷先輩ですね」 尭深「あ、ありがとう……」 京太郎「いえいえ……って、うわぁ! いたんですか!?」 尭深「うん……驚かせちゃった……?」 京太郎「い、いえ……大丈夫ですよ」アハハ 京太郎(物静かすぎて、たまに存在を見失うことがあるんだよなー……渋谷先輩って) 京太郎(顔はすげーかわいいけど)ムヘァ 淡「きょうたろー、なに変な顔してんの?」 京太郎「え、あ、いや! してないしてない!」フルフルッ 淡「してたよー! こんな感じでむへぁ……って」 京太郎「こら、マネしない」コツン 淡「痛ったー! ……こんにゃろう、やったなー!」ポカポカ 京太郎「おい、こらやめろって……!」 菫「……ごほんっ!」 京太郎「あっ……」 淡「……き、きょうたろーが悪いんだからねっ!」 京太郎「お前なぁ……」 菫「いいから、淡はそこで黙って座っていろ」 淡「はーい……」ブスッ 菫「須賀は残りを手短に報告しろ」 京太郎「あ、はい! えーっとですね……」 淡「……さっききょうたろー変な顔してたよね? ね、テルー?」 照「お菓子……お菓子早く……」ギュルル 淡「もう、聞いてないしっ」 菫「よし、報告ありがとう。代金はあとで部費から出す」 京太郎「わかりました」 照「終わった……? 京ちゃん、早くお菓子を」 京太郎「あ、ええ! ちょっと待っててください……」ガサゴソ 京太郎「宮永先輩にはこの、苺チョコポッ○ーを買ってきました」スッ 照「うわ、これ新発売の……ありがと、京ちゃん」ビリリ 京太郎「いえいえ」 京太郎(ってさっそく破ってるし) 照「んぐんぐ……」ニコニコ 京太郎(宮永先輩、いつもはあまり感情を表に出さないけど、お菓子食べてる時だけは無防備なんだよなぁ……) 淡「いいなぁ……きょうたろー、私のは!?」 京太郎「え、いやお前はお菓子頼んでねーだろ」 淡「えー! なにそれー! 気が利かないやつぅ!」 京太郎「気が利かねーって……お前にはちゃんと飲み物買ってきてやったよ! ほら!」スッ」 淡「うわぁ、なにこれ! ホットケーキだって! 見て、テルー!」 京太郎(ふぅ……まったく、単純なやつ) 照「おいしそう……私もほしかった」ジー 京太郎「ん……って、えっ!? なんすかその目は?」 照「……私もほしかった」ジー 京太郎「ぅう……い、いやでも、あるのは一つだけですし……」 淡「こらー、きょうたろー! テルーがほしいって言ってるんだから買ってこーい!」 京太郎「なんでお前に命令されるんだよ! ってか、お前がちょっと分けてやればいいじゃん!」 淡「いやだよー! これは私のものっ!」 照「ホットケーキ……」ショボーン 京太郎「ぅぐ……」 京太郎「ああ、いいですよ買ってきますぅ!」 照「ほんと、京ちゃん……?」 淡「さすがきょうたろー! よっ、男前!」 京太郎「ったく、宮永先輩も人使い荒いですよね……」ブツブツ 淡「んじゃー、私も行くー!」 京太郎「って、お前も行くのかよ! なんで!?」 淡「だって、テルーはお菓子ばっか食べてるし、スミレはちょーぼ書いてて相手してくれないし、ヒマなんだもーん!」 京太郎「んじゃお前行ってきて。お金やるから」 淡「なっ、そんなのダメー! なんでそうなるわけー!」 京太郎「だってお前ヒマなんだろ? それに本来は一年であるお前だって買い出し要因なんだからなー?」 淡「なにいってんのっ!? 私レギュラー! きょうたろーはレギュラーじゃないじゃん!」 淡「それにこういうのは男子が率先してやることでしょー!?」 京太郎「っだよその暴論は……ちょっと麻雀がうまいからってよぉ」 淡「ちょっとじゃないし! きょうたろーの百倍だし!」 京太郎「ああ、もうわかったよ! 勝手についてこい!」 淡「やたー! 勝手についてくー♪」ダキッ 京太郎「ちょ、こら離れろって!」 バタン 菫「……はぁ、やっとうるさいのがいなくなったよ」 照「……私は好きだけど。あの二人が騒いでるの」ポリポリ 菫「ふーん、お前は物好きだな」 照「物好き……? そうかも」 照「でも、菫だって今うれしそうにしてる」 菫「なっ……嬉しそうにしてるって、私が?」 照「……」コクッ 菫「そ、そんなことないぞ! ただ……」 照「……ただ?」 菫「いや、須賀もちゃんと馴染んでくれたようで何よりだったな……と」 照「……」 菫「ほら、あいつがうちの高校に転入してきて麻雀部に入ることになったとき」 菫「正直不安だったんだ……あまり実力もない上に、数少ない男子部員だったからな」 菫「けど心配無用だったみたいだ。お前も、それに淡や渋谷も、あいつに気兼ねなく接してくれた」 菫「まぁ淡についてはあまり気にしていなかったというか、予想通りというか……」 照「……ふふ、たしかに」 菫「いずれにせよ、お礼を言いたい。感謝してるよ、二人……あぁ、それに亦野もだな」 照「……ぷっくく」プルプル 菫「お、おい! なんだその笑いは! 人がせっかく……!」 照「……っ、ご、ごめん……でも、どうして菫が感謝してるの……?」プルプル 菫「そ、それは……! その……わ、我が麻雀部の部長としてだな!」 照「……菫も、京ちゃんのこと心配してくれてたんだね」 菫「そ、そりゃあな……?」 照「……っぷ……お、お母さんみたい……」プクク 菫「お、お母さん!? 私が!? あいつの!?」ガタッ 菫「さっきも言ったが私は部長として……って、ちょっとこら待て逃げるな照!」 尭深「……」ズズー 尭深(先輩たちも、十分騒がしいです……) ――――――――――――――――――― 淡「それで、どこにいくのー?」 京太郎「ん? 業務スーパーだけど」 淡「ぎょーむすーぱー? そんなんあったっけ?」 京太郎「ったく、お前ここ地元だろ? 転校してきた俺の方が詳しいってどういうことだよ」 淡「だってここらへん、通学路しか通んないんだもん!」 京太郎「へいへい、そうですか」 京太郎「業務スーパーはなぁ、ここを真っ直ぐ行って信号を左に曲がったすぐのとこにあるんだ」 京太郎「よく叩き込んどけよ? そのちんちくりんな脳みそにな」ヘヘン 淡「なんか一言余計なんですけどっ!」ゲシッ 京太郎「いてっ!」 淡「まったくもう……ふんっ!」プイッ 京太郎「たた……な、なんも蹴るこたぁないだろ」 淡「きょうたろーはデリカシーなさすぎ! もっと女の子にやさしくできないのっ?」 京太郎「優しくしてるよ……お前以外にはな」 淡「なっ! 私にも優しくしろー!」ポカポカ 京太郎「いてっ、痛いってこら……!」 淡「んもうっ!」グイッ 京太郎「お、おわっ! な、なにすんだよ!」 淡「男子ならこうやって女の子をリードするくらいしなきゃダメでしょー?」 京太郎「そ、そりゃ付き合ってる男女の場合だろうが! 腕組みなんて普通やらねーよ!」 淡「なにそれー! じゃ、きょうたろーは私のこと好きじゃないわけ?」 京太郎「なんでそうなる! 俺は、お前の彼氏でもなければ恋人でもないって言ってんの!」 淡「ひっどーい! 京太郎は私のことなんか眼中にないんだー! うえーん!」 京太郎「ウソ泣きすんなウソ泣き」 淡「むっ……と・に・か・く!」 淡「今日は、私とデートってことでエスコートしてもらうから!」 京太郎「買い出しがデートかよ!」 淡「いいからいいから、ほら行くよっ!」 京太郎「おい、こら引っ張んなって!」 京太郎(はぁ、俺の初デートが……ってなに俺も乗り気になってんだよ! こんなのデートのうちに入んないだろ!) 淡「ふんふん♪」 京太郎「……」 京太郎(……入んないよな?) ――――――――――――――――――― 京太郎「よし、早めに戻るか」 淡「ええー! ちょっと寄り道してこーよ!」 京太郎「いやマズいだろ。宮永先輩だって待たせてるんだし」 淡「むぅ……じゃあいいよ」ブスッ 京太郎「……」 京太郎(こいつ……ほんと子供みたいにワガママだよなぁ) 京太郎「はぁ……じゃあ少しだけな?」 淡「えっ……?」 京太郎「少しだけなら、寄り道……してやってもいいぞ」 淡「……!」 淡「きょうたろー、大好き!」ダキッ 京太郎「ちょ、こら引っ付くなって!」 ガランゴロン! 淡「……ん? 何の音?」キョロキョロ 京太郎「さぁ?」 ??「……っ」ダダッ 京太郎「ん、あれは……」 京太郎(……咲? ……いやまさかな。あいつがこんなところにいるわけ……) 淡「? どうしたの、きょうたろー?」 京太郎「いや、なんでもない」 京太郎「んじゃささっと回って帰るぞ」 淡「なっ! ささっとじゃダメー!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「それじゃ、お疲れ様です!」 菫「ああ、お疲れ」 照「お疲れ様……京ちゃん、ミルクセーキありがとうね」 京太郎「ああ、どういたしまして」 淡「んじゃ帰ろー! テルー、スミレ!」 京太郎「淡、あんまし先輩方に迷惑かけんなよ?」 淡「なっ、人をなんだと思ってるのー!?」 京太郎「幼稚園児」 淡「なにおーっ! このこの!」ポカポカ 菫「ほら淡、さっさと帰るぞ」グイッ 淡「わわっ! ちょ、待ってよスミレ!」 ズルズル... 淡「明日覚えてなさいよー! きょうたろー!」 照「じゃあね、京ちゃん」 京太郎「はい、また明日です」 「わー! わー!」 京太郎「はは、退屈しない奴だぜ。まったく……」 京太郎「俺もそろそろ帰るとするか」 ガチャ 京太郎「よし、戸締りオッケー」 京太郎「あとは鍵を戻して……と」 京太郎「さーて、帰宅帰宅ゥ」 ――――――――――――――――――― スタスタ... 京太郎「夕暮れ時か……なんか郷愁にふけりたくなるな」 京太郎「って俺らしくないか」ハハッ ??「……ほんとそうだね」 京太郎「だよなぁ……って、へ?」 京太郎(い、今の声……どっかで!?) 京太郎「っ!」クルッ 咲「お久しぶりだね……京ちゃん」 京太郎「さ、さ……」 京太郎「咲じゃねえか! どうしてここに?」 咲「ちょっと、ね……お姉ちゃんに会いに」 咲(ウソだけど……) 京太郎「ああ、宮永先輩か。でも先輩ならもう帰ったぞ?」 咲「うん、知ってる……だからあとで家に行こうかと思ってる」 京太郎「ああ、そうだよな。咲なら宮永先輩の家、知ってるもんな」 咲「うん」 京太郎「……俺にも、わざわざ会いに来てくれたのか?」 咲「っ! う、ううん! た、たまたま見つけたから声をかけただけだよ……」 京太郎「ふーん……」 咲「……っ」アセアセ 京太郎「……ほんとかぁ? ほんとは俺に会いたくて仕方なかったんじゃないのかぁ?」ニヤッ 咲「ち、違うよ! そ、そんなわけないでしょ!」 京太郎「へへー、さいですか」ニヤニヤ 咲「さいですよ! 京ちゃんはすぐうぬぼれるんだから……もう」 京太郎「へーへー、ごめんなさいねぇ。モテる男はつらくてよぉ」 咲「……」 京太郎「……なんだぁ、咲。ツッコミはなしかよ」 咲「えっ……ああ! ごめん、なんだっけ……?」 京太郎「おいおい、咲さんにしてはキレがわりぃなぁ……さては長旅で疲れたか?」 咲「う、うん……そうなの、かな……」 京太郎「……」 京太郎「……なら、俺んち寄ってくか?」 咲「えっ、き、京ちゃん家に!?」 京太郎「いや、すぐに宮永先輩んちに行くっていうならあれだけどよ」 咲「い、行く行く! 行かせて、京ちゃんの家!」 京太郎「お、おう……じゃ、ついてきてくれ」 咲「うんっ!」 京太郎「……」 京太郎(なんかやけに食いつきいいな……咲のやつ) スタスタ... 咲「……京ちゃん家は、ここから歩いて行ける距離なの?」 京太郎「ああ、こっから10分くらいかな。一軒家を借りてる」 咲「へえ……」 京太郎「あ、でも帰りちょっとスーパー寄っていっていいか?」 咲「うん、なにか買い物?」 京太郎「いや、今日は両親とも帰るのが遅くなるって連絡があってさ」 京太郎「久々に自炊でもしようかなーと」 京太郎「あ、そうだ! なんなら咲も食ってくか?」 咲「い、いいの?」 京太郎「もちろん!」 咲「あ、ありがとう!」 咲(うれしい……うれしい、けど) 咲(こういうときは、『私が作ってあげるよ!』くらい言いたかったな……) 咲(京ちゃん、こう見えてけっこうなんでもそつなくこなすから……ずるいよ) 京太郎「……どうした?」 咲「え、いやなんでもない!」 京太郎「んー、さては俺の作る夕飯が待ち遠しくて、食卓の妄想にでもふけってたか?」 咲「ち、違うよ!」バンッ 京太郎「いてっ! なにすんだよ!」 咲「京ちゃんが変なこと言うから……!」 京太郎「……っく、はは」 咲「ど、どうしたの? いきなり笑い出して……」 京太郎「い、いやさ……お前とこんなやり取りするのも久々だなぁと思って」 咲「そ、そうだね……」 京太郎「へへ……」 京太郎「……ま、ちゃちゃっと食材買いに行きますか」 咲「……うん」 ――――――――――――――――――― 京太郎「うーん……なににすっかな」 咲「京ちゃん、何が作れるの?」 京太郎「なにがって言われてもな……ある程度なら作り方さえ知ってればいけるし」 咲「すごい……ほんとに料理できるんだね」 京太郎「なんだよ、疑ってたのか?」 咲「う、ううん! 違うけど、人は見かけによらないなぁって」 京太郎「ぐさっ! ……へいへい、そうですよ。俺はどうせずぼら人間ですよ」 咲「そ、そんなつもりで言ったんじゃ……!」 京太郎「……咲はなんかリクエストあるか?」 咲「え……なんでもいいの?」 京太郎「俺の作れるものなら」 咲「じゃあ……し、質素なやつで」 京太郎「す、ずいぶんアバウト!?」 咲「ご、ごめん……でもぱっと思い浮かばなくて」 京太郎「うーん質素か……」 京太郎(……今日はブリが安いみたいだし、煮つけにしてみるか) 京太郎(んで家にある野菜……たしか人参と大根はまだあまってたはず……で味噌汁、いや豚汁作って」 京太郎(ついでに切り干し大根も……それだと買い足さなきゃいけないか。ま、いいけど) 京太郎(あとはほうれん草買って行っておひたしにでもするか) 咲(すごい考えてる……) 京太郎「……よし、決まったぜ」 咲「ほんと?」 京太郎「ああ、さっそく必要なもん買ってこうぜ」 咲「うん!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「いやいいって」 咲「大丈夫! 私は手伝ってもあまり役に立たないだろうから、これくらいさせて!」 京太郎「いや、お前の細腕にその荷物はちときついだろ」 咲「平気だよ……それに、京ちゃんだって細いじゃん」 京太郎「俺のは細マッチョっていうの。いいから貸せって」ヒョイ 咲「あっ……」 京太郎「うご……けっこう重いな。明日の分も一応買ってきたせいか」 咲「でしょ? だから……」 京太郎「あーはいはい。んじゃ半分こな?」 咲「うん」 京太郎「よいしょと……じゃ、咲はこっちの重い方」 咲「お、重い方なんだ!?」 京太郎「だって持ちたがってたじゃねえか」スッ 咲「そ、それはそうだけど」グッ 咲(あれ……別に重くない) 京太郎「……ほら行こうぜ」 咲「え、あ……」 咲「……う、うん……っ///」 ――――――――――――――――――― 京太郎「よし、着いたぞ」 咲「うわぁ、なんか別荘みたい」 京太郎「へんな屋根の形だろ? まぁ中はそれなりだからさ、あがってけよ」 ガチャ 咲「お、お邪魔しまーっす」 京太郎「誰もいねーけどな」 咲「あっ……」 咲(そっか……今は京ちゃんと私の、二人っきりなんだ) 咲「……っ///」 京太郎「そっち、洗面所だから行って手洗ってこいよ」 京太郎「俺はちょっと自分の部屋に鞄おいてくる」ダッダッ 咲「う、うん!」 咲「……へえ、お風呂場はここか」 咲「って、うわわ……///」 咲(京ちゃんの下着……だよね、これ?) 咲(あ、でもお父さんのかも……) 咲「ぅう……///」 咲(こ、こういうところはテキトーなんだよね……)ジャー 京太郎「ほいほい、っと」ドンッ 咲「うわっ!」 京太郎「俺も手洗おっと~♪」 咲「京ちゃん、階段くらいゆっくり降りてよ!」 咲「あ、あとこの下着、京ちゃんの!?」 京太郎「あ、そうだわ。悪ぃ悪ぃ」ポポイッ 咲「もうっ!」 京太郎「だってさ、仕方ねえじゃん。今日お前を家にあげる予定なんてなかったんだぜ?」 咲「そ、それはそうだけど、こういうのは普段からしっかり……きゃっ!」 京太郎「ふふんふ~ん♪」ジャー 咲「っちちち、ちょっと京ちゃん!!?」 咲(う、後ろから私のこと抱きかかえるように手を伸ばして……!!) 京太郎「いやこれならいっしょに洗えるじゃん?」 咲「そ、そうだけど……っ!///」 咲(わ、私はどうすればいいのーーーっ!?) 京太郎「ガラガラ、っぺ……っ!」 京太郎「コップはその棚の中に紙コップあるからそれ使って」 咲「ぅ……」 京太郎「んじゃ俺は準備してんぞ」ダダッ 咲「は、はぁ……っ」フニャ 咲(き、緊張した……) ――――――――――――――――――― 咲「えっと……お台所は……」 咲「あっ、京ちゃん!」 京太郎「おう」ガサゴソ 咲「わ、私は何をすればいいかな……?」 京太郎「……んー」ガサゴソ 京太郎「とりあえずこの野菜洗ってくれるか?」 咲「あ、うん!」 京太郎「んじゃ俺は切り干し大根を水につけてっと……」 京太郎「最初にブリ捌いちまうか」チャキン 京太郎「あ、咲。お前血とか苦手?」 咲「え、いや好きじゃないけど……」 京太郎「んじゃこっちの台でやるから見ないで」 咲「う、うん……」 (面倒なので、料理シーン大幅カット) 京太郎「そろそろいいか……ふぅ」フキフキ 咲(京ちゃんすごいなぁ……ほとんど一人でやっちゃったよ) 咲(私なんか全然役に立たなくて……さっきもみりん入れすぎちゃったし) 咲(なんか自分が恥ずかしいよ……うぅ) 京太郎「じゃ、咲は皿用意してくれ。そっちの棚にあるから」 京太郎「必要なのはお茶碗と味噌汁用のお椀に、そっちの平たい小皿ふたつずつ……あと大皿な」 咲「あ、うん!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「よーっし、では」 京太郎「いただきます!」 咲「い、いただきます」ペッコリン 京太郎「ふぃ~、腹減ったぁ」 京太郎「あ、そうだテレビつけようぜ」ピッ ワーワー 咲「き、京ちゃんごめんね……足手まといになっちゃって」 京太郎「ん、なにが?」モグモグ 咲「いや、さっきの料理……この煮つけだって……」 京太郎「いやうまいぜ? ほら……」ヒョイパクッ 京太郎「んぐんぐ……な、うまいだろ?」 咲「んん……」モグモグ 咲「う、うん……」 咲(きっと京ちゃんがよくわかんないけど味の調整してくれたんだ……) 咲(それなのに私……) 京太郎「なーにしょぼくれた顔してんだよ。咲だってこれから料理覚えてけばいいじゃん」 咲「わ、私にはムリだよ……」 京太郎「まぁ、たしかにどんくさいしな」 咲「むっ……でも言い返せないよ」 京太郎「だけどよ、下手は下手なりに努力すればいいだろ。俺だってハギヨシさんみたいにできるわけじゃねえし」 京太郎「なにかやろうって思うことが大事なんだよ」パクッ 咲「……うん、そうだね」 京太郎「そっちなら、和あたりが料理に詳しそうじゃねえか? 教えてもらえよ」 咲「あ、うん……」 咲(でもわたしは……京ちゃんに教えてもらいたかった、な) 咲(そんなの無理ってわかってるけど……) ワーワー 京太郎「ははっ、なんだこいつ!」 咲「……」 咲(京ちゃんは……私にやさしくしてくれる) 咲(たまに意地悪なことも言うけど、そういうやり取りをすること自体が、私にとっては楽しい……) 咲(でも、京ちゃんにとって私は……数いる女の子のうちの、一人でしかないんだよね) 咲(でも、じゃあ……昨日の子はどうなんだろう……?) 咲「……」チラッ 京太郎「あ、今の問題わかるぞ! ……ええっと、なんだっけ」 咲(き、聞いてみたい……京ちゃんと、昨日の子の関係……) 咲「……っ」 咲「き、京ちゃんはさ……」 京太郎「ん? なんだよ、咲?」 咲「こ、こっちで……その……」 咲「す、好きなことかできたりしたの……っ?///」 咲(な、なに聞いてんだろ私……っ!) 京太郎「と、突然なんだよ……?」 咲「ご、ごめん! 今の忘れて!」 咲(は、恥ずかしい……! なんでこんなに顔が熱く……っ) 京太郎「好きな子かぁ……考えたこともねえな」 咲「えっ……」 京太郎「こっちにもかわいい子はそれなりにいるけどよ」 京太郎「なーんか今一つもの足らないというか……」 咲(そ、それって……) 咲「も、もしかして……胸?」 京太郎「おお、そうだ! それだ!」 京太郎「白糸台の人らには胸が足りないっ! ……あ、今の宮永先輩には絶対言うなよ」 咲「わ、わかってるけど……それを私に言う? 普通……」ペッタン 京太郎「ん、なんだ? 咲は気にしてんのか? 胸ないの」 咲「そ、そうグサッといわないでよ!」 咲(気にするに決まってるじゃん! だって京ちゃんが……) 咲「……っ」 京太郎「まぁ世の中にはいろんな趣味趣向のやつらがいるしよ」 京太郎「きっと咲にもチャンスはきっと巡ってくるって! だからそうしょげんなよ、な?」ポンポン 咲「……」 咲(……なんだ……京ちゃんには、私なんか眼中に入ってないってことか) 咲(薄々わかってたことだけど……こうも容赦なく切り返されると……) 咲(やっぱり傷つくな……)ズキッ 京太郎「お、おいおいどうしたよ? そう重く受け止めんなって、咲さん」 咲「……」 咲(はぁ……なんかここまでくると、失うものなんか何一つないって思えてくるよ) 京太郎「お前にだっていいところはたくさんあるじゃねえか。たとえば麻雀とか、麻雀とか……」 もういいや…… 京太郎「あとは……ま、まぁとりあえず! そういう自分の強みで戦ってけばいいんだよ!」 ……自暴自棄になっちゃえ 咲「……京ちゃん、昼間一緒にいた子……名前はなんていうの?」 京太郎「えっ……一緒にいた子……?」 咲「実は見かけちゃったんだ……神社の近くで」 咲「金髪の子と京ちゃんが……その、抱き合ってるとこ」 京太郎「え……あっ!」 京太郎(もしかして……淡のことか?) 京太郎「あ、あいつはただのチームメイトっていうか……そ、そう! 友達だよ、友達」 咲「へえ……」 咲(少し焦ってる……おもしろい) ……もっと畳み掛けちゃえ 咲「……京ちゃんは“友達の”女の子と、外で抱き合ったりするんだ?」 京太郎「い、いやそれは……! あいつの方が勝手にさあ……!」 咲「ふーん……じゃあその子はきっと京ちゃんのことが好きなんだね?」 京太郎「なっ……」 咲「京ちゃんはどうなの? その子のこと、どう思ってるの?」 京太郎「お、俺は別に……ていうか、なんだよこれ。尋問かよ」 京太郎「もういいだろこの話は……さっさとメシ食っちまおうぜ」 咲「……質問に答えてよ、京ちゃん」 京太郎「はぁ……もう答えたろ。俺は淡のことなんかどうとも……」 ...ギリッ 咲「……じゃあ、私のことは?」 京太郎「……は?」 咲「私のことは、どう思ってるの?」 京太郎「お、お前のこと……?」 咲「うん……」 京太郎「いやそれは……」 咲「……それは、なに?」 京太郎「……っ」 京太郎(咲のやつ、どうしたんだよ……そんな怖い顔して……) 京太郎(ていうかこれって……もしかして、もしかすると……) 京太郎(……咲は、俺のことが好きなのか……?) 京太郎(いやいや待て! 今までそんなそぶり……) 京太郎(……) 京太郎(……あったか……あったかも) 京太郎(で、でも……だからってどう答えりゃいいんだ?) 京太郎(俺は咲のこと、そんな目で見たことなんかないし……) 咲「……京ちゃん、なんで答えてくれないの?」 京太郎「うっ……いや、あの」 咲「……」 咲(いつもは態度大きいくせに……こういうときばっかりヘタレて……) ……いくじなし 京太郎「なっ……さ、咲!?」 ...ギシッ 京太郎「お、お前どこ座って……!」 咲「京ちゃんの膝の上だよ……?」 京太郎「は、早く降りろ……!」 咲「……じゃあ、質問に答えてよ」 京太郎「ぐ……」 京太郎(ほ、本音を言えば……こいつを傷つけちまうかもしれない) 京太郎(だからって、ウソついてまで『好きだ』なんて言葉、言えるわけない……) 京太郎(どうすれば……) 京太郎(くっ、咲の言うとおりだぜ……俺はこういう時、優柔不断すぎる……!) 咲「……京ちゃん、答えてくれないと膝からどいてあげないよ?」 咲(……京ちゃんが嘘をついてるとは思えない) 咲(だから、京ちゃんにはまだ“特定の”女の子はいないはず……) 咲(京ちゃんの性格からして、いま頭の中では、私をどう傷つけずにこの場を乗り切れるか……それだけを考えてるはず) 咲(だけど、ウソも付きたくない……そう思ってる) 咲(そこが京ちゃんの甘いところだよ……) 咲(迷いのある人間の心なんて、ちょっと後ろからつついてやればすぐ脆く崩れちゃう……) 咲(さっき言ったよね……私には私にしかない“得意分野”で攻めていけって) 咲(これは私が、麻雀から学んだことだよ……やっと役に立った、ふふ……) 咲(私には胸はないけど……それでも体は、女の子なんだから……) 咲「……」ギュ 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎「さ、咲!?」 咲「私は、京ちゃんのことが好き……」 京太郎「え、いや……その……それは嬉しいんだが」 咲「嬉しいんなら、なんで私のことも好きって言ってくれないの……?」 京太郎「そ、それは……」 咲「……それは、なに?」 京太郎「えっと、その……」 咲「……はぁ」 咲「ふふ……ここだよね、たしか……」サワサワ 京太郎「っ!」ビビクン 咲「あ、なんか固い……どうしちゃったの、これ?」クス 京太郎「さ、咲……! や、やめろって!」 咲「ふふ……そう思うなら、なんで力ずくで止めさせないの?」 京太郎「ぐっ……」 咲「ほんとはしてほしいくせに……」スリスリ 京太郎「ぅぁ……!」 ふふ……男の子なんて、やっぱり単純だ 咲「ふふ……これがいいの?」スリスリ 京太郎「うぐ……っ!」 京太郎(ダメだ……こんなことしちゃ……!) 京太郎(自分の意思も通さず、なりゆきにまかせてこんなことさせて……) 京太郎(一番最悪な……なさけねえパターンじゃねえか!) 京太郎「さ、咲!」グイッ 咲「きゃっ!」ドタンッ 京太郎「す、すまん!」 咲「……っ」 京太郎「だ、大丈夫か……?」スッ 咲「……ふふ、っ……はは……」 京太郎「さ、咲……?」 咲「……そっか、そうだよね……」 ...スクッ 咲「……ごめん、どうかしてたよ……私」 咲「……」パッパッ ←スカート直し 咲「……じゃあね、京ちゃん」 スタスタ... 京太郎「お、おい! 咲、どこに……!」 咲「ん……お姉ちゃんの家」 京太郎「いや、でもメシ……」 咲「もう食欲失せちゃったよ……それに京ちゃんだって、いつまでもこんな私にいてほしくないでしょ?」 京太郎「そ、そんなことは……!」 咲「……ねえ、京ちゃん」 京太郎「な、なんだよ……?」 咲「中途半端な優しさは……逆に相手に辛い思いをさせるだけだよ……?」 京太郎「……そ、それは……っ」 咲「いっそ、嫌いって言ってくれた方が……まだ救いがあったよ」 京太郎「ごめん……でも、俺は咲のこと嫌いじゃない。それは確かだ」 咲「……」 咲「そういうのが、相手を傷つけるっていうんだよ……」ボソッ 京太郎「え……」 バタンッ 京太郎「……っ」 京太郎「咲……」 京太郎「くそっ……最低だ、俺!」 京太郎「咲を傷つけちまった……それだけじゃない」 京太郎「答えを言い淀んだせいで、あんなことまでさせて……」 京太郎「ほんっと……最低だよ……」グッ 京太郎「咲を追いかけたい……でも、今そうしたって許してくれるわけないし……」 京太郎「なにより、今以上に咲を傷つけるだけだ……」 京太郎「でもこのままにはしておけない……どうしたら……」 京太郎「明日……誰かに相談してみるか……」 京太郎「っく……こんなときまで、人頼みとは……」 京太郎「つくづく情けない男だぜ……俺はよ」 ――――――――――――――――――― 翌朝 スタスタ... 京太郎(昨日はあんまり寝つけなかった……咲を傷つけた、罪悪感で……) 京太郎(宮永先輩……照さんには、ちゃんと咲が家に着いてるかどうか確認しておいた) 京太郎(事情は聴いてるだろうから、正直電話越しにコークスクリューかまされるかと思ったが……照さんはいつものように淡々と受け答えしてくれた) 京太郎(照さんに相談でもしてみるかな……いや、でも……) 京太郎(ここは関係ない、第三者に相談するのが筋だろ) 京太郎(亦野さんや渋谷先輩はどうだろう……なんかあまり頼りにならなさそうだ) 京太郎(やっぱりここは弘世先輩かな……) 京太郎(淡は……なんだろ、役に立たないっていうのは百も承知だけど……) 京太郎(それ以前に、今回のことに淡を絡めて考えると……なんかモヤモヤする。なぜかはわからんけど) 京太郎(とりあえず、今日の放課後……先輩をどっかに呼びだすか)ポチポチ ――――――――――――――――――― 放課後 京太郎「終わった……さてと」 京太郎(弘世先輩は、教室に直接きてくれって言ってたな) 京太郎(あ、でもそれだと、同じクラスの照さんにも聞かれるかもしれないんじゃ……) 京太郎(……まぁ、その時はその時か) スタスタ... 京太郎(先輩方の教室は二階だよな……) 3-C 京太郎(……ここか) ...コンコン 京太郎「失礼します、一年の須賀です」 菫「ああ、入っていいぞ」 ...ガララ 京太郎「すみません……呼び出したりして」 菫「かまわないよ。何か相談があるんだろう?」 京太郎「はい……だけど」キョロキョロ 京太郎「あれ……弘世先輩だけですか?」 菫「なんだ、照も一緒の方が良かったのか?」 京太郎「い、いえ……逆にそうじゃない方がありがたいなぁと」 菫「そうなのか……まぁいい、とりあえずその相談ってのはなんだ?」 京太郎「実は……(カクカクシカジカ」 ――――――――――――――――――― 菫「なるほど……それが昨日のことか」 京太郎「……はい」 菫「それで須賀……お前はどうしたいんだ?」 京太郎「え……っと、それは……」 菫「まさか、なんとなく私にどうにかしてもらおう……なんて甘い考えでここに来たんじゃないだろうな?」 京太郎「ぐっ……」 京太郎(た、たしかに先輩の言うとおりだ……) 京太郎(俺は、先輩に相談すればどうにかしてくれるんじゃないかって、そう思って……) 京太郎(くそっ……! なんだよ、全然ダメじゃねえか、俺!) 京太郎「……っ」 菫「図星か……?」 京太郎「……はい、すみません」 菫「はぁ……やっぱりな」 菫「私は、お前はもう少し賢いやつだと思っていたんだが」 京太郎「……返す言葉もないです」 菫「まぁ、別に私はいいよ。お前がどうしたいか、それを決めるまで一緒に付き合ってやる」 京太郎「せ、先輩……」 京太郎(弘世先輩……やっぱり頼りになる人だ) 京太郎「すみません、ありがとうございます……!」 菫「礼は相談が無事終わってからにしてくれ」 京太郎「……はい」 菫「それじゃあカウンセリングを始めるが……」 菫「いきなりどうしたいか考えろと言っても無理だろう。お前も昨夜はいろんなことがあって、気持ちの整理もついてないんだろうしな」 菫「だから質問形式でいく」 京太郎「質問形式……?」 菫「ああ、私がお前の立場であればどう考えるか……それをシュミレートし、考えうる限りの決着点を模索してやる」 京太郎「は、はい! お願いします!」 菫「では、まず……お前はその子、照の妹さんをどう思っているんだ?」 京太郎「それは……さっき言った通りです。友達以上としては見れません……」 咲『ふふ……これがいいの?』スリスリ 京太郎「……っ」 京太郎(違う……! 俺は咲に、そういうのを求めていたんじゃない……!) 菫「昨晩……なにか、あったのか?」 京太郎「いえ……」 菫「ふむ……それでは」 菫「お前は妹さんと、よりを戻したいか?」 京太郎「よ、より!?」ガタッ 菫「友達として、だ」 京太郎「あ、ああ……」ストン 京太郎「そりゃもちろんそうですよ……あいつとの付き合いも長かったわけですし」 京太郎(何より一緒にいて気が楽だった……そう、昨日までは……) 菫「だが、彼女は長野に住んでいるんだろう? なら今後、接する機会もそう滅多にないはずだ」 菫「それなら今の関係のまま、彼女に長野へ帰ってもらえば済む話ではないのか?」 京太郎「そ、それは……! それは、あんまりですよ……」 菫「なにがあんまりなんだ?」 京太郎「さっきも言いましたけど、あいつとは中学からの付き合いなんです……」 京太郎「咲の方はわからないけど……少なくとも俺は、あいつのこと大切な友達だと思ってます……」 京太郎「だから、できるなら元の関係に戻りたい……戻って、また一緒に話せたら、それだけで俺……」 菫「そうか……でも、彼女はそうは思わないだろうな」 京太郎「……っ」 菫「君を好きになってしまったのだから。そして、その君に拒絶されてしまったのだから」 京太郎「……わかってます」 菫「彼女との関係を戻したいというのは、結局はお前の独りよがりなんだよ」 京太郎「……」 菫「おそらく彼女の中では、君に拒絶された時点で君との関係は終わってしまったんだ」 京太郎「……そ、そう……ですか」 菫「だから、彼女のことはそっとしておいてやるのが一番なんだ」 菫「今さら君に謝られたって、それはなにも生み出さないし」 菫「好きだといってみても、彼女にとってそれは嘘に塗り固められた言葉の刃でしかない」 菫「もっとも、君が本気で彼女のことを好きになったのなら話は別だが……違うのだろう?」 京太郎「……はい」 菫「……なら、残念ながら君にはもう彼女に対して何もすることはできないよ」 京太郎「……っ」 菫「……それでも、何かせずにはいられないか?」 京太郎「っ! な、なにかできることが、あるんですか!?」 菫「……あるにはある……だが、これは結局、自分自身のためのものでしかない」 京太郎「俺自身のため……?」 菫「自分の気持ちにケリをつけるってことだ」 菫「彼女にも言われたんだろう? 中途半端な心が他人を傷つけるんだと」 菫「彼女にしてやれることはもうない……しかし、彼女の前で誠実であろうとするならば、絶対にしなければならないことだ」 京太郎(そうだ……今回の原因は、つまるところ俺の優柔不断さにあったんだ……) 京太郎(咲を完全に拒否しきれなかった自分……それがあいつの傷口を大きくしてしまった) 京太郎(なら俺は……そんな自分を、断ち切らなきゃいけない!) 京太郎「……お願いします」 菫「ああ、では最後の質問だ」 京太郎「……」ゴクリ 菫「お前には……好きなやつがいるか?」 京太郎「……」 京太郎(だよな……そうなるよな……) 京太郎(でも俺には……特定の好きなやつなんて……) 菫「私にはな……お前は、自分の恋に気付いてないように思えるんだ」 京太郎「気づいてない……? 俺が、ですか?」 菫「ああ、私の直感でしかないんだがな……」 菫「ズバリ言うぞ。お前……淡のことが好きだろう?」 京太郎「ええっ!? お、俺があいつをですか!?」 菫「ああ」 京太郎「ないです、絶対ないっ!!」ブンブン 菫「そうか? 妹さんの話にも、淡のことが出てきたじゃないか」 京太郎「いや、だからあれはですね……!」 ...ガララッ ??「あー! ここにいたー!」 京太郎「えっ?」 ??「もう、きょうたろーにスミレ! 探したんだからねっ!」 スタスタ...ギュム 京太郎「ちょ、淡……!」 淡「二人でなんの話してたのー? 私にも聞かせなさーい!」グイングイン 京太郎「おい、ゆするなって!」 菫「ふむ……」 菫「実はな淡。須賀がお前に相談したいことがあるそうなんだが」 京太郎「ちょ、先輩!?」 淡「ええーっ! きょうたろーが私に相談!?」 淡「なにそれちょー気になる!」 京太郎「ね、ねえよ! 相談なんて!」 淡「いいからいいからー! 私に何でも相談してみなさいっ!」エッヘン 菫「じゃ、頼んだぞ。淡」 淡「らじゃーっ!」ピシッ スタスタ...ガラッ 京太郎「ひ、弘世先輩……!」 淡「こーらぁ! 患者は逃げないの!」グイッ 京太郎「ぐおぇ! ちょ、ネクタイ引っ張るんじゃねえ!」 ガタン 淡「それで、相談って?」キラキラ 京太郎「……うっ」 京太郎(ったく、なにが目的で先輩は……) 京太郎(つーか俺がこいつのこと好きなわけ……) 淡「んっ?」 京太郎「っ!」ドキッ 淡「なに~? ねえってば~」グイグイ 京太郎「ちょ、こらやめろって!」 京太郎(い、今のは不意打ちすぎた……いや、いくら不意打ちでも淡なんかにドキッとするか? 普通……) 京太郎(実は……本当に俺は、知らない間にこいつのことが……) 京太郎(いや、ないない! たまにかわいいとは思っても、それは小動物的な可愛さというか、いじると面白いっていうか……) 淡「ねーねー!」 京太郎(そう、妹みたいな感じなんだよ! 妹には恋愛感情なんて抱かねーだろ?) 淡「ねーってばっ!」ボコッ 京太郎「んぎゃ!」 京太郎「痛ってー! 鼻が……! 鼻がつぶれた!」 淡「もう、大げさだなぁ!」 京太郎「てめえ、淡! なにしやがる!」 淡「きょうたろーがいくら呼んでも返事しないからだよっ!」 淡「相談事っていったい何なのさーっ!?」 京太郎「相談事? あぁ……」 京太郎「実は、俺がお前のこと好きなんじゃねーかって言われてよ」 淡「えっ……」 京太郎「ありえねーよなぁ……お前みたいなチンチクリンを好きになるだなんて」 京太郎「まったく笑っちまうぜ、ははっ」 京太郎「……お前もそう思うだろ、なぁあわ「……好きだよ」 京太郎「……は?」 淡「私、きょうたろーのこと好きだけど。てゆーか何度も言ったよ?」 京太郎「えっ……いやいや、ウソだろ?」 淡「嘘じゃないし。真だし」 京太郎「……」 京太郎(淡が……俺のことを好き?) 淡「でも京太郎は私のこと好きじゃないんだ……ざーんねんっ」 淡「きっと両想いだと思ったのにー」ムゥ 京太郎「……」 淡「でもいーんだっ! きっときょうたろーは私に振り向いてくれるんだって、そう思ってるからっ!」 淡「だって、こんなに近くにいて私のナイスバヂーな魅力に気づかないわけないしさ!」 淡「だからきょうたろーが振り向いてくれるまで、私は常に自分のかわいさに磨きをかけて日夜精進、頑張るのだ!」ニコッ 京太郎「……っ」ドキッ 淡「うわー! なんか恥ずかしいこと言っちゃったっ! 忘れて忘れて!」 京太郎「……」 京太郎(そうか……俺は、“こんな”淡に、いつの間にかずっと惹かれ続けていたのか……) 京太郎(なんで……俺はこんなことにすら気づかなかったんだろうな……) 京太郎(こんなんだから、他の誰を傷つけたりしちまうんだ……それに今、淡のことだって……) 京太郎(弘世先輩、今やっとわかりました……俺の本当の気持ちが……) 京太郎「あ、淡……」 淡「んっ? なーに?」 京太郎「……っ」ダキッ 淡「うわっ!」 京太郎「淡……ありがとう」 淡「な、なにいきなり? どうしちゃったのきょうたろー?」 京太郎「こんな俺を好きでいてくれて……ありがとう」ギュ 淡「な、なんか京太郎に感謝されちゃった……でも嬉しいかもっ」 淡「だって、京太郎の方から私のこと抱きしめてくれたの、初めてだもんねっ?」 京太郎「はは……そういやそうだな」 京太郎(淡の体……あったかくてやわらかい……) 淡「きょうたろーは私のこと好き?」 京太郎(もう、迷いはない……) 京太郎「……あぁ、好きだ」ギュ 淡「よしっ! きょうたろーのハートげっちゅ!」グッ 京太郎「ふっ……なんだよそれ」 淡「勝利のガッツポーズっ! 私がきょうたろーとの賭けに勝ったから!」 京太郎「賭けしてたのかよ……」 淡「うん! 誰も知らない、私だけが知ってる大きなギャンブルっ!」 京太郎「ったく……そんなちんけなギャンブルで、いったいなにを賭けたんだよお前は」 淡「ふふー聞きたいー?」 京太郎「聞かなくてもどうせいうんだろ?」 淡「あったりーっ! んじゃ教えちゃいまーっす!」 京太郎「おう」 淡「賭けたものは~……」スゥ 京太郎「……っ」 淡「んっ……」チュ 京太郎「ん……っ……」 淡「んん……ちゅ……」 京太郎「……っ、ぷは……っ……か、賭けたものはこれか?」 淡「へへ……うんっ! 私の愛、全部!」ニコッ 京太郎「はは、そりゃまたでけえな」 淡「あったりまえよー! 私の愛の大きさは計り知れないんだからっ!」 京太郎「んじゃ、ギャンブルに勝ったお前には、それ相応の見返りが必要になるわけだな?」 淡「んー、そっか! そうなるよねっ!」 京太郎「……じゃ、それは俺が払うしかないか。えっとこういう場合なにで払えばいいんだ?」 淡「私は私のラブ全賭けしたんだから、それの百倍くらい大きいのじゃなきゃイヤだよっ?」 京太郎「んー、わかった。それじゃあ……」 京太郎「俺はこれから、お前が今まで俺のことを好きでいてくれた分以上に、お前を大好きでいてやる……それでいいか?」 淡「……うんっ! それでよし!」 淡「絶対に約束やぶっちゃだめだよっ! わかった?」 京太郎「わぁってるよ。お姫様」 ギュ カン ----------- 菫「ズバリいうぞ。お前……私のことが好きだろう?」 京太郎「……へ?」 菫「……///」カァア 菫「な、なんでもないっ! 忘れてくれ!」←少し上ずった声 京太郎「いや、あの……」 菫「わ、私は用事を思い出した! 先に失礼させてもらうぞ!」ダダッ 京太郎「ちょ、先輩!?」 ビューン! 京太郎「はええ……まるでアーチェリーの矢のようだ」 京太郎「っていうか、相談は……」 京太郎「ん、まぁあとは自分で考えろってことなんだろうな……うん」 京太郎「誰が好きなのか、か……」 ...スタスタッ 菫「……っ///」 菫(わ、私としたことが……思わず心にもないことを口走ってしまった……!) 『私のことが好きなんだろう……?』ドヤァ 菫「ああ、恥ずかしいっ! 忘れたい忘れたい!」グシャグシャ 菫「……あっ!」 ズテンッ! 菫「いてて……」 菫「……っ!」キョロキョロ 菫(ふぅ……誰にも見られてはいない、か) ...ストン 菫(はぁ……なにやってるんだろうな、私は) 菫(須賀があんな相談を持ちかけてきたとき、正直私は断ろうかと思っていた) 菫(だって私もあいつを……) 菫「……っ///」 菫「ば、ばかだよほんと……! なんでよりにもよってあいつなんかを!」 菫「……っ」 菫(……でも、仕方ないよな。自分の気持ちに嘘はつけない……) 菫(私が須賀京太郎を好きになってしまったという事実は……少なくとも私にはもう、どうしようもないんだ……) ??「あれ、弘世先輩じゃないですか!」 菫「……っ!」ドキッ 菫(こ、この声は……!?) 京太郎「どうしたんすか、こんなところで?」 菫「す、須賀……」 菫「お、お前こそどうしたんだ?」 京太郎「俺は買い出しですよ。また照さんにお菓子頼まれちゃって」 菫「そうか……あのあと部室に戻ったんだな」 京太郎「ええ、そうです」 菫「……っ、すまなかった。勝手にお前をほっぽり出して……」 京太郎「いいですって。弘世先輩からは十分アドバイスがもらえましたし、とても助かりました」 菫「そ、そうか……?」 京太郎「そうですよ。俺、自分の本当の気持ちってやつ、ちゃんと見定めます」 京太郎「それで、好きな人ができたときには、その人のことが好きだってちゃんと胸を張って言える男になるつもりっす!」 菫「そうか……」 菫(少しでも役に立てたんなら……よかったよ) 京太郎「先輩の方は、もう用事済んだんですか?」 菫「用事? あぁ……」 菫(そういえばそんなこと言って出てきたんだっけか……) 菫「まぁな。すぐに済むようなものだったし」 京太郎「じゃあ一緒に買い出し行きませんか?」 菫「……私とか?」 京太郎「ええ、もしよければですけど。弘世先輩と二人で話す機会って滅多にありませんし」 菫「……」 菫(そうだな、ここは素直に誘いに乗ろうか……) 菫「わかった。一緒に行こう」 京太郎「はい!」 ...スタスタ 菫(須賀と二人きりか……) 菫「……っ///」 京太郎「……あっ、先輩」 菫「わわっ、なななんだ!?」 京太郎「膝のところ、少し破れかかってますよ。どうしたんですか?」 菫「あぁ、これか……」 菫(たぶん、さっき転んだときだな……) 菫(でも、転んだなんて言うのは情けないし……ここは……) 菫「さ、さっき木の幹に引っかけてな……うかつだったよ、はは」 京太郎「木の幹ですか……林の中にでも入ったんですか?」 菫「ん、まぁそんなところだ」 京太郎「しかしけっこうひどいですね……直しましょうか?」 菫「直すって……お前がか?」 京太郎「ええ、道具さえあればすぐに直せると思いますよ」 菫「そ、そうか。それなら……」 菫(……いや待て。これじゃまるで、私ができないから須賀に頼んでいるみたいじゃないか! いやたしかにできないが……) 菫(いずれにしろ、そんなのは私のプライドが許さん……!) 菫「こ、これくらい自分でできる! 私をバカにするな」 京太郎「そうですか? じゃあ、いいですけど」 菫「……う、うむ」 菫(……はぁ、なんで私はいつもこう強がってしまうのだろう) 菫(素直に頼めばいいのに、そうできない……) 菫(こういうとき、照や淡が羨ましく思うよ……) ――――――――――――――――――― ウィーン 「いらっしゃいませー!」 京太郎「んじゃ、ちゃちゃっと買いましょうか」 菫「そうだな」 スタスタ... 京太郎「照さんはこれっと」ポイッ 菫(お、このチョコレートおいしそうだな) 京太郎「淡のやつも、なんか買ってかないとうるさいだろうしな。これでいいか」ポイッ 菫(カントリー○ーム味か……すごく甘ったるそうだが、これはこれで興味あるな……) 京太郎「弘世先輩はなにか食べたいものあります?」 菫「え、あっ、いや……」 京太郎「あぁ、それですか? おいしいですよね!」 京太郎「んじゃそれも買いましょう」スッ 菫「いや待て。要らんといってるだろう!」 京太郎「でも、さっきすごく欲しそうにじーっと……」 菫「み、見てない!」 京太郎「うーん……ほんとですか?」 菫「ほ、ほんとだほんと……!」 京太郎「じゃあいいですけど……」スッ 菫「……っ」 菫(まただ……素直に欲しいといえばいいのに……) 京太郎「……いや、やっぱり買いましょう」ポイッ 菫「え……おい、待て。どうしてだ須賀!」 京太郎「いや、これは俺がほしいから買うんですよ」 菫「そ、そうなのか?」 京太郎「ええ、そうです。それなら問題ないでしょう?」 菫「う、うむ……たしかにな」 京太郎「それじゃ精算してきますね」 菫「あ、ああ」 ――――――――――――――――――― ウィーン 京太郎「よし、これであとは戻るだけですね」 菫「そうだな」 京太郎「あっ……そういえば、これどうぞ」スッ 菫「ん? ……って、これはお前が欲しいといって買ったものじゃないか」 京太郎「……先輩、いらないなんて嘘だったんでしょ?」 菫「い、いや本当だ! 何を言い出すかと思えば……」 菫「そもそもどうして私に嘘をつく必要があるんだ?」 京太郎「そんなの知らないです。けど……」グイ 菫「なっ……///」 京太郎「先輩が欲しがってたのは間違いないと思ってますよ。俺の目はごまかせません」 菫「ず、ずいぶん横暴な言い分じゃないか……何の根拠もなしに」 京太郎「横暴でけっこうですよ。それで先輩が喜んでくれるんなら」 菫「なっ……この、生意気なやつめ」 京太郎「ついでに、途中で俺んち寄って、その膝のとこ直していきましょうよ」 菫「それもいいといっただろう!」 京太郎「じゃあ道具だけ貸しますよ。それならいいでしょう?」 菫「ど、道具……いや、そんなのは自分の家で直すからいい!」 京太郎「……先輩、ほんとに直せるんですか?」 菫「なっ……! なんだその疑いのまなざしは! 直せるとも!」 京太郎「じゃあ見せてください」 菫「うぐっ……それは……」 京太郎「はぁ……」 菫「な、なんだそのあからさまな溜息は……」 京太郎「先輩……疲れませんか?」 菫「えっ…?」 京太郎「そんなになんでも完璧であろうとしなくていいんですよ」 京太郎「先輩はたいていのことなら何でもこなしますし、それはすごいことだと思います。けど……」 京太郎「人間誰しも完璧なわけない。誰にだって得手や不得手があって……それに」 京太郎「人の知らない、思いもしないような一面だってあります」 菫「な、なにが言いたい……?」 京太郎「先輩にもそういう一面があるんじゃないかって、俺は思うんです」 京太郎「たとえば、いつもは気丈にふるまっていても、実は甘い物好きだとか」 菫「なっ……!」 菫(見透かされてる……なぜ!?) 京太郎「先輩、俺が先輩のこと全然見てなかったって思ってます?」 京太郎「先輩が俺ら部員をしっかり見ててくれたように、俺だって先輩のことずっと見てきたつもりですよ?」 菫「な、ななな何を言ってるんだお前は……っ!///」 京太郎「……先輩はドライに見えて、実はけっこう気にしいなところがある」 菫「なっ……!」 京太郎「先輩は何でもそつなくこなすと思われてるけど、実は陰で人一倍努力している」 菫「や、やめろ……っ!///」 菫(は、恥ずかしい……!) 京太郎「そして……先輩は厳しそうに見えて、実際はやさしい」 菫「はっ……!」ズキュン(ロン) 京太郎「全部……俺が先輩をずっと見てきた中で感じたことです」 菫「ぅう……お前、こんなことしてただで済むとは……」 京太郎「思ってませんよ。だからお礼させてください」 京太郎「先輩の制服、俺が直してあげるってのでどうですか?」 菫「……っ///」 菫「わ、わかったよ……それでいい」 京太郎「はは、やっと素直になりましたね」ニコッ 菫「……っ」プイッ 菫(こ、こいつの顔をまともに見れん……!) 菫「そ、それじゃ早く家へ案内しろ……///」 京太郎「はい……!」 ...スタスタ 京太郎「……」 菫「……」チラッ 菫(まさか、こいつにあれほど見られていたなんて……) 菫(気にしいなところも、陰で努力をしていることも……すべて図星だ。情けないことに) 菫(だが、やさしいってのはなんだ……!? 私にはそんな心当たりは……) 菫(それとも、私が気付いてないというだけで、須賀の目にはそう映ってくれたんだろうか……) 菫「……っ///」 菫(な、なにを嬉しそうに顔をゆがませてるんだ私は……!) 京太郎「あ、着きましたよ」 菫「は、はい!」 京太郎「……どうしたんですか?」 菫「ごほんっ……な、なんでもない。さあ、とっととあがらせてくれ」 京太郎「さあ、どうぞ。レディーファーストです」ニコッ 菫「……なんか今日のお前はいちいちムカツクな」 京太郎「ええっ、なんですかそれ!」 菫「な、なんでもないよ」 ガチャ 菫「ほう……一軒家とは聞いていたが、けっこう立派なもんじゃないか」 京太郎「ええ、借り家にしてはけっこういいところに住まわせてもらってると思ってますよ」 菫「そうだな……そういえばお母様は? ひとつ挨拶をさせてもらいたいのだが」 京太郎「母ですか? いませんけど」 菫「え、じ、じゃあお父様は……?」 京太郎「俺の両親、共働きですよ?」 菫「で、ではこの家には……」 京太郎「俺……と先輩だけっすね」 菫「……」 京太郎「……?」 菫「……帰るっ!」 京太郎「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」 菫「お前、もしかしてそういうのが目的で呼び出したのか!」 京太郎「そ、そういうのってなんですか!?」 菫「お前には失望した! 大いに失望した!」グググ 京太郎「お、落ち着いてくださいって! とりあえずそのドアにかけた手を放して!」 菫「わ、私をたぶらかそうとおもっているんだろう! 照の妹に引き続いて、まったくお前というやつは……!」 京太郎「ご、誤解ですってー!」 (5分間の押し問答の末) 菫「……」プイッ 京太郎「い、いい加減、機嫌直してくださいよー」 菫(まったくこいつは……自覚がないのかっ) 菫(自分が周りの女子からどういう風に見られているのか……) 菫(ほんと最悪のたらしだよ……お前は) 京太郎「と、とりあえずお茶入れてきますね」 菫「……」スクッ 京太郎「逃げないでください」 菫「……ふんっ」ストン ――――――――――――――――――― 京太郎「はい、どうぞ」 菫「い、いただきま……じゃなくて」 菫「いただいてやる……」ズズ 京太郎「あはは……どうですか?」 菫「ん……」 菫(こいつはどこで覚えたんだか……お茶の入れ方が異常にうまい) 菫「ま、まぁまぁだな……」ズズ 京太郎「そうですか。よかったです」 京太郎「それじゃ、さっそく直してあげますね」 菫「ん……あぁ、頼むぞ」 京太郎「……んじゃちょっと失礼して」スッ ボカッ 京太郎「いたっ!」 菫「な、なななななな……!///」 菫「何をしようとしてるんだお前はっ!///」 京太郎「いやだから膝の部分を縫い直そうと……!」 菫「お前、だからと言っていきなりスカートの中に手を突っ込むやつがあるかぁ!」ボカッ 京太郎「ご、誤解ですって!」 菫「はぁ、はぁ……」 京太郎「そ、そんじゃ、少したくし上げてくださいよ!」 菫「……今度は何をたくらんでる」 京太郎「何も企んでません」 菫「……」 菫「こ、これでいいか……?///」スッ 京太郎「ええ、オッケーです」 ...スチャスチャ 菫(まったく……デリカシーのないやつめ) 菫「……しかし、ムダに器用だよな。お前」 京太郎「ムダ、は余計ですよ」 菫「いーや、ムダだよ。その才能が、どうして麻雀の方に向かなかったんだろうな、ほんと……」 京太郎「み、耳が痛い……」 京太郎「……でも、俺はムダだなんて思ってませんよ」 京太郎「これのおかげでこうして今も、先輩の役に立ててるわけですし」 菫「ま、またそうやってすぐ……」 京太郎「ほんとのことですよ」 菫「……っ///」プイッ ...スチャスチャ ――――――――――――――――――― 京太郎「……はい、できました」 菫「あ、あぁ……」 京太郎「どうですか?」 菫「ま、まぁまぁじゃないのか……? お前にしては」 京太郎「はは、最大限の褒め言葉として受け取っておきます」 京太郎「それじゃ、そろそろ帰りましょうか。照さんも待たせてることですし」 菫「ん……あぁ、そうだな」 菫「……」 京太郎「……どうしかしたんですか?」 菫「いや……」 菫(も、もっと……二人で話していたい、なんて) 菫「……っ」 菫(言えるわけない、よな……) 菫「なんでもないよ。帰ろう」 京太郎「はいっ」 ――――――――――――――――――― ガチャ 京太郎「ただいま戻りましたー」 菫「……」 淡「おっそーい!」バンッ 京太郎「いてえっ! てめえなにしやがる!」 淡「きょうたろーが遅いのが悪いんだよっ!」 淡「ほら見てよ! テルーがもう人の姿を保てなくなってるっ!」 照「……ぉか、し……」 京太郎「うわ、大丈夫っすか!? 照さん!」 京太郎「今お菓子あげますからねっ」ガゾゴソ 照「き、京……ちゃ……」 淡「早く、早く!」 京太郎「よ、よし……はいこれ!」グッ 照「もがもがっ……」 淡「テルー……生きかえってっ!」 照「……っ!!」ピキーン 照「……復活」 京太郎「よ、よかった……」 淡「やったー! テルー!」ダキッ 照「……あ、ありがと……京ちゃん」ボリボリ 京太郎「いや、いいってことですよ……遅れたのは俺が悪いんですし」 菫「……」ボー 淡「そういえば、きょうたろー。なんでスミレと一緒に帰ってきたのっ?」 菫「っ!」 京太郎「いや、買い出し行くときに偶然会ってな。それで一緒に」 淡「へえー、じゃあなんで遅れたのー?」ニヤニヤ 京太郎「は……?」 淡「買い出しにしてはみょーに長かったからさっ」 淡「なーんか二人でよろしくやってるのかなーっと」プクク 菫「ば、ばか! そんなのあるわけないだろ!」 京太郎「そ、そうだよ! 何言ってんだよお前!」 淡「ふーん、ならいいけどさーっ!」 京太郎「はぁ、ったく……」 京太郎「淡のやつなに考えてんすかねえ……?」クルッ 菫「……っ!///」プイッ 京太郎「……?」 ――――――――――――――――――― 照「……それじゃ、先に帰ってるから」 淡「まったねー!」ブンブン 尭深「……お疲れ様です」 京太郎「はい、また明日」 京太郎(てか、渋谷先輩いたのか) ワーワー 京太郎「先輩は仕事が残ってるんですよね?」 菫「ん……まぁな。だからお前も先に帰って……」 京太郎「俺も手伝いましょうか? もしできることがあるなら」 菫「なっ……いいよ! そんなの!」 京太郎「でも、先輩に全部まかせっきりで変えるのも忍びないですし」 京太郎「何かあるなら手伝わせてください」 菫「……っ」 菫「そ、それじゃ……頼めるか?」 京太郎「もちろんですよ!」ニコッ 菫「……っ」 菫「じ、じゃあそこの牌譜の整理を頼む」 京太郎「了解です!」 菫「あぁ」 京太郎「……」サッサッ 菫「……」 菫(またこいつと二人きりになってしまった……) 菫(いや、今回のは完全に私が仕向けたことだ。こんな雑用、今でなくても全然いいわけだし……) 菫(私は……こいつと一緒にいたいと思ってる。それはもう、ごまかしきれるものじゃない) 菫(私は好きなんだから……こいつのことが……) 菫「……っ///」 菫(……なんだろう……今この瞬間を逃したら、この気持ちは一生伝えられそうにない気がする) 菫(……でも、この気持ちを伝えて……私はどうしたいんだ?) 菫(須賀が私を好きだなんてことは、万に一つもあり得ない……) 菫(それに、こいつは昨日同じようなことを経験してるんじゃないか) 菫(せっかく気持ちの整理をつけようとしているのに、そこへ私がちゃちゃを入れたら、ますますこんがらがってしまうだけだ……) 菫(それでは、私がしたアドバイスもすべて無駄になる……) 京太郎「……」サッサッ 菫「……」 菫(だが、本当にそれでいいのか……?) 菫(本当に私はそれで、納得できるのか……?) 京太郎『先輩……疲れませんか?』 京太郎『はは、やっと素直になりましたね』ニコッ 菫(そうだな……私はいままで自分を律しすぎていたのかもしれない) 菫(完璧な理想を追い求めて、嘘をつき、偽り続けていたんだ) 菫(一番の親友である照にさえ、本音をさらしたことはあまりない) 菫(けど、こいつと話してみて思ったこと、それは……) 菫(もっと素直になってみたい、もっと本音を吐き出したい……! そういったことだった) 菫(たとえその結果、私が須賀のことを困らせるようなことになっても……) 菫「……っ」 菫(はぁ、結局人ってのは自己中な生き物なんだな……) 菫「……須賀、少しいいか?」 京太郎「はい、なんです?」 菫「……さっき教室で、私はお前に『好きなやつはいるか』と聞いたよな?」 京太郎「え、ええ」 菫「……あれの答えを、もう一度聞かせてほしい」 京太郎「……そ、それは」 菫「……っ、須賀……私は」 菫「……っ///」 菫(いけ……私っ) 菫「お前のことが、その……好きかもしれない」 京太郎「え……」 菫「……だ、だから……っ///」 菫「お、お前の方はどうなのか……それだけ聞かせてほしい」 菫(返答は……わかってる……) 菫(けど、それでも……お前の口からききたいんだ……) 菫(今ならわかる……照の妹さんの気持ちが) 京太郎「俺は……その、俺も……っ」 菫「っ!」 京太郎「先輩のこと……好きかもしれない、です」 菫「なっ……でも、お前好きな人はいないって!」 京太郎「その、さっきまではそうでした……いやそうだと思ってました、けど……」 京太郎「今日一日……短い間ですけど、先輩とたくさん話をして……思ったんです」 京太郎「俺は、この人のことが好きなんじゃないかって」 菫「な、なんだそれ……そんなの……」 京太郎「嘘の気持ちだっていうんですか……?」 菫「……っ」 京太郎「……でも違いますよ、少なくとも今は」スッ 菫「……ひっ!///」 菫(す、須賀の……手が……) 京太郎「もう一度言います……俺、先輩のことが好きです」 菫「……っ///」 菫(ほんと……卑怯だよ、お前は) 菫(そうやって言われたら、信じるしかなくなるじゃないか……) 菫「こ、こんな……こんな私でも……好きでいてくれるのか?」 菫「わ、私は……全然素直じゃないぞ? い、意地っ張りだぞ? 神経質だぞ? それでも……」 須賀「それでも、好きですよ。ていうか、そんな先輩だからこそ、好きでいられます」 菫「……っ///」 菫「お、お前……ほんと生意気だなっ」 京太郎「はは、すみません……」 菫「だけど……私も、そんなお前だからこそ、好きでいられるのかもしれない」 京太郎「……うれしいっすよ」 菫「……うん」 京太郎「あの……先輩」 菫「……なんだ?」 京太郎「これからは、先輩じゃなくって……菫さん、って呼んでもいいですか?」 菫「す、すすすスミレさん!?」 京太郎「ええ、なんというかその……弘世先輩だとなんか距離感あって」 菫「……っ、私は別にかまわないが……いいやかまうが!」 菫「というかそれは……照たちの前でもか?」 京太郎「? ええ、もちろんです」 菫「な、なんか恥ずかしいな……///」 京太郎「す、すぐなれますよ! ていうか俺だっていうの恥ずかしいですよ!」 菫「じ、じゃあ! わ、私も付き合ってやる……」 京太郎「えっ?」 菫「お、お前のこと……これからは京太郎って呼んでやる……っ///」 京太郎「……はい! お願いします!」 菫「う、うん……///」 京太郎「じゃあ、これからよろしくお願いしますね。菫さん」 菫「あ、あぁ……よろしくすg……き、京太郎っ///」 京太郎「えへへ……」 菫「……っ///」 京太郎「じ、じゃあ仕事終わらせちゃいましょうか!」 菫「あ、うん……」 京太郎「……よしっと」サッサッ 菫「あ、あの……! き、京太郎……」 京太郎「っ! な、なんですか?」 菫「えと……その、だな……」 菫「……っ///」 菫「と、隣……座ってもいいか……?///」 京太郎「えっ……」 京太郎「ええ! もちろんっすよ」ニコッ 菫「……う、うんっ」スタスタ 京太郎「ほら、ここどうぞ」 菫「ち、近すぎないか……!? これじゃ仕事に集中できんぞ……っ」 京太郎「せ、先輩が言い出したんじゃないですか!」 菫「それはそうだが……っ」 京太郎「ていうか、先輩やっと素直になったんすね。自分から『隣に座りたい』とか言い出すなんて」 菫「な……っ! だ、黙れっ! この、この!」 京太郎「い、痛いですって! 先輩!」 ワーワー 菫「……ふふ」ニコッ 菫(……京太郎となら、少しは自分に素直になって生きていけるかもしれない) カン ----------- 京太郎(くそっ……あいつを傷つけちまった) 京太郎(それだけじゃない……答えを言いよどんだせいで、あんなことまでさせて) 京太郎(最低だ……俺) 京太郎「……」 京太郎(どうする……このままでいいのか) 京太郎(よくない……けど、咲を追いかけたところで、余計にあいつを……) 京太郎(いや、ここであいつを追いかけなかったら、俺はきっと後悔する……!) 京太郎(あれこれ考えるのなんて、俺には似合わねえ……行動あるのみだ!) ダダッ 京太郎「待ってろ……咲!」 ――――――――――――――――――― ...トボトボ 咲「……っ、ぇ……」ポロポロ 咲(最低だよ……私) 咲(いくら振り向いてもらえないからって……あんな汚いマネするなんて) 咲(そりゃあ、京ちゃんにも好きになってもらえないわけだよ……っ) 咲(それに……最後の最後に交わしたのが、あんな私の独りよがりな言葉だなんて……) 咲(なんなんだろう……私。なにがしたいんだろう……) 咲(みっともないよ……ほんとに) 咲「……っ、ひっく……」 「おーい! 咲ーーーっ!」 咲「えっ……」 「はぁ、はぁ……やっと追いついたぜ……っ」 咲「き、京ちゃん……」 京太郎「あんまり遠くに行ってなくてよかったよ」 咲「な、なんできたの……」 京太郎「そ、そりゃお前……」 京太郎「あんな状態で、お前をほっとけるやつがいるかよ……」 咲「……っ、なにそれ」 京太郎「えっ」 咲「私をこんなにしたのは、京ちゃんでしょっ!」 咲「……っ、えっく……」ボロボロ 京太郎「ご、ごめん……咲」スッ 咲「触らないでよっ!」パシンッ 京太郎「……」 咲「……っ、ぅう……」 京太郎(くっ……どうすれば) 京太郎(俺には何もしてやれないのか……) 咲「……っ、帰ってよ」 京太郎「……」 京太郎(でも、ここで帰ったら、こうして咲を追いかけてきた意味がねえ……) 京太郎(なんとか……なんとか咲に話を……) 京太郎「咲……さっきはほんとに悪かった。お前の気持ちも考えず……」 咲「……」 京太郎「俺は……まだよくわからねえ、咲のことどう考えたらいいのか……」 京太郎「でも、今泣いてるお前を放っておけない……それだけは確かだ!」 咲「……っ」 京太郎「だから……ひとまず俺んちに戻ろうぜ。ここじゃ風邪ひくだろ」 咲「……」 ――――――――――――――――――― 京太郎「ただいま」 咲「……」 京太郎「咲、お前風呂入るか?」 咲「な、なに言いだすの急に……」 京太郎「いや、お前もいろいろあって心落ち着けたいだろうしさ」 京太郎「風呂でも入ればすっきりするかなって」 咲「……エッチなこととか、考えてないよね?」 京太郎「か、考えてねえよ!」 京太郎「俺は俺で、食事の後片付けでもしながら頭冷やしとくからよ」 咲「……わかった。入ってくる」 京太郎「ああ」 スタスタ...バタン 京太郎(俺もちゃんと、どうしたいのか考えねえと……) ――――――――――――――――――― ジャー 京太郎「……」フキフキ 京太郎(俺は、咲のこと……女として見てなかった) 京太郎(でも、さっきのこともあって……咲が本気で、その……俺のことが好きなんだってことが分かった) 京太郎(咲の中ではもうとっくに、俺は“ただの友達”じゃなくなってたんだ) 京太郎「……っ」 京太郎(じゃあ、俺の方は……どうだ?) 京太郎(今でもあいつを……ただの友達でしかないと言い切れるか?) 京太郎(俺はいったいどうしたいんだろう……?) 京太郎(……) 京太郎(俺は、あいつを悲しませたくない……あいつの泣いてる顔なんて見たくない) 京太郎(……それは、友達だからか? それとも、それ以上の気持ちがあるからか……?) 京太郎(わからねえ……俺には……) ――――――――――――――――――― バタン 咲「……あがったよ」 京太郎「あぁ、おかえり」 咲「……」 京太郎「まあ、ここに座れよ」 咲「……うん」ストン 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「……あのさ、咲。俺、考えたんだ」 咲「……なにを?」 京太郎「俺はどうしたいのか」 咲「……京ちゃん」 京太郎「なんだ?」 咲「京ちゃんはやさしいから……たぶん、私のことを傷つけたくないって思ってると思う」 咲「でも、傷つけたくないからって理由で好きになってほしいなんて、私は思わない……思えないよ」 京太郎「咲……」 咲「私も考えた……自分がどうしたいのか」 咲「私はもう、京ちゃんのこと忘れたい……」 京太郎「なっ……」 咲「だって、京ちゃんのこと考えるの……苦しいから……っ」 咲「好きになってもらえないんなら……一緒にいるだけで……それだけで辛いから……っ」 京太郎「……っ」 咲「私はたぶんすっごく意地が悪くて、ワガママなんだと思う……」 咲「普通なら、好きな人と一緒にいられるだけで幸せだと思うはずなのに……私にはそれができない……っ」 咲「私は独占したいんだよ、京ちゃんを! 京ちゃんを私一人だけのものにしたい! 他の子と一緒にいるのなんて嫌なの!」 京太郎「咲……」 咲「……でもそれはできないってわかった……もうわかったんだ」 咲「だから、これ以上私が“嫌な奴”になる前に……っ」 咲「……っ、京ちゃんのこと……もう忘れさせて」 京太郎「……っ」ガタン 咲「えっ……」 ダキッ 咲「ひぅ……き、京ちゃん……?」 京太郎「俺は……っ! 俺は咲のこと、忘れたくなんかねえよ!」 咲「……っ」 京太郎「俺の……俺の方こそワガママだ……っ」 京太郎「咲のことを傷つけたくないといいつつ、答えをはぐらかして、傷つけて……」 京太郎「俺……咲のこと好きなのかそうじゃないのか……それだけを考えてた」 京太郎「でも思ったんだ……答えはそれだけなのかって」 京太郎「俺の中で不変なのは……お前と一緒にいたいっていうこの気持ちだ」 京太郎「それが世間でどういう言われ方をしているのかわからない……」 京太郎「もしかしたら、それも単なる“友達としての好き”の範疇なのかもしれない」 京太郎「だけど、俺が自信を持って言えるのってそれだけなんだ」 京太郎「俺はお前といたい……ずっと一緒に」 京太郎「……咲の方は、どうだ?」 咲「……っ」 咲「わ、私だって……っ」 ギュッ 咲「私だって、京ちゃんとずっと一緒にいたいよっ!!」 京太郎「そっか……ありがとう」 咲「ぅ……ひっく……」 京太郎「ごめん、こんな卑怯な言い方しかできなくて……」 咲「いい……いいの……っ」 咲「私には……私にはそれだけで、すごい宝物だよ……?」 京太郎「……ありがとう」ギュ 咲「……っ」 京太郎「いつか、ちゃんとお前に『好きだ』って、自信を持って言いたい」 京太郎「それまで、一緒にいてほしい……頼めるか?」 咲「うん……」ゴシゴシ 咲「よ、喜んで……っ!」ニコッ カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6801.html
夏 咲「ねぇねぇ京ちゃん」 京太郎「ん? どした?」 咲「京ちゃん、山登りってしたことある?」 京太郎「山? ……そりゃまぁ、山くらいなら何度か登ったことあるけど……低い山だけどね」 咲「どうだった? しんどかった?」 京太郎「…ん~……どうだったかなぁ。当時は筋肉痛になったりもしたけど……しんどかったイメージはないなぁ」 咲「なるほどね…………じゃあさ? じゃあさ?」 京太郎「ん?」 咲「私にも登山、出来るかな?」 京太郎「……咲が…登山……?」 京太郎「咲が登山って……言っちゃ悪いけど、和が降霊術するくらいイメージできない」 咲「そのレベルかぁ……。ほら、インターハイで会った高鴨さんっていたでしょ? 和ちゃんの友達の」 京太郎「あぁ、いたなぁ。俺は直接は会ってないけど」 咲「その高鴨さんがね。登山が趣味で、子どものころからおじいさんと一緒に色んな山に登ってたんだって」 京太郎「へぇ~。まぁ、子どもが元気なのはいいことだ」 咲「それでね。長野の山にも何回か来たことがあるって言ってたの」 京太郎「山多いからね、長野。日本アルプスあるし」 咲「私も、小さいころに一度だけ山に登った記憶があるんだけどね? 山登りのことはあんまり覚えてないの」 京太郎「なるほどね」 咲「だから、山に登ってみたいなぁ~…って」 京太郎「つっても、山なんてピンキリだぞ? 上は富士山、下は日和山まで色々あるし」 咲日和「山?」 京太郎「括弧の位置がずれてる」 咲「日和山?」 京太郎「直った」 京太郎「しょうもない話は置いといて。咲はどんな山に登りたいんだ?」 咲「森林限界の上!」 京太郎「……………」 咲「森林限界の上!」 京太郎「二回言わなくても聞こえてるよ……」 咲「京ちゃんが返事しないからでしょ?」 京太郎「えっ~と…ちなみに、森林限界って何か知ってる?」 咲「山の高いところでしょ? 普通の花が咲かなくなるような…木が変わるんだっけ? 日本アルプスだと標高2,500メートルよりも上って聞いたけど…」 京太郎「知ってて言ってるのか……」 咲「無理かなぁ?」 京太郎「無理とは言わないけど……まぁ、無茶ではあるよなぁ」 咲「…登り切るまでに何日くらいかかる?」 京太郎「…いや、まぁ咲でも頑張れば一日で登れるとは思うけど……山までの移動とかも考えると、一日で行って帰ってくるってのは難しいかも」 咲「…どうしよう……私、テントなんて作れないかも……」 京太郎「まぁそれは山小屋に泊まるなり、前日に山の近くのホテルに泊まるなりすればいいとは思うけど……」 咲「………山登るの…私にはやっぱり無理なのかなぁ…」 京太郎「………………」 京太郎「それ、俺も一緒に行っちゃダメか?」 咲「えっ? …京ちゃんも?」 京太郎「……何? 嫌なの? それとももう他に行く人決まってる?」 咲「いや…嫌じゃないけど……京ちゃんも山登りたいの?」 京太郎「…まぁ、そうゆうことでいいや。他に誰か誘うなら別にいいけどさ」 咲「ううん。京ちゃんが一緒に来てくれるなら、京ちゃんがいいな! ………それじゃあ、お願いします」 京太郎「あいよ」 咲「一人じゃ心細かったし…京ちゃんなら力もあるし安心だよ!」 京太郎「そっか…そりゃよかった……」 咲「♪~。それじゃあいつ山に登ろ……」 京太郎「ちょっと待て。その前に一つだけ確認したいことがあるんだけど…」 咲「?」 京太郎「…まさか、いきなり…その、森林限界の上? に挑戦しようとか考えてないよな?」 咲「……………」 京太郎「……………」 咲「…そ、……そんなわけないじゃ~ん。ほ、ほら。アレでしょ? 段階を踏むてきなアレでしょ? 分かってるよ?」 京太郎「その目は分かってなかった目だ。俺には分かる」 咲「えっと……どうすればいいの?」 京太郎「まずは『山を登る感覚』と『登山の服装』そのものに慣れないと。600メートルとかの山でも、いきなり登ると辛いんだぞ?」 咲「ふむふむ……私が昔登った山はどれくらいの高さだったんだろ…」 京太郎「服装だって、買ったばかりのやつでいきなり2,000メートル以上は無謀だ。足に合わなかったりしたらすっげぇ痛いんだから」 咲「さ、さすが山登り経験者…」 京太郎「そんな本格的な経験でもないけどな」 京太郎「…てか、そもそも登山の準備はできてるのか? 靴は?」 咲「…スニーカー…」 京太郎「…服は?」 咲「……パーカー……」 京太郎「……リュックは?」 咲「………スーパーの…レジ袋……」 京太郎「前二つは100歩譲ってもいいとして、さすがに最後のはダメだって気付け」 京太郎「…山登りには適した装備があるんだから、それを買わないと」 咲「…でも、何買えばいいか分からないよ?」 京太郎「店員さんに聞くしかないな。あとは、例の高鴨さんにもアドバイスをもらおう」 咲「…なるほど」 穏乃「おっ!? 和じゃん!! インハイぶりっ! 電話なんて珍しいね、何の用?」 穏乃「…ほうほう、宮永さんから質問ね。どーんと任せてよっ!」 穏乃「……え? 山に登る服装? ジャージだけど? え? 下は履いてない」 穏乃「リュック? お弁当とかなら手で持ってってるよ?」 穏乃「くつ? 靴はそりゃ登山によって使い分けてるよ。いっつも履いてるのはランニング用のスニーカー、○○って会社のやつ。女性用も充実してるけど、私はメンズ用の方が足に合うんだよね。山に登るときも基本的にはそれかな。あ、でも整備されてない道がコースに入ってる時はやっぱりトレッキングシューズだね。××ってブランドのをよく買ってるんだけど、去年のモデルはちょっと微妙だったよ。まぁ靴の好みは人それぞれだしね。宮永さんは登山初心者でしょ? 初心者なら、靴の高さは少し高めの方が捻挫はしにくいと思う。足首が固定されるからね。ただ、普段使う靴とは全然感覚が違うから歩く練習をしとかないとだめ。ちょうど△◇ってところが今年の春に出した靴は、登山入門をコンセプトにしてるらしいから試してみるといいかも。その会社のはデザインもいろいろあるけど、あんまし明るい色だと土の汚れが目立つから、そういうの気にする人はずんぐりした色の靴の方がいいんじゃないかな。低い山とかだと山頂までアクファルトだったりもするけど。そういう道を行く予定ならスニーカーでもいいかもね。え? 2,000メートル以上? そりゃもう本格的な登山靴のほうがいいよ。山道だと石ころなんかもゴロゴロ落ちてるから、底が厚いやつじゃないと食い込んで痛いし、というかそうならないための登山靴なんだけどね。あ、靴を買いに行く前につま先の指の形と踵の形だけ一応知っておいた方がいいかもって宮永さんに教えてあげて。人差し指と親指、どっちが長いか。親指が長いなら靴の先は丸い方が履きやすいと思う。逆に人差し指の方が長いなら靴も尖ってる方がいいかな。靴の先が丸いタイプはあんまりないんだけど、さっきも言った××って会社はそっちのタイブが充実してるよ。あと踵の形が……」 和「ということだそうです」 咲「……何その靴のみに対する以上なこだわりは……」 京太郎「いや、靴の前にズボン履けよ」 咲「というわけで、登山グッズを買いに来たわけだけど……高いね」 京太郎「高いなぁ。……靴に五桁出す人って伝説だと思ってた」 咲「京ちゃんが今履いてる靴は何円くらい?」 京太郎「1,880円。咲のは」 咲「1,290円」 京太郎「…………」 咲「…………」 京太郎「ふむふむ……服は重ね着が基本…特に高い山の上の方だと、風がもろに当たるから夏でも寒い……なるほどな」 咲「逆に森林限界の上だと、日差しを遮る木もないから帽子も…なるほどね」 京太郎「傘は差しにくいからレインウェアもあるといい……へぇ~」 咲「……たくさんお金が飛びそうな気配がする」 京太郎「……こんだけ金使ったんだ。もう後戻りはできないぞ」 咲「……モチベーションを高めるって意味では、お金を使ったのは正解だって……前向きに考えるようにしよう」 12 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします saga 2015年10月27日 (火) 17 14 14 ID w63fpAw70 京太郎「さて。登山グッズも買ったことだし、んじゃさっそく登山の練習を始めよう」 咲「おーうっ!!」 京太郎「というわけで、やってきました。木がいっぱいある公園」 咲「登山の練習をするって言ってたけど……山ですらない公園で何するのさ」 京太郎「舗装されてない道を歩く練習。山登りの練習の練習だな」 咲「…さすがにこれはする意味無いんじゃない? 平坦な道だよ?」 京太郎「そういうことは歩いてから言うんだな」 咲「……ぜぇ……ぜぇ……休憩、もっかい休憩……」 京太郎「ほら見ろ」 咲「こ…この調子だと、ぜぇ…山はい…つ頃登れそう……?」 京太郎「う~ん…10月くらいになるんじゃねえか? さすがにそれ以降になると寒いしなぁ」 咲「ひぇ~…」 京太郎「もう一回くらい平地で練習して、まずは300メートルくらいの山に挑戦。そっから毎週山の高さを上げていって、なんとか10月頭には900メートル以上の山に登れるようにはなりたいね」 咲「…なるほど……しばらくは毎週、筋肉痛になりそうだよ…変な筋肉付いたりしないよね?」 京太郎「女の子は筋肉太くなりにくいし大丈夫」 咲「へぇ~…そういうものなんだ」 京太郎「高鴨さんだって足細かったろ?」 咲「……なんか、やらしい言い方……」 京太郎「」 咲「♪~♪♪~。明日はいよいよ平地じゃない、普通の山に挑戦する日っ! わくわくするなぁ…」 咲「サンドイッチの材料は…京ちゃんはカツサンドとか好きそうだよねっ! あとはレタスとハムと…あ、パン買うの忘れるところだった」 咲「……ふふっ。楽しみだなぁ~。あ、レジャーシートってどこに置いてたっけ?」 京太郎「…咲のことだから、きっと飯用の飲み物だけ持ってきて、登山中の飲み物は忘れてくるんだろな。スポーツドリンクと水を少し多めに買っておこう」 京太郎「…あと、咲が怪我した時のための絆創膏にテーピングに…冷やすための氷もなんとかして持ってかねえとなぁ…」 京太郎「…………麻雀じゃいいとこなしだし、こういうところでいいとこ見せないと…」 咲「というわけで、いざ山へ!!」 京太郎「今日はこの山に登ろう。名前は知らない」 咲「…うわぁ…高いねぇ……これで何メートルくらい?」 京太郎「300メートルくらい」 咲「………これで?」 京太郎「これで」 咲「…結構高いよ?」 京太郎「森林限界さんはこの8倍だぞ」 咲「……ひぇ~…。京ちゃん隊長、早くも心が折れそうです」 京太郎「大丈夫大丈夫。これくらいの山ならなんだかんだですぐ登れるよ」 咲「本当に?」 京太郎「荒地を歩く練習をした自分を信じろ」 京太郎「案内板見っけ」 咲「何か書いてある?」 京太郎「大まかな道と、山の中にある目印になるもの……これはありがたいね。咲は特に迷子になりやすいんだから、絶対俺から離れんなよ?」 咲「置いて行っちゃやだよ?」 京太郎「置いてかないよ。だから、歩くのがキツくなってきたら我慢せずに言うんだぞ?」 咲「はーい」 咲「はぁ……はぁ……ま、まだ~?」 京太郎「もう少しだ。ほら。そこの道を登り切ったらもう山頂」 咲「ホント!?」 京太郎「あぁ。だからあと少し…頑張れ」 咲「……うぅう~……動けぇ~、私の足ぃ~……」 咲「……………着いたぁ……」 京太郎「おめでとう。ほら、まずは息を整えて」 咲「ひぃ、ひぃ、ふぅ~…ひぃ、ひぃ、ふぅ~…」 京太郎「ほら、こっちの方からいろいろ見えるぞ。ちょっと来てみ」 咲「………おぉ~……高いねぇ…」 京太郎「なんだかんだで超高層ビルくらいの高さだからなぁ。300メートルって」 咲「……よし、じゃあここでお昼ご飯食べよう!!」 京太郎「よしきたっ!」 咲「今日はサンドイッチを作ってきました。それでは召し上がりましょう……あ、シート敷くからそっち持って」 京太郎「……このレジャーシート…ちっちゃくない?」 咲「…気にしない気にしない」 咲「もぐもぐ……我ながらいい出来だね」 京太郎(……咲が近い) 咲「……なんだか気持ちいいなぁ……登山って楽しいねっ!」 京太郎「ん…そうだな。300メートルでこれなんだから、2,500メートルはもっと気持ちいいと思うぞっ!」 咲「だねっ!! 楽しみだなぁ~」 京太郎「昨日は楽しかったな、咲」 咲「筋肉が……筋肉の筋肉痛が痛い……京ちゃんは?」 京太郎「ん? 俺はなんともないな」 咲「えぇ……筋肉痛にならないコツとかないの?」 京太郎「こればかりは慣れるしかない」 咲「そんなぁ…」 咲「ねぇねぇ、見てみて京ちゃん!!」 京太郎「ん? どした?」 咲「これ見て! 風越山だって!! しかも結構高いよ!」 京太郎「標高1,500メートル…ほんとだ。この前登った山の5倍だもんな」 咲「池田さんのいるところだよっ! ……清澄山とか、龍門渕山とか、鶴賀山とかはないのかな?」 京太郎「どうだろ…聞いたことないけど…」 久「清澄山ならあるわよ? 標高は400メートルもなかったと思うけど」 咲「!? ホントですか!? 次はそこ登ろうよ、京ちゃん!!」 京太郎「どの辺にあるんですか? 清澄山は」 久「千葉県」 九月末 咲「ふぅ……ようやく筋肉痛にもならなくなってきたよ…」 京太郎「よかったよかった。この調子でいけば、10月末ぐらいに2,500メートル級に挑戦できそうだな」 咲「大丈夫かなぁ……遭難とかしないかなぁ…」 京太郎「それに関してはツアーに申し込んどいたから大丈夫だろ。俺なんか比べものにならない、プロの人たちがついてる」 咲「い、いつの間に……」 京太郎「都合よく長野の2,500メートル以上の山に登ろうツアーがあって、それが都合よく来月末で、都合よく高校生以上対象だったからな」 咲「おぉ、それは都合のいい」 京太郎「登山日は10月27日。その前の日に家をでて、近くのホテルに泊まってって感じだ」 咲「なるほど……あれ? 27日って平日だよ?」 京太郎「おいおい、その日は都合よく創立記念日だっただろ?」 咲「あ、そうだったね。都合よく創立記念日なんだった」 咲(………27日かぁ……さすがに覚えてないよね? 一度しか言った記憶ないし……) 京太郎「……………」 10/27 京太郎「…ふぅ……いよいよ森林限界に挑戦だな」 咲「………だね」 京太郎「とはいっても、途中まではバスだからな。実際に2,500メートル登るわけじゃないのは楽でいいね」 咲「……だね」 京太郎「……ちょっと緊張してる?」 咲「かなり。……そういう京ちゃんも、心なしか緊張してない?」 京太郎「……してる」 咲「ふふっ、珍しいね」 京太郎「……かな?」 27 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします saga 2015年10月27日 (火) 17 39 09 ID w63fpAw70 咲「ふぅ……ふぅ……やっぱキツい…………でも、天気は良くてよかったね」 京太郎「だな。風は冷たいけど、体もだいぶ温まってきたし」 咲「ふぅ……おじいちゃんおばあちゃんもいるし……ふぅ……そんなに早いペースじゃなくて……ふぅ……助かったよ……」 京太郎「……咲はその呼吸法を身に付けてから、あんまバテなくなったよな」 咲「呼吸のリズムは一定に保つのが……ふぅ……コツだって高鴨……ふぅ……さんが教えてくれたんだ……ふぅ……」 京太郎「足幅は小さく、若干外股で、呼吸は一定。今まで練習してきたものがいかんなく発揮されてるな」 咲「ふぅ~……ここで一旦休憩だって…」 京太郎「大体、50分くらい歩いたら休憩が入るみたいだね。記念撮影なんかもそのタイミングでだそうだ」 咲「…今、どのくらいの高さなんだろうね?」 京太郎「さぁ……今までの経験だと、大体50分で300メートルくらい登ってたと思うけど……ちょっと分からん」 咲「……登り切れるか、不安になってきた」 京太郎「最悪、途中でリタイアして帰りに混ぜてもらおう。山頂までは無理でも、森林限界さえ超えればいいわけだしな」 咲「…そだね。山頂は無理でも、せめて森林限界は超えて見せるよっ!」 咲「…っはぁ……はぁ……」 京太郎「…大丈夫? 無理なら休ませてもらった方が……」 咲「ま…まだ……もうちょっとだけ…頑張る……」 京太郎「……そっか。でも、帰りもあるんだからあんま無茶はすんなよ?」 咲「…うん。……頑張るよ~……」 咲「…ぜぇ……ぜぇ……っは……ぜぇ…」 京太郎「……だいぶ緑が減ってきたな…花も見覚えないようなやつばっかだ」 咲「そ……そうだね……」 京太郎「……多分、もうすぐ森林限界だ。……もう無茶すんなとも言わないから……あと少し、頑張ろう」 咲「……うん!」 「ワハハー、森林限界に着いたぞー」 「か……片腹大激痛……」 京太郎「……森林限界、今超えたってさ」 咲「……も、目標達成……」 京太郎「……20分休憩したらまた登るらしいけど……どうする?」 咲「…帰りのことも考えて、ギブアップで」 京太郎「……そっか」 咲「…京ちゃんだけでも、登ってきたら? まだ余裕あるんでしょ?」 京太郎「……いや、いいや。俺もここで帰りを待つことにするよ」 咲「……いいの?」 京太郎「いいの」 咲「……ふぅ……でも、森林限界まではこれたね」 京太郎「よく頑張ったな。偉いぞ」 咲「あ、ちょっと…頭撫でないでよ…汗で髪ぺっちゃりしてるんだから……」 京太郎「あ、悪い悪い…」 咲「………昔、山に登ったことがあるって言ったじゃん?」 京太郎「ん…夏頃に言ってたな、そんなこと」 咲「山登りのこと自体は覚えてなかったんだけどさ………山であったことは覚えてるんだ」 京太郎「?」 『森林限界を超えた高い山の上』 『そこに花が咲くこともある』 『お前もその花のように――強く――』 34 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします saga 2015年10月27日 (火) 17 53 39 ID w63fpAw70 咲「嶺上開花を知ったのもその時。登山で唯一覚えてるのは、その記憶だけ……まぁ、実際はほとんど車で行ったんだと思うけどね」 京太郎「………」 咲「それを思い出して……それで、森林限界の上に行ってみたいなって……」 京太郎「………」 咲「……こんなキツイとは思わなかったけど……そりゃ花も咲かなくなるよね……」 京太郎「……そんな咲に、渡したいものがあります」 咲「え? 何? 水ならさっき飲ん……」 京太郎「誕生日おめでとう、咲」 咲「……これ…アイビー……だっけ?」 京太郎「そ。10月27日の誕生花。他にもいろいろあるらしいんだけどね…咲にはこの花かなって…」 咲「……私に?」 京太郎「咲に」 咲「覚えててくれたんだ…」 京太郎「サプライズってやつだ……いつ気付かれるかとヒヤヒヤしたけどな」 咲「…………ふふっ……あははっ!」 京太郎「ど、どした? いきなり笑いだして」 咲「ん? ううん……お姉ちゃんが言ったこと…本当だったなって」 「森林限界の上に……花が、咲いちゃった!」 そういって笑う彼女の表情は…まるで花のように。 綺麗で。 可愛くて。 可憐だった。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3488.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388925097/ 京太郎『……つうわけだから』 京太郎『和は恩返しとか考えなくてよかったんだよ』 京太郎『ずっと俺が恩返しする側なんだ』 和『納得できません』 和『私が忘れてしまったことの恩返しなんて要りません』 和『私が恩返しをするべきなんです』 和『京太郎くんがいたから、私は今こうしてここにいるんですよ』 京太郎『そんなの俺だってそうだ、和がいなかったら今の俺は無いんだよ』 京太郎『和が答えてくれたから、俺はまた和に会えたんだ』 京太郎『和がいてくれたから、俺は和を救えた』 京太郎『俺は、何もやってないんだよ』 和『……納得できません』 京太郎『それにさ、恩返しするっつっても俺は和には十分恩返ししてもらってるよ』 京太郎『俺のこと応援してくれて、麻雀も勉強も教えてくれただろ』 和『そんなことは京太郎くんも同じですよ』 和『京太郎くんも私を応援して、放課後は家まで送ってくれて』 和『休日でも、今日みたいに遊びに誘ってくれるじゃないですか』 京太郎『いや、それは、俺が……』 和『俺が?』 京太郎『俺、が……』 京太郎『…………』 京太郎『今は……言えない』 和『そう……ですか』 京太郎『……あ、もう着いちまったな』 和『……もう、ですか』 和『今日はありがとうございました』 京太郎『おう、また明日、学校でな』 和『……京太郎くんといる時間は、楽しくて、好きです』 和『京太郎くんが楽しい時間をくれるので、しっかり恩返しはされてますよ』 和『私にまだ恩返しがしたいと言うのでしたら、また今度、楽しませてください』 和『納得は、していませんけれど』 京太郎『……なら、また誘うわ』 和『楽しみにしてます』 インターハイが終わり、俺が和を誘ってプールへ遊びに行った日の帰り道で、俺は和に昔のことを打ち明けた 高校生の俺の最後の夏が終わって一区切りがついたから、和に話す決心がついたんだ やはり和は俺との出会いを憶えていなかったようで、故に俺はこんな感じで和と揉めてしまった ……遊びへ誘うのが恩返しなんて思ってはなかった ――――今は……言えない いつかは言ってやる、そう決めた そう決めてから、もう半年が経った ダメじゃん 長野の雪の脅威はようやく撤退を始めたようだ 高校生活最後の日に相応しく空は蒼い顔をのぞかせている 春とはとても言えないような寒さが道を行く高校生たちの背中を丸めさせる 茶色やら紺色やらのコートとひらめく青いスカートの下には黒に包まれた脚が目立つ 黒ストに締められた脚って至高だよね まあ、去年のプールに和が着けて来たビキニと溢れんばかりのおっぱいの方が究極だったけど ……なんで二人だけで行ったのに何も言えてないんだよ、俺 竹井部長がいなくなってから、染谷先輩がいなくなるまでの時間は早く経った 和が部長になってから、今までの時間はもっと早く経った ちなみに俺は元副部長、この三年間で男子部員の入部は0 笑えてくる、実績無いから仕方ないけど0って言う数字は笑えてくる 女子はあれから六人入ったって言うのにさ……はぁ 俺の大会の戦績はあまりぱっとしない、精々去年のインターハイで4位だったことぐらいしか目立ったことが無い 4位なので決勝卓で目立った1位、2位の人とは違って俺にはインタビューとか全然来なくて俺は空気同然だった、泣いた だけどおかげで和のおっぱいで疑似ぱふぱふができたから結果オーライだった ありがとう、なんか顎の尖った人 二年弱をかけて、俺と和の関係は名字呼びから名前呼び 前はごくまれに部活の帰りに家まで送ってたけど今は勉強のためにお互いの家を訪れるように…… そんな感じの進展を果たした……だけ お、これいけるんじゃね?と思うような雰囲気になったことは結構あったけど怖気づいて何もできないばかりだった 咲にヘタレヘタレ言われるようになったのが癪に障る今日この頃である 俺だって何もしなかったわけじゃないんだけどなぁ ……こぼれるあくびを塞いだ拍子に細めた目がなじみのピンク色を捉えた 和「ほろほろははひへふへはへんは?」 京太郎「和のほっぺが柔らかかったから仕方ない」 和「変な責任転嫁しないでください」 京太郎「ホント柔らかいんだよ和のほっぺ、魔性のほっぺだなこりゃ」 和「何ですかそれ」 京太郎「吸い付いたら離れられない、もっちもちのほっぺ」 和「そこまでですか?」 京太郎「なんなら俺と比べてみろよ」 和「……はぁ」フニッ 京太郎「……和の指もやわらかいな」プニッ 和「勝手に感じないでください」フニーッ 和「こんなとこ、知り合いに見られたらどうするんですか」 京太郎「ダイジョーブダイジョーブ、先っちょだけだから」 裕子「ちょっ、二人とも!邪魔するなって!」 京太郎「ん?」プニッ 和「今の声は……」フニッ マホ「おはよーございます!」 裕子「すいません、こいつら黙らせます」 ミカ「柔らかい……吸い付く……感じる……勝手に……先っちょ……」カァァ 京太郎「何か発想がおかしい子がいる!?」 裕子「私たちは先に講堂行くので、さよなら」 マホ「また放課後に会いましょー!」 ミカ「失礼します」 京太郎「……仲良いな、あいつら」 和「私たちの学年も似たようなものですよ」 京太郎「あー、そうかもな」 優希「よっ、京太郎!」バシィッ 京太郎「なんで鞄の角で叩きやがったこんにゃろー!」クワァッ 咲「優希ちゃん!京ちゃんも……」 和「まあ放っておきましょう」 和「あの二人は本当に変わらないですよね」 咲「あはは――だね」 咲「――和ちゃんは、変わりたいと思う?」 和「どういう意味ですか?」 咲「そのまんまかな」 和「変わる……ですか」 京太郎「ぎゃーっ!モモカン入ったぁーっ!」ゴロゴロ 優希「ざまあみろだじぇ!」 和「……はい、今日こそは」 咲「そっか、頑張ってね、応援してるよ」 和「はい……絶対」 高校三年生になって、京太郎くんと私は同じクラスになりました 一度目の席替え以来、私と京太郎くんは隣の席になり続けていました 部活の書類関係などの雑務は部長の私と副部長の京太郎くんとでこなすことが多くなり、 同じクラスなので昼食は大抵一緒に食べていました 誕生日を祝ってもらって、祝ってあげて 遊びに連れて行ってもらって、お宅にお邪魔して勉強を教えてあげて 私と京太郎くんの距離は一年生の時よりもずっと近づいたと思います ―でも、もっと近づきたい いつからか、ゆーきと仲良く騒ぐ京太郎くんを見ていると胸がふつふつとざわついて 京太郎くんに頭を撫でられる咲さんが羨ましくなって クラスのあちこちで会話を繰り広げる京太郎くんを目で追うようになって 京太郎くんに家まで送ってもらった日の夜は胸が押し潰されるような、でもどうすることもできない変な感触を覚えていました これが、京太郎くんへの恋心であることを実感したのは、いつでしたっけ 卒業式はあっという間に終わり、裕子たちが開いてくれた送別会もとても楽しいものでした このあとのことは任せてください!と胸を張る裕子、鼻水を垂らして涙を流すマホと、 マホを慰めているはずがもらい泣きをしてしまったミカ 他の子たちも、私たちのことを惜しんでくれました 「原村部長、御達者で!」 「優希先輩!私、優希先輩みたいに強くなります!」 「宮永先輩はずっと憧れてました!大学リーグでも頑張ってください!」 「……俺は!?」 泣いて、笑って、みんなと別れたときにはもう家屋から漏れる明かりと街灯ばかりが目立っていました 一日経っても、何も変われなかったなぁ…… 大きく白い息を吐いていると、後ろから声がかけられました 聞き慣れた、優しくて、時々格好よさを見せる声 声の主は京太郎くん、私のため息の原因でした ここ暗いから送ってくよ、と手を握った京太郎くんに頷きました まばらな街灯が照らす道 何度も二人で歩き慣れた道 私と京太郎くんとの二人っきり 思い出話に花を咲かせながら、二人で歩く 二人で星空を見上げて、これは何座だとか適当な話をして過ごす帰り道 いつもとあまり変わらない帰り道 気が付くと話は途切れていて、二人して俯いていました いつもありがとうな、と徐に顔を上げた京太郎くんが笑いました こちらこそ、と返して私たちはまた黙りこみました 「和ちゃんは、変わりたいと思う?」 ……そうだ、これは最後の機会 これを逃せば、同じ大学とは言え、京太郎くんが他の子に奪い取られてしまうかもしれない たった一言、しっかりと口に出せばいい 「一回勇気を出すだけ、もう少しだけ精一杯」 頭の中で決心がつきました 京太郎「あー、あのさ、俺、和に言いたいことがあるんだ」 和「え?」 京太郎「言いたい、ってか言わなきゃいけないこと」 和「……奇遇ですね」 和「私も、京太郎くんに言いたいことがあります」 京太郎「……そっか」 京太郎「じゃあ、同時に言ってみるか」 和「……ええ、そうしましょう」 京太郎「おっけ、んじゃ――――せーの!」 言葉が、重なる 二つの音が、重なる 沈黙が、重なる 笑い声が、重なった ,.ー-‐.、 ヽ、 ヽ __ /,..-ニ‐- '"_,..) / ̄\ _,.‐-、 ' ´/ , _ 、´ / ヽ ' 、 .ノ _ _ ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\ / _| r ヽ i'´ ` ! , ',. -一' ./..'/ .} / <_ ,..-、 ! l i ヾ、_ / ,. '′ ,..,. ,/ ./ `ー-イ \ / ヽ ! ! し , iヽ、i / / { \ヽ i' _,/ ,.イ ̄`'´ /! ゙、 l ! / ヾ | ー'´ `´\ ヽヽ ! / ̄ // / / | └! .i! .!┘ ヽ r'´ ,.'⌒ `,. l ! 〈 \| | | | l !l .! ヽ ! ! ゝ-‐'´ /l .! ヽ r/ ヽ/ | l .l ! l i ゙、 \ / } .}ー"ヽ ヽ ヽ__// _ r、__, ,、 __,ノ l .! l .! | ト、゙、 `ヽヽ j ノ`ー-、 } ./ / | | ≧、__|  ̄ ____r' 」 l、゙、_ノ」__ン____________゙、`' /__ ヽ/_/ ./ | |________  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ } ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄"'´ ̄ ̄ ゙、. | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽノ ヽ、ノ . エピローグ 重なる心
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6462.html
旅館・自室- 京太郎「さて、そろそろ寝るかなー」パチンッ 京太郎(あぁ、なんだかんだで疲れてきたのか……眠く) ??「」スッ ボフッ 京太郎「ん、誰だ!?」 京太郎「み、美穂子さん!?」 美穂子「京太郎君、好きよ?」 京太郎「あ、はい、それは……えっと、ですね?」 美穂子「良いの答えなんて求めてないけど、私ね、京太郎君のことになるとおかしいの」グッ 京太郎(う、馬乗りに!?) 美穂子「ごめんね……?」 ガチャッ! 美穂子「ッ!?」 京太郎「!?」 美穂子「なっ、貴女はっ!?」 咏「ロン!」 美穂子「うっ」バタリ 京太郎「う、咏さん!」 咏「モテモテだね、京ちゃん」ニコッ 京太郎「え、あ……は、はい?」 美穂子「うぅ……」 京太郎「美穂子さんを運ばないと!」 咏「おっと、京ちゃん、せっかく助けたのに何もなし?」 京太郎(ど、どうする?) 京太郎「一応聞きますけど」 咏「じゃあちょっと頭下げて?」 京太郎「ん?」カガミ 咏「んっ」ガシッ 京太郎「んむぅっ!?」 京太郎(き、キス!?しかも舌がっ!?) 咏「ぷはぁっ……」カァッ 京太郎「な、なななっ、なにをっ」カァァッ 咏「お礼はもらったぜぃ、さてその子は布団もう一度出して寝かせれば良いじゃん」 京太郎「それはちょっと」 咏「私も一緒に寝れば良いんじゃね?」 京太郎「……」 京太郎「まぁ確かに、そうすれば変なことはしてないってわかるわけですし」ウム 咏「じゃあ決定じゃね、知らんけどぉー」ドサッ 京太郎「早いですね、じゃあ布団しいて、美穂子さんを寝かせて……じゃあ俺はこっちで」スッ 咏「おやすみ♪」 京太郎「いや、同じ布団って意味が」 咏「良いじゃん、わかんねーけどさぁ?」 京太郎「わかんねぇって、まぁ良いかぁ~」 咏「んふふっ」ギュッ 京太郎(前のこと思い出す) 咏「おやすみ京ちゃん♪」 京太郎「お、おやすみなさい」 京太郎(明日はさっさと起きないと) 77日目終了- 78日目・朝- 京太郎「ふぁ……」キョロキョロ 咏「んぅ」zzz 京太郎(で、隣の布団には) 美穂子「んぅ……」 京太郎「さて、どうすっかなぁ……?」 京太郎「咏さん~」ユサユサ 咏「ん、京ちゃん……あ、そっか」 京太郎「そろそろ部屋に戻ってください、ね?」 咏「ん、了解ー」スクッ ガラッ スッ 京太郎(よしっ!これで良い!) 京太郎「美穂子さん?」ユサッ 美穂子「うぅん、あら京太郎君、おはよう」ニコッ 京太郎「あぁどうもおはようございます」 美穂子「あら、昨日は?」 京太郎「突然寝ちゃったんですね」 美穂子「あら、そうだったかしら?」 京太郎「はい、なので隣の布団にと思って」 美穂子「あらあら、ありがとう」 京太郎「いえいえ」 美穂子「じゃあ風越の部屋に戻らないいけないわね」スクッ 京太郎「はい、ではまたあとで」 美穂子「えぇ、またあとでね」フリフリ 京太郎「穏便にことが済んだな!」 朝- 京太郎(次は朝御飯だな、そうだな!) 京太郎「さて、どうすっかなぁー」 京太郎「よし風越と」 美穂子「あら?」 華菜「ん?」 京太郎「どうも、一緒に行きませんって思って」アハハ 星夏「そうですね、行きましょうか」 純代「うん」 未春「あまり話さないから新鮮だなぁ、華菜ちゃんやキャプテンとは仲が良いみたいだけど」 美穂子「もお~」フフッ 華菜「おし、行くぞ須賀ァ!」 京太郎「うるせぇぞ池田ァ!」クワッ 宴会場- 京太郎「まだ誰も来てないですね」 美穂子「そうね」 華菜「適当に座るし!」 京太郎「じゃあそうするかな」ウン 衣「京太郎の隣をもらうぞ!」 京太郎「おう、いらっしゃい」ニコッ ゆみ「私もいいか?」 京太郎「はい」 京太郎(一瞬、両側から恐ろしいプレッシャー感じたぞ) 衣「京太郎、これおいしいぞぉ!」 京太郎「そうだな、んこれもいける」 ゆみ「産地がここらなんだろう、この野菜もいける」 衣「や、野菜か……」 京太郎「食え食え、子供じゃあるまいし」 衣「衣は子供じゃない!食べるぞ!」 京太郎「良い子だな」ナデナデ 衣「えへへ」 ゆみ「そう見ていると兄妹のようにも見えるな」 衣「お姉ちゃんと呼んでも良いんだぞ!」 ゆみ(いや、天江は妹という意味で言ったんだが?) 京太郎「はいはい、衣お姉ちゃん」 衣「今のもう一回頼む」 京太郎「お断りだ」モグモグ 衣「頼む!」 京太郎「衣お姉ちゃん」 衣「えへへ」ニヘラ ゆみ(見事に顔が緩んでるな)ウン 昼前- 久「それでは、これから麻雀の練習をするわけですが鶴賀と龍門渕と、個人戦選手同士はやりあわないように!」 咏「色々見て回っから、なんか気になることとかあったら言えば良いんじゃね?オカルトとかで」 京太郎(さて、はじまったわけだがどうするか) 京太郎(あの人にはやめておけって言われたけど、まぁ良いか!)ポン 咏「ん、打つのかい?」 京太郎「はい」 京太郎「さて」 咲「はじめようか」 咏「負けないぜぃ」 智美「ワハハ、とんでもないところにまぎれこんでしまったか」 睦月(南無三) ゆみ(死んだな) モモ(成仏してくださいっす) 佳織(智美ちゃん、今までありがとう) 京太郎(さて、あまり本気を出してもな……)スッ 咲(咏さんとやるのも久しぶりだなー、楽しもう!)ゴッ 咏(どうすっかねー)ゴゥッ 蒲原(……さて、どこから撃つか)スッ P能力『コキュートス』発動 効果:和了判定を強制的に2位にする 京太郎(さて、火力で押しつぶす!) 能力『迫りくる怒涛の火力(喰)』発動 咲(京ちゃん、悪いけど) 咏(もらうぜ!) 能力『火力の極致』をチェーン発動 京太郎(咏さんか!) 京太郎(さて、一には悪いが使わせてもらうぞ!)ゴッ 咏(ん~?知らんけどなんかしてんなぁ) 京太郎(行くぞ!) 能力『死のマジックボックス(喰)』発動 判定:安価にてゾロ目 京太郎(俺のマジックショーの始まりだ!) 能力『死のマジックボックス』成功 咲(じゃあ、私もかな)スッ 能力『魔神の一撃』をチェーン発動 京太郎(次は咲かよ!) 京太郎(喰うか!)ギンッ 咲(来るの、京ちゃん!?) 智美(ならば!)ゴッ 能力『カイーナ』発動 京太郎(塞ぐ!) 『心鎮壺のレプリカ(喰)』を発動 智美(やるなーワハハ、俗物め) ◇効果処理開始 京太郎(さて、塞がせてもらう!)ギンッ 能力『心鎮壺のレプリカ(喰)』を発動 効果:相手の能力を無効 智美(防いできたかー)ワハハ 能力『カイーナ』無効 京太郎(さて、喰わせてもらうぞ咲ィ!)グォッ 能力『魔物喰い』発動 咲(来たッ!?)ゴッ 咏(暴食だね……ッ、周囲が!?) ゆみ(この感覚は……!)ゴッ 智美(強いなッ!)ゴッ 睦月(ん?) モモ(なんっすかこの感覚っ!?) 佳織(え、みんなおかしい?) 衣(魔断剣が疼いている!?)ゴッ 京太郎「~~ッ!?」ドクンッ 京太郎「がっ……」バタッ 咲咏「京ちゃん!?」 智美「え!?」ワハハ ?- ?「だからするなと言ったのに」 京太郎「でもさぁ」 ?「でももなにもない、こっちだって心配するんだから」 京太郎「おう、すまん」 ?「まぁともかく、あの魑魅魍魎渦巻くなかでのお前の麻雀は危険すぎる」 京太郎「そうなのか?」 ?「オカルトに対する感応能力が元々高いお前が暴食でさらに強化され色欲でまた強化され、そんな状況であれだけの魔物の中で暴食なんて発動すればそりゃ……まぁ発動しなくてもあのワハハにやられてただろうけれどな」 京太郎「智美さんに?」 ?「まぁそのうち色々わかるさ、とりあえず今のところ危険な女もいないからしばらく絡まなくても問題ないぞ」 京太郎「そりゃどうも」 ?「ってことで、次からは気をつけて」 京太郎「了解~」 ?「ってことで、今日は構ってくれても……」チラッ ?「また居ない!?」カマエ! 夕方- 京太郎「ん、あぁ?」 京太郎「んぇ?」 京太郎「あれ、原村さん?」 和「あぁ、起きたんですね須賀君」 京太郎「ここは?」 和「須賀君のお部屋です、麻雀の最中に突然倒れてしまって、私が看病をしようと」 京太郎「あぁ悪い、せっかくの練習なのに」 和「いえ、私はもう麻雀は……できませんから」ボソッ 京太郎「ん?」 和「なんでもありません」ニコッ 京太郎「それにしても情けない、みんなの異能にあてられて倒れるなんて」 和「ありえません」ニッコリ 京太郎「え、えぇ?」 和「そんなオカルトありえません」SOA 京太郎「……は、はい」 和「わかってくれてなによりです」ニコッ 京太郎「みんなを心配させちゃったかな?」 ガラッ 京太郎「おう!」 透華「京太郎、原村和に起きたとは聞きましたけど、本当に大丈夫なんですの?」 京太郎「まぁ全然余裕だよ、ちょっと当てられただけだ」 純「京太郎が倒れたのになんでオレたちが倒れてないんだ?」 京太郎「敏感なんだろ、俺は」 智紀(京太郎……敏感……)モンモン 一「まぁ無事だったし良かったよ」 京太郎「おう」 衣「京太郎、大丈夫か?」 京太郎「ん、もちろんだ!」 京太郎(衣も、たぶん相当な存在になってきたよな)ウン 衣「どうした?」 京太郎「ん、なんでもないさ」 京太郎「ん、そういえば一はこれからどういう方針で練習するんだ?」 一「ん、オカルト強化といきたいけど、やっぱり麻雀の力を強化しないといけないよねぇ」 京太郎「全国行ったら化け物だらけだけどな」 一「でも本物の化け物の相手は衣がしてくれるはずだから」 京太郎「それだ、衣だけってのもなぁ」 一「衣だけじゃ勝てないっていうのはわかってるんだけどね」 京太郎「難しいところだな」 一「だねぇ」ウンウン 京太郎(ダメだ) 一(昨日のこと思い出す) 京太郎「ふぅ、さて次はどこに行くかなぁ」 京太郎「咏さーん」コンコン ガラッ 咏「ん、起きたって聞いてたけど良かったぁ~」フゥ 京太郎「ご心配おかけしました」 咏「お茶淹れるよ」 京太郎「ん、ありがとうございます」 咏(はやりんならここで盛るぐらいすんだろうなー、知らんけど) 京太郎「鶴賀の話なんですけど」 咏「あぁ、部長だよね、あの子が中心に広がってるんだと負うけど」 京太郎「いや加治木さんは部長じゃないっす、ワハハって言ってる蒲原智美さんが元部長です」 咏「ん、わかんなくなってきた、わっかんねー、とりあえずあの加治木ゆみってのが中心だね」 京太郎「中心って?」 咏「魔、のだよ……あぁもう、こういうのははやりんとかすこやんとかの方が詳しいんだけどなぁ、もっと言うと大沼のじいさん」 京太郎「大沼プロか小鍛冶さんかはやりさんですか、今度それとなく聞いてみます」 咏「うん、それよりも京ちゃんもだいぶダメージ入ってるみたいだから気を付けて」 京太郎「了解です!」 夕方2- 京太郎どこ行くかぁ」 京太郎「また来ちゃった」 透華「一緒の部屋にすれば良かったかしら?」 純「それはダメだろ」 一「だ、ダメ!」バッ 智紀「なんで必死?」 衣「一緒の部屋でも良かったなぁ」 京太郎「どうだった?」 智紀「リベンジできなかったけど、また役満してたみたい」 京太郎「ゾッとするな」 智紀「うん、でも今度は負けない」 京太郎「長野二校で決勝行ければ良いんだけどなぁ」 智紀「うん、そうだね」 京太郎「頑張れよ?」 智紀「うん、京太郎も偵察ありがとう」 京太郎「おう、お前(たち)のためならなんのその」ニッ 智紀「そ、そう……」カァッ 夜- 京太郎「さて晩御飯だなー」ウム 京太郎「行くかな」 京太郎「おーい」 純代「ん、須賀君」 京太郎「どうも」 美穂子「あら、じゃあ一緒に行きましょうか」 京太郎「了解っす!」 華菜「よし、沢山食うし!」 京太郎「太るぞ」 華菜「須賀ァ、テメェ!」 星夏「そういえば須賀さんもプロ麻雀せんべいのカード集めてるんですよね!」 京太郎「あぁ、って文堂さんも?」 星夏「はい!」 華菜「無視すんな須賀ァ!」 未春(池田さんと須賀君、仲良いなぁ) 宴会場- 京太郎「やっぱ一番乗りですね」 美穂子「またね」 華菜「座るし!」 京太郎「おし」ウン 和「隣失礼しますね」 京太郎「ん、おう」 モモ「逆はもらうっすよ」 京太郎(わぁい、オモチだぁ) 咏咲「」チッ 美穂子「」ニコニコ 京太郎「」ゾクッ 京太郎「ん、これ美味いな」 和「私のいりますか?」 京太郎「え、いいの?」 和「はい、どうぞ」アーン 京太郎「ありがと、あむっ」ムニ 京太郎(当たった) モモ(やるっすねおっぱいさん!しかし私はいつでも抱きつけるんっすよ!)ギュッ 京太郎「ぬおっ!?」 モモ「そういえば、埋め合わせしてくれるんじゃないんっすか?」 京太郎「あぁ……また後でな!」 和「仲がよろしいんですね」ニコッ 京太郎「まぁま」 モモ「凄く良いっすよ!」 京太郎「ごちそうさまでしたっと、どうするかな~」 京太郎「よし行くか!誰とも遭遇しませんようにっと」 京太郎「ん、まさか遭遇しちまうか?」 京太郎「純か!」 純「おうどうしたって、風呂か……」 京太郎「お前もか」 純「おう……」 京太郎「よ、よし俺は入るぞ!」 純「お、俺も入るぞ?」 京太郎「そ、そうか!向こうで会おうぜ!」サクラン 純(あ、あいつ何言ってんだよ)カァッ 温泉- 京太郎「……」 純「……」 京太郎(なんでこうなったかなぁ) 純「そういや、京太郎も大きくなったなぁ」 京太郎「お前と会ってからじゃそんないうほどでもないだろー」 純「そうでもねぇよ、いつか抜かされるなこれじゃ」 京太郎「そうだなぁ」 純(落ち着かねぇ)カァッ 京太郎「ん~、でも本当に気持ちいいなぁ」 純「そうだなぁ、こうしてお前といると落ち着くな……さっきまで落着けなかったけどさ」 京太郎(なんか話を振るかなぁ) 京太郎「東京行ってインハイかぁ」 純「ん、どうした?」 京太郎「いや、俺も一緒に行けるなんてなぁ」 純「個人で負けてもお前は連れてくる予定だったけどなぁ」 京太郎「いや、個人で勝ち抜けたのも意外だよな」 純「なんでだよ、あれで負けると思ってたのか?」 京太郎「いや、基本的に咏さんとか咲ととだったからな」 純「うわ、納得……」 京太郎「はは」 純「ファミレスも行かなきゃな」 京太郎「ん、なんで?」 純「……まぁ良いから、一緒に行けば衣が喜ぶ」 京太郎「ん、そうか……これからも頑張ろうな」グッ 純「おう」コツッ 脱衣所- 京太郎「ふぅ……スッキリしたなぁ」 京太郎「さて、どうするか!」 京太郎「ん~眠くなる」 衣「京太郎ー!」 京太郎「おう、衣かどうした?」 衣「遊びに来た!」 京太郎「遊びに来たってもなぁ、やることなんざないぞ」 衣「ん、なんだか京太郎が私を見る目が前までと違ったように見える」 京太郎「そんなことないぞ?」 衣「本当か?」 京太郎「本当だよ」ナデナデ 衣「えへへ」 京太郎(いや、嘘だよなぁ、でもなんかゆみさんたちや咲とはまた違う感覚なんだよなぁ……なんだ?) 自室- 京太郎「さて、どうすっかなー」 ガラッ 京太郎「咏さん~」 咏「ん、京ちゃんやけに会いに来るじゃん」 京太郎「そりゃまぁ……ねぇ?」 咏(やっぱり私が勝ち組ってわかだ!知らんけど!) 咏「まぁ良いんだけど、どう……する?」スルッ 京太郎(さ、誘われてる!?) 京太郎「だ、だだだ、ダメですって!」 咏「あはは、冗談に決まってんだろー、知らんけど」 京太郎(いかんいかん、旅館でした暁にはどうなることやら……きっと変態として祭り上げられるに違いない) 咏(まぁ、してるのがばれたら京ちゃんとあたしが血祭にされかねねーしなー) 京太郎「まぁともかく、なんか話でもしときましょうよ」 京太郎(えぇい、おさまれ我が半身!) 咏「ん、そうだねー」 咏(残念かも、わかんねーけど) 自室- 京太郎「さて、そろそろ寝ないとな」 京太郎「あれ、電話がかかってきた?」 京太郎「あれ、はやりさん?」 ピッ はやり『もしもし京ちゃん、出るの遅いゾ☆』 京太郎「おぉう、すみませんどうしたんですか?」 はやり『今はどこに誰といるのかなって♪』 京太郎「ん、一人で部屋にいます」 はやり『そっか、なら良いんだけどぉ、そういえば出たWEEKLY麻雀TODEY見たよ!』 京太郎「あぁ、俺が取材受けたやつっすか」 はやり『恋人って言って私のこと出しても良かったんだよ☆』 京太郎「いえいえ、それはちょっと」 はやり『えー京ちゃんのことこんなに好きなのにー!』 京太郎「や、やめてください」カァァッ はやり『にゃはは、それじゃあまたね♪』 京太郎「もう、はい、それじゃまた、おやすみなさい」 プツッ 京太郎「あの人からかうためだけにかけてきたのか?」 旅館・自室- 京太郎「さて、そろそろ寝るか」パチンッ 京太郎(ん、案外眠れそうだなぁ) 京太郎「んぅ……」zzz 78日目終了- 79日目・朝- 京太郎「ふぁ~」 京太郎「どうするかなぁ」 京太郎「もう一回寝よう」zzz ドサッ 京太郎「っ!?」 智紀「お、起きた……」カァァッ 京太郎「な、なんで馬乗りに?」 智紀「お、起きなかったからや、やってみた」カァッ 京太郎「そ、そうか」カァッ 智紀「わ、私も透華に、負けたくない……からっ」 京太郎「へ?」 智紀「な、なんでもない」フイッ 京太郎「そんなことより、早くどいてくれ」 智紀「重かった?」スッ 京太郎「いんや」 京太郎(お前の尻にギュッってされてるんだよ、当分動けん) 京太郎「ふぅ、おうおはようさん」 透華「遅いですわよ」 京太郎「ん、帰るのか?」 智紀「帰る」コクリ 一「起きるの遅いよ京太郎、鶴賀も風越も帰っちゃったし」 京太郎「ん、そうだったのか」 純「風越のキャプテンが弁当くれたぞ」 京太郎「それは期待できるな」 ハギヨシ「みなさま、お迎えにあがりました」 透華「ご苦労ハギヨシ、さて行きますわよ!」 咲「京ちゃん」 京太郎「ん、咲に咏さんも」 咏「よっ」 咲「それじゃ、またね!」ニコッ 咏「あたしは清澄と一緒に帰るから」 京太郎「おう、咲も咏さんもまたな」バッ 車内- 京太郎「え、昨日の晩は透華ずっと冷やしだった?」 一「うん、やっぱ凄かったよ、衣と宮永さんとたまたま藤田プロがいた卓に同席して」 純「藤田プロボコボコにしてたけどな」 智紀「あの中じゃ一番弱いから」 京太郎「いやプロだぞ」 衣「藤田に負ける衣ではない」エヘン 京太郎「だからプロだって」 透華「相手ではありませんわね!」 京太郎「お前覚えてないだろ」 智紀「あ、これおいしい」 京太郎「美穂子さんがせっかくくれた弁当なんだし味あわないとな!」 透華「……」ムッ 龍門渕家前- 京太郎「それじゃあな」 衣「またな!」 ハギヨシ「自宅まで送っていくぐらいはしますが?」 京太郎「いえ、ありがたいですけど今日は自分で帰ります」 透華「では気を付けるように!」 京太郎「了解!」 昼過ぎ- 京太郎「さて、どうするかなー」 京太郎「さて、どうすっかなー」 バイト「いらっしゃいませー」 京太郎(今日はどうするかな……) バイト「こちらのお席へどうぞ」 京太郎「どうもとりあえずアイスティーを」 バイト「はい」 京太郎(あぁ~なんか落ち着くなぁ) 京太郎(落ち着くな……) 夕方- 京太郎「さて、どうするかな」 京太郎(よし、偵察に行こう!) 京太郎「あれ?」 京太郎(偵察に行くって……どこに?さすがにどこも解散して家に帰ってるだろ……) 京太郎「うん、無いな」 夕方2- 京太郎「結局またドリンクを飲んでしまった、次こそ動くぞ!」 京太郎(さて、残ってどうするか……) 京太郎「麻雀卓空いてます?」 バイト「はい、あちらに」スッ 京太郎「どうも」 京太郎「お」 優希「あ」 和「え」 睦月「む?」 京太郎「まさかこんな風に出会うことになろうとは」ハハッ 睦月「まったくだな、昨日ぶり」 優希「よし、打つじぇ!」 和「そうですね」ニコッ 京太郎(さて、どうすっか……ぁ?)ドクンッ 和「さて、お願いします」 優希「ぶっとばしてやるじぇ!」ゴッ P能力『東場のタコ』東場により発動 効果:和了判定を30上げ、点数を10上げる 京太郎(な、んだ……?)ドクンッドクンッ 睦月「まずは場を整える……」スッ P能力『ルルイエ』発動 効果:全員の和了判定を0として扱い、自分の和了判定を+20 京太郎(……な、あばれっ、頭がっ!?)ガクッ 和「須賀君!?」 椅子から転げ落ちた俺は、あまりの頭痛に声もだせなくなる なにかが頭の中で暴れまわっている、俺の神経がやられるのがわかる 和「須賀君!?」 睦月「どうした京太郎君!?」 俺を呼ぶ声も、すぐに聞こえなくなる なにが暴れまわってて、俺のなにを食らってるかなんて考える必要も今更無いだろう…… だって、俺は死んでいなくても、二度と起きることはないだろうから 暴食暴走BADED ※その前にBADED(ゲームオーバー)のため『カピーの部屋』に送られます ルールル、ルルル、ルールル、ルルル、ルールールールールー ハギヨシ「えー今回は二回目の登場です、須賀京太郎君」 パチパチパチ カピー「夢の綺麗で美人なお姉さんに言われたじゃん、合宿に行く前に一回、行って倒れた後に一回」 ハギヨシ「まぁまぁ、忘れてしまったのかもしれません、どうでも良くて」 カピー「どうでも良いって!?」 ハギヨシ「まぁまぁ、とりあえず夢の中で出会う『?』のいうことは聞いておきましょう、ね?」 カピー「本当に、聞かないと大変なことになるぞからね!」 ハギヨシ「だ、そうです、残り二日の我慢ですからね?」 カピー「それじゃ夕方2の時間からだよ」 ハギヨシ「では、またお会いしましょう」 ルールル、ルルル、ルールル、ルルル、ルールールールールー 夕方2- 京太郎「結局またドリンクを飲んでしまった、次こそ動くぞ!」 京太郎(さて、適当に歩くか!)スクッ まこ「ありがとうございました」 京太郎「うおっ、染谷さん!?」 まこ「さすがに帰ってきたわ」 京太郎(ん、この時期になるとこの時間帯も結構暑いなぁ) 京太郎「あれ、文堂さん?」 星夏「あ、須賀君」 京太郎「まさかこんなところで会うなんて、色々買ったみたいですね……あれ、それ全部」 星夏「はい、プロ麻雀せんべえです!」パァッ 京太郎(こいつぁ度胆抜かれたなぁ) 星夏「あ、せんべいだけなら山ほどありますよ、いります?」 京太郎「い、いえ」 星夏「そうですか、欲しくなったら行ってくださいね」グッ 京太郎「りょ、了解っす」グッ 夜- 自宅・自室- 京太郎「ふぅ、どうするか」 京太郎(涼しいなぁ~) 京太郎「さて、どうすっかなー」 京太郎「あれ、池田」 華菜「だから、呼び捨てにすんなって言ってんだろ須賀ァ!」 京太郎「おう、とりあえずどうした?」 華菜「妹も寝て両親も帰ってきたから散歩だし」 京太郎「お前も大変なんだな」 華菜「なんか気持ち悪いし」 京太郎「うるせぇよ……大丈夫か?」 華菜「は?」 京太郎「いや、なんでもないけど」 華菜「なんか今日のお前おかしいし、気を付けて帰れよ~」 京太郎「お前もな」 華菜「おう」 自宅・自室- 京太郎「ん、メール」 京太郎「ん?」 京太郎「あれ、灼さんから」 差出人:灼 本文『長野にいる間ぐらい遊びに来てくれたりすれば良かったのに』 京太郎「んぅ」 本文『すみません、まぁ全国に行ったらお詫びしますので』 差出人:灼 本文『わかった、期待してるから』 京太郎「はは」 本文『おまかせあれ!』 差出人:灼 本文『ハルちゃんも一緒によろしく』 京太郎「さすが灼さん」 本文『了解です!』 差出人:灼 本文『安心した、おやすみ』 京太郎「はい、おやすみなさいっと」 鷺森家・灼部屋- 灼「ハルちゃん、私も一緒で喜んでくれるかな?」フフッ 灼「でも、ハルちゃん泣かしたら許さないからね」ゴゴゴッ 自宅・自室- 京太郎「さて、そろそろ寝るかなー」 カピー「カピ」ドウスル!? 京太郎「ん?」 カピー「カピ!」カマエ! 京太郎「明日土曜日だし良い気もするんだが、うぅむ……」 京太郎「じゃあ、たっぷり遊ぼうぜカピー!」グワッ カピー「カピッ!?」ホント!? 京太郎「もちろんだぜぇ!」ガバァッ カピー「カピ」ヤッ、ハゲシッ! 79日目終了- ?- 京太郎「んぁ?」 ?「……」カァァッ 京太郎「おわっ、な、なんで抱き枕みたいにしてんだ俺!?」バッ ?「オホン、とりあえずまた来たみたいだから一応なんかの相談には乗る、ハギヨシでも知らないことでも答えるよ」 京太郎「あれ、ハギヨシさんのこと知ってるの?」 ?「ま、まぁそれなりに」アセッ ?「とりあえず、何か聞きたいことある?してほしいこととか……」 京太郎「大罪についてなんだけど」 ?「大罪か、あまり深く考える必要はないと思うぞ……今後のことを考えると大事な仲間と考えると良い、場合によっては全員が敵になったかもしれないが今回は、アレが来るから」 京太郎「あれ?」 ?「お前の敵は仲間の敵、ならそれはまさしく最強と言っても良い」 京太郎「まるで意味が」 ?「だから、今は暴食の能力を最大まで高めろ、じゃないとこれからも大変だぞ、あれは強化の値じゃなく制御の値なんだからな」 京太郎「ん~?」 ?「大罪と接触して仲良くはなっておけよ、じゃないと色々大変だからね」 京太郎「わかった」 ?「それじゃ、おはよう」 京太郎「ん、おはよう……?」 80日目- 朝- 京太郎「ん、ふぁ~……おはようカピー」 カピー「カピ!」 京太郎「さて、どうするかな」 京太郎「久々にネトマでもするかなー」 一人目 シロ 二人目 きょーこ 三人目 あわ 京太郎「おう……」 シロ:全員だね きょーこ:そやな、全員やな あわ:え、なにが? キョータロ:ごめん、こいつ新入りなんだわ あわ:どーゆこと!? 京太郎「まぁやるだけやるか!」 トップ 京太郎 二着 あわ 三着 きょーこ ラス シロ あわ:またキョータロに負けた、なんかずっこい! キョータロ:鍛えてるからな! きょーこ:メゲるわ シロ:ダルい あわ:キョータロには絶対勝つから! キョータロ:おう、楽しみにしてるよ 京太郎「ん、ウィスだ」 あわ:絶対勝つからね! キョータロ:楽しみにしてるって あわ:なんか適当! キョータロ:んなわけねぇだろ あわ:むー、今度東京来たらまた白糸台来てね、次は倒すから! キョータロ:おう、俺もお前を倒すのは楽しみだ あわ:高校100年生が負けるわけないんだから! 京太郎「ログアウトした……高校100年生ってなんだっての」ハァッ シロ:最近、どう? キョータロ:ん、どうって? シロ:今度、暇があったら岩手来てく欲しい キョータロ:ん、わかった シロ:じゃあ約束だからね キョータロ:おう 京太郎「ダルくないのか、あんな文字打って」 昼前- 京太郎「ん、どうすっかなー」 京太郎「誰かに電話してみるか!」 京太郎「よし、胡桃さんに電話してみよう」 プルルルル 胡桃『もしもし、どうしたの?』 京太郎「いやぁ、なんとなく何してるのかなーって思いまして」 胡桃『これからシロたちと遊びに行くところ』 京太郎「今さっきまでネトマやってたんですよ、シロと」 胡桃『えっ、なんかずるい!』 京太郎「そうですか?」 胡桃『そうだよ!』 京太郎「じゃあ今度ネトマしましょうよ、俺のID教えますから」 胡桃『うん!』 昼- 京太郎「さて、昼かぁ」 京太郎「昼食べに行ってくるわ」バッ ガチャッ バタンッ 京太郎「さて、どうすっかなー」 京太郎「さて、誰か誘ってみるかな!」 京太郎「衣誘ってみるか……ん、大丈夫か?」 プルル 衣『衣だ!』 京太郎「京太郎だ!」 衣『どうした?』 京太郎「ファミレス行こうぜー」 衣『ファミレス!?わかった!ハギヨシに送って行ってもらう!』 京太郎「おう了解っと」プツッ 京太郎「場所言ってないけど、ハギヨシさんなら大丈夫だろ」ウン ファミレス- 京太郎「おう衣」 衣「来たぞ!」 ハギヨシ「私もよろしいですか?」 京太郎「ぜひって感じです」 衣「うむ、ハギヨシと一緒に食事などそうは無いからな!」 ハギヨシ(私は飲み物だけで結構ですよ) 衣「エビフライが食べたいぞ!」 京太郎「おう、じゃあ頼むか、ハギヨシさんは?」 ハギヨシ「決まっております」 衣「うむ、実に美味!」ニコニコ ハギヨシ「それはなによりです」ニコッ 京太郎(どっちかと話すか) 京太郎「意外だな、衣ってもっと舌が肥えてると思ってたけど」 衣「ん、うちで食べるのとはまた違った味がするからな」ウン 京太郎「あ~わかる気がする」 京太郎「そういや衣の異能のことなんだけどさ」 衣「魔断剣か?」 京太郎「そうそう、あれっていつものとは違う感じか?」 衣「うん、あれは少し違う……異能が近くにいたりすると右手にあるような感覚がするから」スッ 京太郎「ん?」ギュッ 衣「こうして京太郎の手を握ってると、少し安心する」ニコッ 京太郎「ん、いつでも握ってやるから安心しろ」フッ 衣「……うん!」 昼過ぎ- 京太郎「ふぅ、食べたな」 衣「うむ、やはり感慨深い気分になるな」 ハギヨシ「よろしかったのですか、払っていただいて?」 京太郎「色々世話になってますから」ハハッ 衣「この後は家に来るか?」 京太郎「ん~」 京太郎「じゃあ行くかな!」 衣「うむ!」 ハギヨシ「では車を回しますので」 龍門渕家- 京太郎「うぃーす」 衣「帰ったぞ!」 透華「な、なんで衣と一緒なんですの!?」 京太郎「あれ、行ってこなかったのか?」 衣「ああ!」 透華「な、なぜっ!?」 純「まぁ良いだろ」 一「とりあえず麻雀しよー」 智紀「同意」 京太郎「お前ら変わんねぇなー」 京太郎「おう透華、調子はどうだ?」 透華「誰に聞いていますの?上々ですわ、これなら全国の猛者を一網打尽にすることも容易、前回はあの臨海女子にまんまとやられてしまいましたが、次は負けません!」グッ 京太郎「なら期待してるかな」 透華「ええ、抽選会が楽しみですわ!」 京太郎(確か八月四日だったよな)ウン 京太郎「そういやこの前さ」 透華「そういえば見ましたわよ!WEEKLY麻雀TODEYの表紙じゃありませんのぉぉぉ!」 京太郎「うげっ、表紙!?」 透華「そうですわよ!」 京太郎(いつの間に撮られた?まさか、インタビューを受けてるときか!?) 透華「きぃぃぃ!私より目立つことは許されませんわよぉ!」 京太郎「ほら、抽選会で目立つから、目立つから!」 透華「そういう問題じゃありません!」グワッ 夕方- 京太郎(さて、どうするかなー) 京太郎「ハギヨシさん~」 ハギヨシ「おや、なにか聞きたいことがあるのですか?」 京太郎「まぁ、山ほど?」 ハギヨシ「あれについては、衣様と話をしたときなどに集まります、計5個、つまりあと4つ集めれば完成です」コクリ 力の欠片1/5 ハギヨシ「五つあつめると特殊イベントのフラグが建ちますのでそれを選択すれば新たな力を衣様の力で手に入れることが可能でしょう、中々どうして強力な力でありますので、取っておくのが手かと」ニコッ ハギヨシ「まぁ、ここから先は力を手に入れたあとですね」フッ 夕方2- 京太郎(ん、どうしようかなー) 京太郎「衣、麻雀の調子はどうだ?」 衣「ふっ、魔断剣の切れ味は業物と言っても差し支えない」ニッ 京太郎「そりゃ良かったよ」 京太郎「衣から見て今の龍門渕はどうなんだ?」 衣「みんな去年より全然強い、だが問題はあの鶴賀とまともにやりあえるかだ」 京太郎「鶴賀と、か?」 衣「うん、鶴賀は全員危険だ……正直、麻雀を見ていなくても遠くで何かが発動するたびに魔断剣は疼いた」グッ 京太郎「なるほどな、別ブロックになることを願うしかないか」チッ 衣「だが、勝つのは衣たちだ!」 京太郎「そうだな!」 一「いや、なんで京太郎は衣を膝に乗せてるの?」 京衣「は?」ジュウデンチュウ 夜- ハギヨシ「時間は平気ですか?」 京太郎「ん、あぁもう夜ですか」 京太郎「一~」 一「ん、あ、表紙の京太郎さんじゃないですか」 京太郎「なんだそりゃ」 一「いやなんとなくなんだけど」 京太郎「やめろドキッとする」 一「え、ときめいた?」 京太郎「そういう意味じゃない!」 京太郎「そういや表紙と言えば俺の乗ってたやつ見たのか?」 一「うん、インタビューもしっかりと」 京太郎「……」カァァッ 一「あれ、恥ずかしい?」ニヤニヤ 京太郎「そ、そりゃな……」 一「ふふっ、へぇ~そうなんだ~」チラッ 京太郎「うわぁっ、どっから出したその雑誌!?」 一「読んであげようか?」 京太郎「頼むっ、やめてくれぇぇ!」 一「あはははっ!」 ハギヨシ「すっかり暗くなってしまいましたね」 京太郎「あぁ~そうですね~」 純「泊まってけばどうだ?」 透華「とと、泊まりますの!?べ、別に構いませんがっ」カァッ 一「どうするの?」 京太郎「ん~」 京太郎「泊まってって、良いのか?」 衣「大歓迎だぞ!」 ハギヨシ「ではそのように」シュバッ 透華「ふふっ、では寝室は」 一「あー晩御飯食べないと!」 京太郎「ん、そうだな」 京太郎(いや、今回はおとなしくしておくか) 食堂- ハギヨシ「お食事がご用意できました」 透華「ええ」 京太郎「相変わらず緊張するなー」 一「そう?」 純「まぁ俺たちは慣れてるからな」 智紀「うん、最初のころは結構緊張したけど」 衣「私もだな、ふつうの家だったから」 京太郎「そうなのか」 京太郎「よし、ここに座るか」スッ ハギヨシ「どうぞ」 京太郎「ありがとうございます、ハギヨシさんの食事もだいぶ久しぶりな気がしますよー」アハハ ハギヨシ「では、たっぷり味わってくださいね」フッ 京太郎「了解です!」ビシッ 衣「よし、食べよう!」 一「そうだね、京太郎マナーはしっかりね?」 京太郎「ぜ、善処する」 透華「では、いただきます!」 京太郎「やっぱハギヨシさんの料理は最高っす!」 ハギヨシ「いえいえ毎日作っていますから、私は京太郎君の料理もおいしいと思いますよ」ニコッ 京太郎「ハギヨシさんに褒められると自信つきますよ!」 京太郎(なんか話すかな!) 京太郎「ん、美味い」 衣「ハギヨシは一流だからな」 京太郎「俺もそう思う、ほんとすげぇよ」 衣「京太郎もハギヨシみたいになって衣に料理を毎日作ってくれると良いんだ!」 透一智純「!?」 京太郎「ハハハ、毎日は無理だけど言ってくれたら作りにくるさ」 透一智「」ホッ 純「」ニガワライ 京太郎「だから頑張って大きくなれよー」ナデナデ 衣「子供じゃないぞ!?」 京太郎「いや、言ってねーし」 客間- 京太郎「ふぅ、食べた食べた」マンプク ガチャッ 歩「京太郎、お風呂どうするの?」 京太郎「ん、俺は後で入るよ」 歩「わかった、そう言っておくね」 京太郎「ありがとなー」 京太郎「今のうちに何かするかなー」 京太郎「京太郎さてさて、誰の部屋に行くかな」 京太郎「おいじゅ~ん」 純「古いよ!」 京太郎「そうか?」 純「そうだろ、ていうか何の用だよ、今から着替えようと思ってんだけど」 京太郎「おっとそれは失礼……」 純「別になんとも思わないかもしんないけどな」 京太郎「なんでなんも思わないと思ったんだよ、馬鹿か」 純「うっせ」 京太郎「お前から見て今の龍門渕ってどうだ?」 純「……いや、たった一人にやられてる」 京太郎「な、なにがあった!?」 純「さぁな~……てかなんでお前なんだ?」 京太郎「なんかわからないけどひどい!?」 純「まぁ、悪くはないとは思うけどなぁ?」 京太郎「裸の付き合いまでしたのに!?」 純「なっ、うるせぇ!」カァッ ゲシッ 京太郎「うおっ、お前のローキックは洒落にならん!?」 客間- 京太郎「さて、どうするか」 京太郎「ん、メール来てる」 京太郎「誰からだ?」 京太郎「ん、シロからだ」 差出人:シロ 本文『胡桃と電話したって聞いて、メールしてみた』 京太郎「ん?」 本文『まぁ良いけど、お前がそんなことで動くなんて珍しいな』 差出人:シロ 本文『好きな人相手なんだから嫉妬ぐらいする』 京太郎「こいつはまた、ストレートにっ」カァッ 本文『納得したよ、お前もいつでも電話してこいよ出るから』 差出人:シロ 本文『うん、わかった、今度する』 京太郎「おい」 本文『そこは面倒がるのかよ!』 差出人:シロ 本文『うん それじゃまたね おやすみ』 京太郎「おやすみっと」 『健夜』 京太郎「ん、小鍛冶さんからもか」 差出人:健夜 本文『京太郎君!東京来たなら泊まっても良かったのに、少なからずはやりちゃんよりは良いよ!』 京太郎「突然!?」 本文『いや、実家暮らしって聞いたんで遠慮したんですが』 差出人:健夜 本文『え、じゃあ一人暮らしするよ!』 京太郎「俺のせい!?」 本文『落ち着いてください!今度行きますから!』 差出人:健夜 本文『え、ほんと?じゃあ期待して待ってるね!』 京太郎「てかなんで俺を誘う?」 本文『了解です、じゃあまた今度』 差出人:健夜 本文『うん、またこんどね おやすみ!』 京太郎「おやすみなさいっと」 智紀「京太郎、私最後だから入って大丈夫だよ」 京太郎「ん、了解」 京太郎(さて、風呂行くか、まぁ場所も覚えてるけど) 脱衣所- 京太郎「さて、入るか」 ガラガラ 京太郎「ん?」 京太郎「へ?」 歩「ふぇ?」 …… 京太郎「ぬわっ!?」 歩「ひぇっ!?」ダッ ザブンッ 京太郎「すすす、すまん!」 歩「べべべ、別に!!?」 京太郎「……お、俺出るわ」 歩「別に良いよ、入りなよ……こっち見ないなら」 京太郎「え、お……おう」キュッ ザー 京太郎(ど、どうするよ?) ザブンッ 歩「……」 京太郎「……」 歩「あ、あのさ……京太郎って透華様たち相手に緊張しないの?」 京太郎「しねぇしねぇ、絶対しねぇよ、透華なんてガキの頃から知ってるんだぞ?」 歩「そうだよねぇ、私ってどうにも緊張しちゃって」 京太郎「あまり一緒に居ないのもそれが理由か?」 歩「まぁね、あえて言うと京太郎と一緒にいる時が一番楽」フゥ 京太郎「喜んでいいのかなんなのかなぁ」 京太郎「歩が緊張するのもわかるけどさ、俺も慣れたんだしお前もそのうち慣れるだろ」 歩「でも私って京太郎みたいにばかじゃないし」 京太郎「お前失礼な奴だな」 歩「いや、事実だし」 京太郎「まぁ、馬鹿だからってのもあるのかもなぁ」 歩「そうなの?」 京太郎「そうなんだよ……敬語とか人称を変えろとは言わないけどさ、緊張なんて慣れてないだけだろ」 歩「……そうかなぁ」チャプッ 京太郎「そうだって」ナデナデ 歩「ななな、撫でないでよ!?」ザバッ 京太郎「立つな馬鹿!」 歩「ひゃっ!?」ザブンッ 京太郎「……出るならあっち向いてるから出ろよ」ザブッ 歩「うん」ザバンッ 京太郎(ふぅ、歩でも反応するのか、見境ねぇなぁ)トオイメ 京太郎「少ししたら出るか」ウン 脱衣所- 京太郎「ふぅ……スッキリしたなぁ」 京太郎「どうするかなー」 京太郎「衣ー」 衣「京太郎!」 京太郎「こっちなんだな」 衣「最近別館の方からは離れているな、叔父様も何も言わないし」 京太郎「そっか、入るぞー」 衣「うん、膝乗っていい?」 京太郎「おう」 衣「やったー」ワーイ 京太郎「インハイのことなんだけどさ?」 衣「全国か……また?」 京太郎「またって、全国行くんだから」 衣「女子団体戦なのに、京太郎の方が楽しみにしてるな」フッ 京太郎「そりゃな、知り合いがたくさんいるし」 衣「……しっかり衣たちのことを応援するんだぞ?」 京太郎「もちろんだよ」 客間- 京太郎「さて、寝るかなー」 京太郎「んぅ……」zzz 70日目終了-
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3079.html
帰り道 照「今日は私の誕生日……菫や淡とかにいっぱいお菓子をもらった……♪」 照「でも何でだろう……お菓子はいっぱいあって嬉しいのに……心にぽっかり穴が空いちゃってる気がする……」 照「…………京ちゃんが居ないから……かな……?」 照「咲と喧嘩して白糸台に進学して…………」 照「今頃、京ちゃんは私のことを忘れて咲や先鋒の子とかと遊んでるんだな……」ズキッ! 照「くっ……(胸が痛い……締め付けられる…………)」 照「もしかしたら彼女さんも作ってるのかもしれない……」ズキンッズキンッ!! 照「痛い……痛いよぉ……京ちゃん……助けて…………」ズキンッズキンッズキンッ!!! 照「あ……雪が降ってきた……どおりで冷えると思った……」 照「寒い……痛い……いた…いよ…」ガタガタ 照「会いたいよぉ……!京ちゃん……!」ポロポロ ?「こんなところで傘もささず震えてるお嬢さん。お探しの人はこんな奴ですか?」 照「……き、きょ……きょう……ちゃん……?」 京太郎「はい!貴女のお探しの騎士の須賀京太郎ですよ!」ニカッ 照「…………うわあぁぁぁぁぁあぁん!!会いたかった……会いたかったよぉ……!京ちゃん……!」ウワーン 京太郎「一度、白糸台に行ったんですが菫先輩にもう帰ってしまったと聞いて急いで追いかけてきたんですよ?」 照「……………ひっく…全部…ひっく…京ちゃんが悪い……」 京太郎「……なかなか会いに来れなくてすいませんでした……京太郎「ええい!ままよ!男、京太郎!ここで決めなきゃ男が廃る!!」 京太郎「麻雀部が忙しくて……って違う!あークソッ!こんなはずじゃなかったんだけどな……」 京太郎「ええい!ままよ!男、京太郎!ここで決めなきゃ男が廃るぜ!」 京太郎「照さん!聞いてください!」 照「な、なに?」ヒック… 京太郎「照さんが長野を出ていって二年……1日たりとも照さんのことを忘れたことはありませんでした」 京太郎「それどころか何をするにも照さんの影を追って何事にも全力を打ち込めませんでした……」 京太郎「だけどそんな事は今日で終わりです!」 京太郎「照さん!好きです!大好きです!愛してます!こんな馬鹿でどうしようもないやつですが……付き合ってください!」 照「…………ずるいよ……京ちゃん……折角泣き止んだのに……」ヒック…… 京太郎「ええ、俺はズルいです。こんな時にしか言えない臆病者なんです 京太郎「でも好きです!照さん!」 照「……こちらこそ……ひっく……よろしく……お願い……うえぇぇぇえん!」 京太郎「じゃあ帰りましょうか……」 照「……うん!」 カン!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/580.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332249950/ 咲「どうしたの?京ちゃん」 京太郎「二人きりで話したいんだ。ちょっと放課後残ってくれないか?」 咲「うん、いいけど・・・」 優希「ちょっ、何事だじぇ!?・・・これってまさか」 和「そんなオカルトありえませんっ!」ドンッ 優希「和ちゃん、ちょっと怖いじぇ・・・大丈夫だじぇ、あの犬にそんな度胸は無いはずだじぇ」 久「・・・まこ」ヒソヒソ まこ「わかっとる。さぁさぁ、お邪魔虫は退散退散じゃー」ガッシ 和「染谷先輩、話して下さい!私は宮永さんとIPS細胞と将来の展望について話し合わないとーー」ジタバタ 優希「京太郎は私の犬だじぇー!」ジタバタ 久「じゃ、今日の部活はここまで。・・・宮永さんと須賀君、後片づけよろしくね」 京太郎「りょーかいっす。お疲れ様でーす」 咲「分かりました」 久(それにしても・・・随分突然ね) 優希「むがー!」 和「ふぬー!」 まこ「ハイハイ帰れー」ポイッ 久「それじゃあねー」ヒラヒラ バタン 京太郎「・・・」 咲「・・・」 京太郎「・・・」 咲「京ちゃん?話って」 京太郎「咲、俺と麻雀してくれないか」 咲「麻雀?いいけど・・・皆が一緒にいちゃダメだったの?」 京太郎「・・・ああ」 咲「それじゃあ、二人打ち用のルールでいいよね。ツモは減点される側は一人分、加点される側は三人分で」ピッピッ 京太郎「それでいいよ。・・・咲、本気で来てくれ」 咲「うん、分かった・・・」 東一局 京太郎「じゃ、俺が親だな」 パチッ 咲「京ちゃんが私を麻雀に誘うのって、なんだか久しぶりだね」 パチッ 京太郎「そうだな、最近はずっと雑用ばっかりだったから」 パチッ 咲「宅も4人掛けだしね。女子部員だけでも入りきらないし」 パチッ 京太郎「咲、麻雀楽しいか?」 パチッ 咲「うん、今はとっても楽しいよ」 パチッ 京太郎「そうか、そりゃ何よりだ」 パチッ 咲「京ちゃん、それロン」 パタタタタ・・・ 京太郎「くっ・・・」 咲「三色ドラ3。子の満貫で8000点だね」 京太郎「・・・じゃ、次は咲が親だな」 咲「うん。それじゃ、行くよ京ちゃん!」 東二局 咲「京ちゃん、今日はホントに突然だったね」 パチッ 京太郎「悪い。もしかして予定とかあったか?」 パチッ 咲「まぁ、無い事はないけど・・・そんなに大事な用でもないし」 パチッ 京太郎「こんなことは今日限りだからさ、勘弁してくれ」 パチッ 咲「・・・京ちゃん、何か嫌な事あったの?」 パチッ 京太郎「・・・っ」 咲「やっぱり。今日の京ちゃん、何だかおかしいもん」 バチッ! 京太郎「・・・さぁ、リーチだぜ咲。どうする?」 咲「京ちゃん・・・」 パチッ 京太郎「・・・」 パチッ 咲「・・・カン」 パチッ 京太郎「来たか・・・」 パチッ 咲「もいっこ、カン」 バシッ! 京太郎「・・・」ゾクッ パチッ 咲「もいっこ、カン!」 バシィッ! パタタタタ・・・ 咲「--ツモ。嶺上開花、三暗刻、三槓子、ドラ1。6000オールで、連荘だよ」 京太郎「・・・一本場か」 咲「それじゃ、また私からだね」 東二局一本場 咲「・・・」 パチッ 京太郎「強えなぁ、咲は」 パチッ 咲「そうかな?私よりも強い、例えば天江さんみたいな人。全国にはゾロゾロいると思うよ」 パチッ 京太郎「・・・そっか。頑張れよ、お前はもう一人じゃないんだ」 パチッ 咲「うん、頑張る」 パチッ 京太郎「・・・」 パチッ 咲「リーチだよ」 ピシッ! 京太郎「・・・」 パシッ 咲「それ、ロン!」 パタタタタ・・・ 咲「リーチ一発、一本場で平和と一盃口。ドラはないけど、裏ドラがーー乗った。これで満貫、12300点」 咲「これで合計26300点のマイナス。私の勝ちだね、京ちゃん」 京太郎「・・・」 咲「京ちゃん?」 京太郎「続行、させてくれないか」 咲「 え?うん、いいけど・・・」 東二局二本場 咲「京ちゃん、何があったの?私でよければ相談に乗るよ?」 パチッ 京太郎「何がって、何がだよ」 パチッ 咲「もう、それじゃ分かんないよ」 パチッ 京太郎「分かんなくていいんだよ。俺は、ただ咲と麻雀したいだけだ」 パチッ 咲「・・・嘘」 パチッ 京太郎「嘘なわけないだろ、現にこうして打ってるんだから」 パチッ 咲「だって京ちゃんの牌、勝つ気が無いもん」 パチッ 京太郎「何でそんなこと分かんだよっ」 パチッ 咲「染谷先輩とか原村さんみたいに分析はできないけど・・・牌に気持ちが乗ってるか乗ってないかくらいは私にもわかるよ」 パチッ 京太郎「なんだそりゃ。俺にはちっとも分かんねー世界だな」 パチッ 咲「ううん、京ちゃんが一番分かってるはずだよ。だって、京ちゃんの牌だもん」 パチッ 京太郎「俺はただ、麻雀をーー」 パチッ 咲「・・・麻雀を、やめる理由が欲しいの?」 ビシッ 京太郎「・・・んなこと言ってねーだろ!リーチだ!」 バンッ 咲「言ってるよ!京ちゃんの牌、自棄になってるもん!私もリーチ!」 バンッ 京太郎「うるせえ!お前に俺の何が分かるってんだ!」 バシッ! 咲「そんなこと分かんないよ!」 バシッ! 京太郎「だったら黙って打ってろ!」 バシッ! 咲「黙ってたら和了れないもん!」 バシッ! 京太郎「減らず口を・・・!」 バシッ! 咲「京ちゃんこそ、私を麻雀部を辞める言い訳にするつもりの癖に!」 バシッ! 京太郎「ああそうだよ!悪いかよ!大体強過ぎんだよ、お前ら!何がオカルトだ!・・・俺だって、練習してんのに!」 バシッ! 咲「悪いよ!勝手に努力を放棄して、戦う前から負けを認めてる京ちゃんなんて、とってもカッコ悪い!」 バシッ! 京太郎「だから今戦ってるじゃねえか!俺が、どうあがいても勝てない事の証明のために!」 バシンッ! 咲「こんなの戦いじゃない!こんな、楽しくないのは、絶対に麻雀じゃない!」 バシンッ! 京太郎「麻雀なんて、才能のゲームだ!結局牌に愛されてない奴は、負けるしかねえんだよ!」 バシンッ! 咲「そんなことない!絶対、絶対そんなことない!そんな事言う京ちゃん、私嫌いだよ!」 バシンッ! 京太郎「だったら早く和了れよ!このど真ん中の牌で、お得意のオカルトで、嫌いな俺にトドメを刺してくれよ!宮永咲ぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 バシンッ! 咲「っ・・・!」 パシッ 京太郎「なっ・・・」 咲「・・・京ちゃんの番だよ」 京太郎「・・・」 咲「・・・引かないの?」 京太郎「和了れ、なかったのか・・・?」 咲「うん。だから次は、京ちゃんがツモる番」 京太郎「・・・っ」 咲「京ちゃん、引いて」 京太郎「俺、は・・・」 咲「・・・引かないんなら、私もう帰るよ?」ガタッ 京太郎「待てっ!」 ピッ 京太郎「・・・ツモだ」 パタタタタ・・・ 京太郎「二本場、メンタンピンドラ2。ハネ満で3200点オールだ」 咲「うん。この局は、京ちゃんの勝ちだね」 京太郎「咲、手牌見せてくれ!」ガタッ 咲「はい、こうだよ」 パタタタタ・・・ 京太郎「ホントに・・・和了れねぇのか」 咲「まだ、やるよね?」 京太郎「・・・ああ」 東三局 京太郎「じゃ、行くぜ・・・」 パシッ 咲「ねぇ、京ちゃん」 パシッ 京太郎「なんだよ?」 パシッ 咲「さっき和了った時、嬉しかった?」 パシッ 京太郎「そりゃ、嬉しかったよ。でもあれは・・・」 パシッ 咲「私は、手を抜いてないよ?」 パシッ 京太郎「・・・そりゃそうか。涙目で顔真っ赤にして牌打ちつけてたもんな。あれで手を抜けたら手品師だ」 パシッ 咲「むー。それはお互い様だし、そもそも京ちゃんが嫌な事言うから悪いんだよ」 パシッ 京太郎「悪かったよ。なんか奢るから、許してくれ」 パシッ 咲「それプラス麻雀部辞めないでくれたら、許したげる」 パシッ 京太郎「・・・随分と手厳しいお姫様だな」 パシッ 咲「京ちゃんが悪いんだもんっ」 パシッ 京太郎「分かってるよ、俺だってもう辞めたくなくなっちまった」 パシッ 咲「・・・京ちゃんならそう言ってくれると思ってたよ。だって、麻雀って」 パシッ 京太郎「楽しいんだもん、か?」 パシッ 咲「人のセリフを取らないでくださいー」 パシッ 京太郎「そうぶすくれなさんなって」 パシッ 咲「もう、京ちゃんのバカっ!・・・ロンだよっ」 パタタタタ 咲「一盃口のみドラ無し。1300点」 京太郎「おお、珍しく小さい和了りじゃないか」 咲「京ちゃんのがうつっちゃったかも?」 京太郎「なんだとこのー!」グリグリ 咲「いひゃいよきょうひゃん!ほっふぇはやめふぇー!」 京太郎「ありがとな、咲」 咲「ううん、私は何もしてないよ。京ちゃん自身が麻雀を辞めたくないって、心の底で思ってくれてたからこうなったんだと思う」 京太郎「かも、な」 咲「絶対そうだよ。京ちゃんは、いつだって頑張り屋さんだもん」 京太郎「なぁ、咲」 咲「なぁに?」 京太郎「俺さ、今よりもっと頑張って、いつか絶対お前を倒す!何年、何十年かかったって絶対倒すから!」 咲「ーーうん、待ってる。・・・だから、早く駅前のクレープ屋さんに行こっ」 京太郎「げっ、忘れてなかったのか」 咲「ちょっといい話になったからって奢りの約束を忘れるほど、私はロマンチストじゃないですよー?」 京太郎「こりゃ一本とられたな。・・・あんまり高いのはよしてくれよ?」 咲「キングクレープかなー、クイーンクレープかなー♪いっそ両方とか!」 京太郎「よせってば!」 咲「やーだもーんっ。ほらほら、早く来ないとどんどん注文増やしちゃうよ?」タタタ 京太郎「うおおおおおおおおおおお!?」ダダダダダ 駅前のクレープ屋さん 店員「ただ今カップル割というサービスを行っておりましてー」 咲「え、でも私達むぐっ!?」ジタバタ 京太郎「はい!じゃあそのカップル割でお願いします!」 店員「かしこまりましたー」 咲「ぷはっ。もう、嘘ついちゃ駄目だよ京ちゃん」 京太郎「バカ言え。カップルって言うだけで安くなるなら利用しない手は無いだろ」 咲「私は別に困らないけどなー」 京太郎「そりゃ奢られる立場だからな、気楽だよなぁ!?」 咲「へへーんだ」ベー 京太郎「ちなみに、何頼んだんだ?」 咲「二人用のキングクレープ。一度食べてみたかったんだー」 京太郎「ふっ、デブるぞ?」 咲「むっ!・・・ひ、否定しきれない」 京太郎「仕方ない、太らないように咲の分も俺が食べてやろう」 咲「それはダメーっ!」 遠巻きのグラサン「・・・こちらコードネームタコス。コードネームIPS、応答するじぇ」 『こちらIPSです。二人の様子はどうですか?』 遠巻きのグラサン「二人で一つのクレープを、恋人割で頼んだようだじぇ」 『殺して下さい、いえ殺しましょう』 遠巻きのグラサン「賛成だじぇ」ジャキッ 『待ちんさい!流石に性急すぎじゃて!』 『離して!離して下さい!』 『あー、こちら部長。君の行動は監視されている、変な気は起こさないよーに。とりあえず、引き続き尾行を続けてもらえるかしら』 遠巻きのグラサン「・・・了解だじぇ」ピッ 店員「お待たせいたしましたー」ドンッ 咲「うわ、おっきい・・・!」 京太郎「これは・・・マジでキングサイズだな」 咲「ここまで来ると最早クレープとしての原型がないね・・・」 京太郎「とりあえず、値段分はキッチリ食べるぞ!」 咲「おー!」 パクパクパクパク・・・ 咲「も、もうムリ」ゲプー 京太郎「デカ過ぎんだろこれ・・・」 咲「入りきらなくて残しちゃった・・・ごめんね、京ちゃん」 京太郎「いいって。お前が満足したんならそれで」 咲「うん、満足はしたよ。十分過ぎるほど」 京太郎「じゃ、帰るか」 遠巻きのグラサン「IPS,IPS応答するじぇ」 『あー、IPSならさっき体の穴という穴から細胞を飛び散らせて憤死したわ』 遠巻きのグラサン「なっ・・・同士IPS、お前のことは忘れないじぇ」 『死んでません!』 『惜しい奴を亡くしたもんじゃ・・・』 『だから死んでません!宮永さん!?宮永さーん!?』 遠巻きのグラサン「『うわ、おっきい・・・』『入りきらなくて・・・』等の発言が確認されたじぇ」 『?!?!??!?!?!!??!!??』ボフー 『あ、また憤死した』 『惜しい奴を亡くしたもんじゃ・・・』 遠巻きのグラサン「二人はもう帰るみたいだから、これで通信を終了するじぇ」 『はい、お疲れー』 遠巻きのグラサン「・・・」ピッ 遠巻きのグラサン「京太郎・・・」グスッ 咲「家まで送ってくれなくてもよかったのに」 京太郎「もう結構遅いからな、狼が潜んでないともいえないし」 咲「京ちゃんは心配性だなぁ。・・・大体、送り狼って言葉だってあるでしょ?」 京太郎「だったらどうする?」 咲「え?」 京太郎「俺が送り狼だったら、どうするんだ?」 咲「ど、どうするって・・・」アセアセ 京太郎「・・・ま、そんなことは100%あり得ないけどな」 咲「・・・だと思った。京ちゃんヘタレだもん」 京太郎「その割にはさっきマジで焦ってなかったかー?」ニヤニヤ 咲「違いますー、焦ってないですー!」プンスカ 京太郎「ま、咲は今の俺にとっちゃ目標でありライバルだ。夜道で襲うもんじゃねえわな」 咲「京ちゃんとまともに勝負できるのは何年後かなー」 京太郎「うるせえ、首洗って待ってろよー!じゃあなー!」ダダダダダ 咲「あ、京ちゃんまたねー!」 咲「ーー私、待ってるからね。何年だって・・・」 一ヶ月後 久「おいーっす」 優希「お、部長のご登場だじぇー」 京太郎「あ、部長。掃除終わりました!」 久「ん、御苦労。・・・最近妙に精力的ね」 まこ「守るべきもんでも出来たんかのう」 和「っ!?」ギリギリギリギリ まこ「じ、冗談じゃ!冗談じゃって!」 咲「こんにちはー」 優希「お、咲ちゃんも!これで清澄高校麻雀部勢ぞろいだじぇー!」 京太郎「おお咲、丁度良かった。昨日のネット対戦であったこの局面なんだけどよ・・・」ポチポチ 咲「んー?多分だけど、これはここをね・・・」ポチポチ 京太郎「おお、良い待ちになった!」 優希「・・・」ギリッ 和「・・・」ブチブチッ 咲「やっぱり京ちゃん、まだまだだね」 京太郎「うるせえ、いつかはカモにしてやるからな」 咲「ハイハイ。期待してますよー」 優希「・・・犬!タコス買ってくるじぇ!」 京太郎「うぇっ!?ちょっと今手が離せな」 優希「うるさいじぇ!いいから買ってくるじぇ!」 京太郎「・・・分かったよ」 咲「あ、なら私も」 和「宮永さんはこっちで私達と麻雀です。大会も近いんですから」 咲「そ、そうだね。・・・ごめんね京ちゃん」 京太郎「いいって、元々パシリは俺の役目なんだし。それより咲は大将なんだから、清澄のためにもしっかり勝ってくれないと困るぜ?」 咲「むー、京ちゃんってばまたそうやってプレッシャーかけるんだからー」 優希「・・・」メリッ 和「・・・」バキバキバキバキ 京太郎「部長、タコス以外に買ってくるものありますか?」 久「私は特にないけど・・・他の人は?」 まこ「ワシも特にないな」 優希「大理石100kg!」 和「拷問器具!」 京太郎「売ってねーよっ!」 咲「じゃあ私紅茶お願いしていいかな?アイスで」 京太郎「あいよっと」タタタ 咲「あ、廊下は走っちゃだめだってばー!・・・もう、京ちゃんたら」 久「部室暑いわね、なんか」 まこ「ああ、あっつあつじゃな」 優希「暑さの元はたった今追いだしたはずだじぇー」 和「暑さの元が永遠に冷たくなれば部室の温度が上がらずに済む可能性が微粒子レベルで存在している気がします・・・」 久「それじゃ、私達は練習しましょうか」 咲「はいっ!」 咲「よし、ロンっ!これで私の最終得点は33400点、一位ですね!」 まこ「あちゃー、振り込んでしもうた」 優希「あ、危なかったじぇ・・・9800点のマコがいなかったらドベだったじぇ」 久「宮永さんの仕上がりは上々みたいね」 咲「部の皆のお陰です!」 京太郎「お待たせしましたー・・・ほい、ホット」ピトッ 咲「熱ぅっ!?・・・くないし。もー、悪戯はダメだってば」 京太郎「咲はからかいがいがあるからな」 咲「むー」 京太郎「タコスのお客様ーっと。はいよ」 優希「・・・」ムスーッ 京太郎「な、なんだよ?」 優希「なんでもないじぇ。ふーんだ」ムシャムシャ 京太郎「・・・?」ポリポリ 咲「見て見て京ちゃん!嶺上開花和了ったよ!」 京太郎「おおー、やりますな姫様」 咲「ふふん、崇めるがよい」 京太郎「ははーっ。・・・じゃ、今日も部活終わった後頼んでいいか?」 和「あの、宮永さんは大会前で」 咲「うん、いいよ。部長、部活外ですしいいですよね?」 久「いいけど、お願いだから部活外でやってね」 優希「・・・」ミギミギミギミギ 和「・・・」ガガガガガガガ まこ「ま、お前らの気持ちもわからんでもないけどな」ヒョイヒョイッ 優希「うがー!大体ロンで嶺上開花が和了れるはずないじぇ!嘘はいけないじぇ!」 和「そうです、そんなオカルトあり得ません!それより宮永さんは私と素敵なIPS-!」 京太郎「・・・咲、虚偽申告はいけないなぁ?罰符ものだぞ?」 咲「あ、これは違っ・・・ついいつもの癖で嶺上開花って言っちゃったんであって」 咲「決して京ちゃんの前で格好付けようとかそういうのは・・・」 京太郎「・・・」ニヤニヤ 咲「き、京ちゃんだって大して確認もせずに崇めたんだから同罪だよ、同罪!」 京太郎「なんじゃそら!?」 まこ「仲がいいのう・・・」 久「ホントにね」 まこ「ワシらもそろそろ帰るか」 久「そうね。なーんかこの終わり方が板についてきちゃったなぁ・・・まぁいっか」 久「んじゃ、掃除戸締りその他はよろしくー」 バタン 京太郎「さて、それじゃあよろしくお願いします」ペコリ 咲「うん、今日も頑張ろうね京ちゃん!」 京太郎「よーし、今日の目標は狙って満貫!」 咲「じゃあ、私の目標は狙って役満かなー」 京太郎「言ってろ!」 パチッ 咲「ふふっ」 パチッ 京太郎「・・・なんだよ?」 パチッ 咲「京ちゃんとこうやって二人きりで麻雀出来るのが、嬉しいなあって」 パチッ 京太郎「おいおい、気を緩ませてたら俺勝っちまうぞ?」 パチッ 咲「やれるものならやってみなさーい」 パチッ 京太郎「言ったな・・・?そら、リーチ!」 バチィッ 咲「む、そのリーチは読みにくいかも」 パチッ 京太郎「とか言いつつ咲さん、ノータイムで打ってきますね」 パチッ 咲「まぁ、まだまだだねー」 パチッ 京太郎「どこぞのテニヌプレイヤーかよっ」 パチッ 咲「・・・でも、ちゃんと成長してるよ、京ちゃん」 パチッ 京太郎「そりゃ・・・」 パチッ 咲「それロン」 パタタタタ・・・ 咲「混老頭、トイトイドラ3。ハネ満で12000点頂戴しまーすっ」 京太郎「・・・こんな鬼教官がいりゃあな、嫌でも強くなるさ」 咲「えへへ・・・でも、前よりずっと牌に気持ちが乗ってるよ」 京太郎「そりゃ、いつでも寝首掻く気でいるからな!」 咲「うむ、その意気やよし!存分にかかってくるがいい!」 京太郎「咲、そのキャラ似合ってねーぞ」 咲「や、やっぱり?」 京太郎「どっちかってーとお姉さんの方がそんなキャラだな」 咲「かもねー」 アハハハハ・・・・・・ 京太郎「教官、今日もお疲れ様でしたっ!お家までお送りいたします」 咲「ん。よろしくね、しっかり満貫和了って役満和了られた京ちゃん」 京太郎「ぐ・・・さ、流石にあれは偶然だよな?」 咲「どうだろうねー」 京太郎「ぐおおおおお!自分の打ち筋によるものかもしれないと思うと猛烈に悔しくなってくる!」 咲「ふふ、まだまだだねー」 京太郎「お、覚えてろよおおおおおおおおおお!」ダダダダダ 咲「京ちゃん、またねー!」 京太郎の家 京太郎「ん、メール?」 【差出人:宮永咲 件名:きょうのまーじゃんについて】 京太郎「いい加減変換くらい覚えろよ・・・っと」ポチポチ 京太郎「お、もう一件」 【差出人:片岡優希 件名:明日の部活が終わったら、ちょっと残ってるじぇ】 京太郎「本文は空・・・なんだってんだ?」 翌日 久「おっすー・・・須賀君、精が出るわね」 京太郎「そりゃもう、雑用係ですから」 久「最近の牌譜見たけど・・・良くなってるよ。宮永さんの指導の賜物?」 京太郎「げ、バレてたんスか・・・いやぁ、ホント咲には頭が上がらないですよ」 久「その調子で、清澄高校男子麻雀部のために頑張ってね。期待してるわよ」ポンッ 京太郎「はい!」 久「雑用もね」クスッ 京太郎「ですよねー・・・」 まこ「・・・優希、どうしたんじゃその大量のタコス」 和「今日はまた一段と多いですね・・・」 優希「今日は決戦だじぇ、物資は多いに越したことはないじぇ」 まこ「・・・?」 咲「あ、京ちゃーん!」 京太郎「おう、咲。・・・今日は部活後に別の用事が入っちゃったから、先に帰っててくれるか?」 咲「うん、分かった。私も用事あったとこだから丁度よかったね」 京太郎「まさに息ピッタリ!」 咲「京ちゃんのツモ運まで移さないでね、負けちゃうから」 京太郎「なんだとー!」グリグリ 咲「ひひゃいひひゃいー!」 和「・・・」ゴゴゴゴゴ 優希「・・・」 和「・・・優希?」 優希「今日は決戦だじぇ・・・」ムシャムシャ 久「よし、それじゃ練習始めるわよー」 「「「「「おー!」」」」」 久「よし、今日はここまで。それじゃ須賀君、いつも通り掃除戸締り・・・って言わなくてもやってるわね」 京太郎「オラー!」フキフキ まこ「雑用の鏡じゃな」 久「いいえ、部員の鏡よ」 まこ「随分と奴さんを持ち上げるのう」 久「別に持ちあげてる訳じゃないわ。ただ、頑張ってる奴は相応に評価されて然るべき。これ、私の持論ね」 まこ「ほう・・・」 咲「部長さん、染谷さん、お疲れ様でしたー」 久「お、今日は特別特訓やらないんだ」 咲「はい、京ちゃん用事があるらしくて」 和「宮永さん、途中まで一緒に帰りましょう」 咲「うん!」 久「それじゃ、私達も帰りましょうか」 まこ「じゃな」 京太郎「ふいー、終わった終わった」 京太郎「・・・で、話ってなんだよ。優希?」 優希「・・・最近、部活が終わった後。咲ちゃんとずっと一緒にいるじょ」ムシャムシャ 京太郎「ああ、麻雀の特訓だよ。お前も知ってるだろ?」 優希「ちょーしのんな」ボリボリ 京太郎「は?」 優希「高々雑用係程度が、調子に乗るなって言ってるんだじぇ」 京太郎「・・・雑用係が強くなりたいと思っちゃいけねえのかよ」 優希「ダメだじぇ。雑用係は雑用係らしく、雑用だけやってればいいじぇ」 京太郎「言うじゃねえか、嫌な事でもあったか?」 優希「最近の犬は、見ててイラつくって言ってるんだじょ。だから・・・」 優希「今!ここで!!もう一度主従関係を一から叩きなおしてやるじぇ!!!」ドカッ 京太郎「上等だ、やってやるよ!」ドカッ 優希「・・・東場だけだじぇ」 京太郎「ああ、好きにしやがれ」 優希「・・・それじゃ、サイコロを振るじぇ」 コロコロコロ・・・ 京太郎「出たか・・・親はお前だ」 東一局 優希「・・・」バリボリ バシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 優希「・・・」 バシッ 京太郎「それにしても、今日はまた随分と買い込んでるじゃねえか」 ピシッ 優希「・・・お前を、二度とこの卓に上がらせないためだじぇ」 バシッ 京太郎「上等、やれるもんならやってみやがれ」 ピシッ 優希「言われなくても、へし折ってやるじょ」 バシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 優希「それ、ロンだじぇ」 京太郎「なっ・・・」 パタタタタ・・・ 優希「清一色、ドラ2。倍満で24000点だじょ」 優希「ヌル過ぎるじぇ・・・やっぱり、犬は犬だじぇ」 京太郎「クソッ、言ってろ!」 東一局一本場 優希「ロンだじぇ。平和のみ」 東一局二本場 優希「ロンだじぇ。一盃口のみ」 東一局三本場 優希「ツモだじょ。撥のみドラ1」 東一局四本場 京太郎「・・・っ」 ピシッ 優希「それも、ロンだじぇ。七対子」 京太郎「よお、点数がマイナスになっても続けてくれんのはハンデかい?」 優希「違うじぇ。お前がもう二度とこの卓に着けないように、徹底的に壊してるだけだじぇ」 京太郎「・・・そりゃ、ありがたい話だ」 優希「さ、五本場だじぇ」 東一局五本場 京太郎「通らばリーチ!」 優希「それ、ロンだじょ。」 東一局六本場 京太郎「リーチだ!」 ピシッ 咲「そういうことだよ、京ちゃん。天狗になるのは私を半荘でのしてからにした方がいいんじゃないかな?」 京太郎「畜生、いつか絶対ブッ倒してやるからなああああああああああああああああ!」メラメラ 咲「べーだ!後30年は絶対倒されてあげないもんね!」 優希「まだ!まだ足りないじぇ!もっともっと火力上げて強くなってやるじぇええええええええええ!」ゴウゴウ まこ「・・・なんか、また部室の気温が上がった気がするんじゃが」 久「熱源が一個増えちゃったからねー。部としてはいい事なんだけど」 久「よし、今日の部活はここまで!」 まこ「お疲れ様、じゃなー」 優希「まだだじぇ、まだやれるじぇ・・・」 和「でももう部活の時間終わりですし、帰りましょう?」 京太郎「優希、まだやれるんなら家でネット麻雀の○和って奴やってみたらどうだ?俺もやってるけど中々勉強になるぞ」 優希「ネト麻・・・その手があったじぇ!い・・・京太郎!お前ログインは何時くらいにやってるんだじょ!?」 京太郎「俺か?俺は22時くらいに南家サーバーに居るけど」 優希「よーし分かった!そうと決まればさっさと帰って麻雀だじぇ!お疲れ様だじぇえええええええええ!」ダダダダダ 和「優希、凄いやる気ですね・・・私も負けてられません」 まこ「あー、ワシはああいうのキツイなぁ、年齢的に」 久「アンタまだあの子らと一個違いでしょうが。須賀君達、今日も秘密特訓は」 咲・京太郎「「やります!」」 まこ「おーおー、燃えとる燃えとる」 久「・・・言うと思った。それじゃ、後よろしくー」 バタン 京太郎「さぁ、咲・・・やろうぜ!」 咲「うん、いつでもいいよ京ちゃん」 東一局 京太郎「それじゃ、俺の親からだ!」 ピシッ 咲「ね、京ちゃん」 ピシッ 京太郎「なんだよ?」 ピシッ 咲「・・・優希ちゃんと、何かあったの?」 ピシッ 京太郎「麻雀で泣かせちまった。んで、タコス貰った」 ピシッ 咲「全く脈絡がないよ・・・でも、なんとなく分かった」 ピシッ 京太郎「アイツ最近めちゃくちゃ頑張ってるからな、俺ももっと頑張らないと!」 ピシッ 咲「・・・私も、頑張らなきゃ」 ピシッ 京太郎「おいおい、清澄のキャプテンが部員に遅れをとってどうすんだよ?そら、リーチだ!」 バシッ! 咲「そう・・・だねっ!」 ピシッ 京太郎「流石に一発じゃ振り込んでくれないか・・・!」 ピシッ 咲「今日は私、京ちゃんに一回たりとも振り込む気はないよ!」 ピシッ 京太郎「ああそうかよ!だったら自分でツモるだけだ!」 ピシッ 咲「京ちゃんに出来るかな?」 ピシッ 京太郎「出来なくってもやるんだよ!」 ピシッ 咲「それ、ロンっ!」 京太郎「げっ!?」 パタタタタ・・・ 咲「三暗刻、ドラ2・・・満貫、8000点だよ!」 京太郎「うお、予想と全然違う?」 咲「まだまだだねー♪」 京太郎「くっ、咲の剛運を舐めてはいけないということか」 咲「さ、次は私が親だよ!」 京太郎「っしゃこい!」 東二局 咲「~♪」 ピシッ 京太郎「えらくご機嫌だな」 ピシッ 咲「あのね、今日駅前のクレープ屋さんに新しいメニューが出たんだよ!」 ピシッ 京太郎「ほうほう、それでこれが終わったら食べに行こうと胸を躍らせてる訳ですか」 ピシッ 咲「うん!とっても美味しそうだから、ホントは皆も誘いたかったんだけど・・・忙しそうだったし。リーチ!」 パシッ 京太郎「俺でよければお伴致しますよ、姫」 ピシッ 咲「うむ、苦しゅうない!・・・なんて、京ちゃんならそう言ってくれると思ってたんだけどね」テヘ ピシッ 京太郎「じゃあ俺は咲にまんまと振り込んじまった訳だ」 ピシッ 咲「ふっ、まだまだだねー」 ピシッ 京太郎「じゃあそろそろ俺も反撃かな・・・ツモ!」ピッ パタタタタ・・・ 京太郎「門前ツモ、平和タンヤオドラ1で親から2600、子から1300点だ!」 咲「むー、京ちゃんが私のリーチをかわすなんて」 京太郎「侮り過ぎだぜ、このまま寝首を掻き切ってやる!」 咲「・・・じゃあ、これで勝った方が新クレープ奢りってことで」 京太郎「ちょっ、それお前超有利じゃ」 咲「さ、次は京ちゃんの親だよっ!」 東三局 京太郎「・・・なぁ咲」 ピシッ 咲「んー?」 ピシッ 京太郎「その新クレープっての、どんな奴なんだ?」 ピシッ 咲「『サンクチュアリ大車輪クレープ』だよ。普通のよりちょっと大きめで、色んなクリームが43種類以上入ってるの」 ピシッ 京太郎「へー・・・体脂肪」ボソッ ピシッ 咲「う゛・・・」 パチッ 京太郎「糖分、脂質、炭水化物」ボソッ ピシッ 咲「は、原村さんみたいになる可能性だって」 パチッ 京太郎「無いな。まず無い」 ピシッ 咲「京ちゃんひどーい!」 ピシッ 京太郎「大体咲は元々インドア派なんだから、あんま喰い過ぎるもんじゃねーぞ?」 ピシッ 咲「私だって甘いものくらい好きに食べたいよー」 ピシッ 京太郎「慢性的運動不足・・・リーチだ!」 バシッ 咲「その分頭使ってるからいいの!」 ピシッ 京太郎「どうだかな!」 ピシッ 咲「もう、京ちゃんの意地悪!」 ピシッ 京太郎「そこ、ロン!」 咲「えー!?」 パタタタタ・・・ 京太郎「リーチ、タンヤオのみで3900点だ!」 咲「・・・って、ドヤ顔で言う役じゃないよそれ」 京太郎「うるせえ、咲から初めて2局連続で取ったんだ。今はこれが精一杯なんだよ!」 咲「む、確かに2局連続で和了られてるね・・・」 京太郎「さぁ、連荘だ・・・このまま抉り切ってやる!」 東場三局一本場 咲「それ、ロンだよ!」 京太郎「ぐぇ!?」 パタタタタ・・・ 咲「リーチ一発三色同順ドラ1、裏ドラまでーー乗ってハネ満!12300点!」 京太郎「ぐおお、俺のリードが一瞬にして消えた・・・!?」 咲「さ、次は私の親だよ京ちゃん」 京太郎「くそ、次で倍返しだ!」 東場四局 咲「・・・っ」 ピシッ 京太郎「・・・これか!」 ピシッ 咲「んー、半分当たりかな。リーチ!」 バシンッ 京太郎「このっ!」 ピシッ 咲「京ちゃん、甘い!」 ピシッ 京太郎「じゃあ・・・これならどうだ!通らばリーチ!」 バシンッ 咲「・・・残念!それ、ロンだよ」 パタタタタ・・・ 咲「メンタンピンドラ1。満貫で11600点頂戴しますっ!」 京太郎「クソっ・・・!当たりって言ったじゃねーかよ、ハメやがったなー!」 咲「当たり牌って意味だよ、まだまだだね、京ちゃん。満貫御馳走様ですー♪」 京太郎「く、ムカつく・・・!次で三倍返しだ!」 咲「さ、連荘だよ・・・麻雀って、楽しいよね!」 京太郎「ああ、最高だ!」 その頃、部長宅 『・・・本気か?』 久「うん、本気も本気よ」 『そんなことをすれば奴さんがどうなるか・・・』 久「あの子は強いよ、多分なんとかなるわ」 『それにしたって分が悪いじゃろう』 久「分の悪い賭けはお嫌いかしら?」 『好きじゃないのう・・・そもそも、実行するのはワシなんじゃし』 久「私は好き。・・・じゃ、そういう事でよろしく」 『へいへい・・・全く、とんだ横暴部長じゃ』 駅前のクレープ屋 咲「さて京ちゃん。辞世の句は読まなくていい?」 京太郎「四局目 どうしてあれが 当たり牌」ガックリ 咲「それ川柳だよー。あ、このサンクチュアリ大車輪クレープ2人分下さい!・・・恋人割で」 店員「かしこまりましたー」 京太郎「恋人割にしてくれるのは優しさでしょうか」 咲「勝者の余裕、だよっ」 店員「お会計はお連れの彼氏様でよろしいんですか?」 京太郎「・・・はい、そうです」 店員「はい。ではお釣りを・・・」 京太郎「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ・・・予想外の出費だ」 咲「悔しいでしょう、そうでしょう」フフン 京太郎「ちなみに、あの手牌。咲だったらどうする?」 咲「今からじゃ何言っても結果論だけど・・・あの2手前にイーピン切ったので大体分かったかな」 京太郎「あー、そこか・・・くそっ」 咲「まぁまぁ、ミスをミスだと気付けることが上達への第一歩だよ」 京太郎「次は、次こそは勝ち越してやる!」 咲「京ちゃんはまずトバされないようにしないとねー」 京太郎「・・・ですねー」 店員「お待たせしましたー」 咲「あ、きたきた」 京太郎「oh、これまたジャイアントな・・・」 咲「それじゃ、いただきまーす」 京太郎「ん。ちゃんとスプーン使って、良く噛んで食えよ」 咲「そこまで子供じゃないよー・・・はい京ちゃん、あーん」スッ 京太郎「なっ!?」 咲「どうする?当たり牌だよー?」フリフリ 京太郎「ここは攻めるっ!」グワッ 咲「なんちゃって」パクッ 京太郎「ぐ・・・半分分かってたのに釣られてしまった・・・悔しい・・!」 咲「あまーい♪・・・やーい、京ちゃんのチョンボー責任払いー」ベー 京太郎「くそっ、それでも俺は自分のクレープを背筋伸ばして食べるだけだっ!」ガツガツ 咲「ちょ、行儀悪いよ」 京太郎「うるせぇ!男の期待を裏切られるより幾分マシだ!」ゲフッ 咲「あーもう、ほっぺにクリームついてるってば」フキフキ 京太郎「そこで普通に備え付けのペーパーナプキン使っちゃうあたりこの子分かってねぇなーと思います」 咲「京ちゃんの歪んだ常識なんて知りませんー」パクパク 京太郎「今日は完敗だな・・・」 咲「そうでもないよ、京ちゃん初めて2連続で和了ったんでしょ?」 京太郎「俺が完敗だと思ったら完敗なんだよ。・・・次は勝つ!」 咲「うん、その意気だよ京ちゃん!」グッ 京太郎「応援してくれる気持ちは嬉しいからクレープ持ったままガッツポーズはやめような、ちょっと飛んだぞ」ベチャ 咲「ごめんなさい」フキフキ 京太郎の家 京太郎「くそー、相変わらず強いなぁ咲の奴」 ヴーッ、ヴーッ 京太郎「メールか・・・」 【差出人:染谷まこ 件名:麻雀しようや】 【本文:自分が清澄のお荷物でないと思うなら、土曜日に駅前に来んさい・・・】 【別に逃げても責めんけんのう、安心せえよ(注:長丁場になるけぇ、親御さんには言っときんさい)】 京太郎「これは・・・・・・喧嘩売られたってことでいいんだよな?」 京太郎「長丁場?上等じゃねぇか・・・その喧嘩買ってやる!」 京太郎「よっし、グダってる暇なんかねぇ!麻雀だ!」 カチカチ 京太郎「○和、○和っと・・・ん?この【タコタコス】って・・・」 kyou おい、お前タコスか? タコタコス 見ればわかるじぇ。只今武者修行中だじぇ kyou だよな。ちょっとやろうぜ タコタコス かかってこいだじぇ 京太郎「よし、そんじゃいっちょやるか優希!」ギュッ 土曜日 京太郎「さて、駅前に来てみたはいいものの・・・」 まこ「おー来た来た。京太郎、こっちじゃぞー!」 京太郎「あ、染谷先輩。何ですかあのメール」 まこ「そりゃ、お前さんに喧嘩売っとるんじゃよ」 京太郎「・・・いいですよ、やりましょう」 まこ「ハッ、その意気やよし。さ、着いてきんさい」 京太郎「電車に乗るんですか?」 ゴォォォォォォォー 雀荘 支配人「・・・電子機器と貴重品はお預かりします」 まこ「ん」ポイッ 京太郎「は、はぁ」 まこ「さ、この奥じゃ」 ギィィィィィィィィ・・・ まこ「・・・ここじゃ」 京太郎「薄暗いとこですね」 まこ「まぁ、座れや」ドカッ 京太郎「・・・はい」ドカッ まこ「今からやる麻雀はちょいと特殊でな、先に説明しておかなきゃいかん事があるんじゃ」 京太郎「特殊?」 まこ「そう・・・耐久麻雀じゃ。簡単に言えば・・・サドンデスじゃな」 京太郎「てことは・・・」 まこ「そう、トぶまで続けるッちゅうことじゃな。場は東固定。流局は4人打ちの時と同じ、親が18枚ツモった時点で流局じゃ」 京太郎「いいですね、分かりやすいです」 まこ「4人用の卓を二人で使うからのう、ルールは基本二人のそれじゃが・・・ツモは禁止じゃ」 京太郎「・・・ツモでトぶのを防ぐ戦法を防止するためですか」 まこ「そういうこっちゃ。ま、要はワシとお前さんで25000点の奪い合いをするっちゅーわけじゃな」 京太郎「ノーガードで殴り合いッスか・・・面白そうですね!」 まこ「じゃ、始めよか」チャッ 京太郎「メガネ、外すんですか」 まこ「当然、最初からトップギアじゃ。・・・怖いか?」 京太郎「誰が!」 まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 ピシッ まこ「うん、よく鍛えられとる。咲ちゃんに感謝せんとな」 ピシッ 京太郎「・・・ありがとうございます」 ピシッ まこ「それじゃ、そろそろ行くけ・・・リーチ!」 バシンッ 京太郎(来たか・・・でも、絞れないリーチじゃない!) ピシッ まこ「・・・ほぉ」 ピシッ 京太郎「どうかしました?」 ピシッ まこ「随分とまぁ・・・怯えが無いのう」 ピシッ 京太郎「そりゃ、鍛えられてますから」 ピシッ まこ「だが、その勢いがどこまで続くかのう?」 ピシッ 京太郎「勝つまでですよ!・・・俺もリーチ!」 バシンッ まこ「ええ面構えじゃ!」 ピシッ 京太郎「染谷先輩こそ!こんな雀荘に入れるなんて知りませんでしたよ!」 ピシッ まこ「まぁな!」 ピシッ 京太郎「貰った!それロン!」 パタタタタ・・・ 京太郎「メンタンピン!3900点だ!」 まこ「おお、先手を取られてしもうた」 京太郎「このまま・・・一気に抉り取る!」 まこ「怖いのう・・・じゃが、お前さんにも存分にワシを怖がってもらうき・・・」ニタァ 京太郎「・・・・・・っ」ゾクッ 東二局 ピシッ 京太郎「くっ、違ったか」 ピシッ まこ「それ、ロンじゃ」 パタタタタ・・・ まこ「ピンフのみドラ1で2900点・・・ま、クソ役じゃな」 京太郎「それじゃ俺は倒せませんよ、染谷先輩!」 まこ「さて、どうかのう?」 東三局 ピシッ 京太郎「・・・」 ピシッ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・くっ、リーチ!」 ピシッ まこ「ああ、言い忘れとったがワシはこの耐久麻雀、負けたことないんじゃ」 ピシッ 京太郎「じゃあ俺が一人目ですね・・・光栄です!」 ピシッ まこ「だといいがのう・・・さて、これは?」 ピシッ 京太郎「・・・」 ピシッ まこ「そうよなぁ、和了れんよなぁ・・・そして今打った牌、ロンじゃ」 京太郎「ぐっ!」 パタタタタ・・・ まこ「一盃口、ドラ1で3900。連荘じゃ」 京太郎「あの、染谷先輩」 まこ「なんじゃ?」 京太郎「ちょっと喉乾いたんで飲み物買って来たいんですけど・・・」ガタッ まこ「何を腕の皮の生っ白いこと言っとるんじゃ?」 京太郎「え?」 まこ「言ったろ、『この麻雀はどちらかがトぶまで終わらん』って」 京太郎「耐久麻雀って、まさか・・・」 まこ「そう。終わるまでは飯も外の空気を吸う事も喉を潤す事も寝る事も許されん麻雀じゃ!」 京太郎「・・・っ!」 まこ「ただ一つ、逃げる方法はある。・・・部屋の両隅にあるボタンの、自分側のを押せばええ。押した方の負けじゃ・・・」 まこ「尻尾巻いて無様に逃げればええ」 京太郎「誰が押すんですか、そんなボタン!」ドカッ まこ「言うと思ったわ・・・後悔するなよ?」 京太郎「しません!」 「ロンだ!」 「ロンじゃな」 「ロン!」 「それ、ロンじゃ」 「それロン!」 「ロンじゃ!」 ・ ・ ・ 10時間経過・・・東百十六局 京太郎「ハーッ、ハーッ・・・!」 まこ「・・・お前の親番じゃぞ」 京太郎(くそ、喉が渇いて死にそうだ!頭もクラクラする!しかも・・・染谷先輩が段々強くなってる!) 京太郎「俺の・・・ツモ、ですね?」 まこ「そうじゃ」 京太郎「・・・」 パシッ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「っ・・・」フラッ パシッ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 パシッ まこ「ロンじゃ」 京太郎「ぐぅっ・・・!」 まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 パシッ まこ「ロンじゃ」 京太郎「ぐぅっ・・・!」 まこ「ピンフドラ1、2900点・・・これで、またほぼ振り出しに戻ったのう」 京太郎「畜生っ・・・!負けてたまるか・・・!」 まこ「最初の威勢はどうした、京太郎?」 京太郎「今からお見せしますよ、染谷先輩・・・!」 まこ「おお好きなだけ見せとくれ、お前さんの虚勢を!」 「ロン!」 「ロンじゃ」 「・・・ロン!」 「そこもロンじゃ」 「・・・・・・っロン!」 「おいおい、勝手にバテんでくれよ・・・?ロン」 ・ ・ ・ 18時間経過:東二百十六局 京太郎(ヤバい、意識が・・・!) 京太郎「・・・」カクン まこ「京太郎、お前のツモ番じゃぞ?ふむ、寝とるな・・・むしろ今まで持っただけ褒めるべきかのう」 まこ(実力は完全に伯仲・・・いや、若干奴さんのが上とさえいえるかの) まこ「・・・支配人、目覚まし持ってこい」 『ハッ・・・』 京太郎「Zzz・・・」 支配人「・・・」スッ バシャァァァァァァァァァァァァァァァッ! 京太郎「ぐああああああああああああああああああああああああっ!?」ビクッ まこ「いい目覚ましじゃろ?バケツ大盛り一杯、55℃の熱湯じゃ・・・さ、続けるぞ」 まこ「あぁそう、これを5回浴びても起きなかった場合は強制的に負けじゃ、精々気を付けぇよ」ニタァ 京太郎(熱い!クソッ、一体何がどうなって・・・あ、そうか、俺、まーじゃんしてたんだ) 京太郎「染谷・・・まこっ・・・!」ギリッ まこ「ハッ、まるで獣の目じゃな。それじゃあワシには勝てん」 京太郎「この野郎っ!」 「ロ、ン・・・」 「ロンじゃ」 「そこもロンじゃ!」 「甘いのう、それもロンじゃ!」 「ぐがっ・・・!ロン!」 「それもロンじゃなぁ!」 ・ ・ ・ 22時間経過:東二百五十九局 京太郎「・・・」フラフラ パタッ・・・ まこ「・・・」 ピシッ 京太郎「・・・」 パタッ・・・ まこ「京太郎、聞け。返事はせんでええ」 ピシッ 京太郎「・・・?」 パタッ・・・ まこ「今、大勢がワシにあるのは理解できるな?・・・そこで、提案じゃ」 まこ「今、あのボタンを押せばここから出してやる。あったかい飯も、冷たい水も、ふかふかの布団も好きなだけ使わせてやる」 ピシッ まこ「・・・どうじゃ?ワシとしても清澄高校唯一の男子麻雀部員のお前をこれ以上追い詰めたくない」 まこ「ここはひとつ、次に生かすための負けとして受け入れるのは」 京太郎(飯・・・水・・・布団・・・くそ、眠ぃ・・・あの、ボタンを押せば・・・) まこ「ここまでよく頑張った。お前は十分強い、もう頑張らんでもええ」 京太郎(頑張らなくても、いい・・・?)フラッ まこ(奴さん、ここまでじゃな・・・) 京太郎(ボタン・・・これを押せば、ああ、眠ぃ・・・)フラフラ 『京ちゃん!』 『悪いよ!勝手に努力を放棄して、戦う前から負けを認めてる京ちゃんなんて、とってもカッコ悪いよ!』 『京ちゃんは、いつだって頑張り屋さんだもん!』 京太郎「ふっーーーーーー」 『麻雀って……楽しいよね!』 京太郎「っっっっざけんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」ガァンッ まこ「!?」ビクッ 京太郎「あ゛ー、やっとスッキリした・・・染谷先輩、お待たせしました。続けましょう」フラフラ まこ「おまっ、壁に思いっきり頭打ち付けるなんて何考えとるんじゃ!血がドバドバ出とるぞ!?」 京太郎「目覚ましです・・・続けましょう」 まこ「お前さん・・・最悪死ぬぞ?」 京太郎「死んだっていい、構うもんか・・・座れよ、染谷まこ。俺は、俺はまだこの勝負を降りる訳にはいかねぇんだ!」 まこ(フッ、乗り越えたか・・・久の言った通りじゃのう) まこ「あー、お前さんの覚悟はよーく分かった。じゃから勝負はここでーー」 京太郎「怖いのか?」 まこ「・・・あ゛?」 京太郎「急に喋り出したから降参すんのかと思ったら、さっきからちっとも自分のボタンに手をつけようとしねぇじゃねぇか・・・」 京太郎「それってつまり、俺が押せってこったろ?」 京太郎「俺に負けるのが、不敗伝説を破られるのがそんなに怖いのかよ・・・染谷先輩!」 まこ「人の老婆心も知らんと、随分とズケズケ言ってくれるのぉ、若造が・・・!」ゴウッ 京太郎「口つぐむのは老人だけで十分だ!」 まこ「・・・もう本気で怒った。どうなっても知らんぞこんくそガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 京太郎「そのくらいなきゃ勝負にならねぇよ!」 「ロンッ!」 「ロンじゃっ!」 「甘ぇよ!そこロン!」 「それもロン!」 「ロン!」 「ロン!」 「ロンだっ!・・・さぁ、連荘だぜ!」 ・ ・ ・ 24時間経過:東二百七十六局 京太郎「あ゛ー・・・クソッ」フラフラ まこ「くぅ・・・」フラッ 京太郎「・・・染谷先輩の、親だな」 まこ「ワシの分析麻雀を掻い潜った上で更に攻め込み、ここまで追い込んだ・・・認めちゃる。お前さん、大した奴じゃ」 ピシッ 京太郎「だからどうした。まだ勝負はついてねーぞ・・・!」 バシッ まこ「だがな、人間心よりも体の支配が強いんじゃ」 ピシッ 京太郎「・・・」 バシッ まこ「血を流し過ぎたのう。早くワシにトドメをささにゃ、お前さんもうじき確実にぶっ倒れるぞ」 ピシッ 京太郎「だったらっ・・・この局で和了るだけだ!」 バシンッ まこ「ああそうじゃな、今のお前さんならその力もある。実力はワシより上じゃからな、まともに打ち合えば間違いなく和了れるじゃろう」 ピシッ 京太郎「まさか、アンタ・・・!」 バシッ まこ「あぁ、お前さんの想像どおりじゃ・・・悪いが、この局はベタ降りさせてもらうき」 まこ「この耐久麻雀、如何に点数で下回っていようと最後に立っていたほうの勝ちじゃからな」 ピシッ 京太郎「ぐっ・・・!」 バシッ まこ「勝つための手段じゃ・・・卑怯とは、言わんよな?」 ピシッ 京太郎「ったりめーだろ・・・それがアンタの戦法なら、俺は喜んで挑戦する!」 バシッ まこ「須賀、京太郎か・・・お前さんと打てて楽しかったよ」 ピシッ 京太郎「その言葉は俺が勝つまでとっといた方が良いですよ、先輩・・・!」 バシッ まこ「・・・さ、次はお前さんじゃ」 ピシッ 京太郎「・・・っ」 バシッ まこ「苦しそうじゃのう」 ピシッ 京太郎「リー・・・チッ!」 バシンッ! まこ「ハッ、予言してやる。そのリーチは不発に終わるけぇ」 ピシッ 京太郎「言ってろ・・・!」フラフラ バシッ まこ「本当に・・・アホじゃのう」 ピシッ 京太郎「俺は、和了る・・・!そこ、ポン頂き!」 バシッ まこ「いーや、和了らせん!」 ピシッ 京太郎「和了る!」 バシッ まこ「絶対に和了らせん!」 ピシッ 京太郎「絶対に、和了ってみせる!それポンだ!」 バシッ まこ「ワシの誇りにかけて、この局は流す!」 まこ(和了る和了ると急に元気を取り戻しおって・・・相当和了りやすい手を持ってると見たき) ピシッ 京太郎「っ・・・!」フラッ パタッ・・・ まこ「・・・!」 ピシッ 京太郎「くっ・・・!」 パタッ・・・ まこ「そろそろ、じゃな。せめてリーチせんどけばよかったものを」 ピシッ 京太郎「うるせぇ、俺の麻雀だ・・・!」 パタッ・・・ まこ「おー、今のうちに吠えろ吠えろ。後3分もせん内にお前さんは倒れ、ワシの不敗記録は更新されるからのう」 ピシッ 京太郎「させる、かっ・・・!」 パタッ・・・ 京太郎「ぐぅっ!?・・・ぁ・・・」ドサッ まこ「・・・ついに座っても居られんくなったか。後腐れないように、早めに引導渡しちゃるけーのお」 まこ「これで・・・死にさらせやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 バシィィィィィン! 京太郎「・・・」 まこ「これで流局・・・終わりじゃな。京太郎、お前さんの負けじゃ」 ガシッ まこ「なっ!?」 京太郎「いいや・・・」 ズルッ・・・ まこ「馬鹿なっ、そんな事があるのけ!?」 京太郎「俺の・・・」 京太郎「俺の・・・勝ちだ・・・!」 バンッ 京太郎「ーーロン。混老頭、トイトイ・・・ドラ2、河底撈魚で・・・12000点、ハネ満」 京太郎「アンタの、トビ、だ・・・」ドシャッ まこ「・・・ハァ。もう呆れたわ・・・分かった分かったワシの負けじゃ」 まこ「しかしここに来て一番危なっかしい混老頭とは読めんかったな・・・」 まこ「深読みし過ぎたか、いや今回が偶然で元から読める手じゃなかったか・・・京太郎?」 京太郎「・・・・・・」ゲー まこ「うわ、こいつ寝ゲロしとる」 京太郎「・・・・・・」 まこ「ったく、締まらんなぁ・・・よいしょ」グィッ まこ「重っ・・・くそ、完全に気絶しとるなこれ」 まこ(ボタン・・・負けを認めた方が押すんじゃったな) カチッ ブーーーーーーーーーーーーーッ まこ(あ、これ、アイツとの勝負に夢中で気付かんかったけど、ワシもそろそろ・・・げん、か・・・)ドサッ ギィィィィィィィッ 支配人「・・・・・・終了いたしましたか」 支配人(ほとんど使ってない部屋とはいえ、出来れば店は汚してほしくなかったですね) 支配人(男のゲロとか一番嫌な類です) 支配人(いやマジで) とある公園 京太郎「・・・ぅおっ!?」ガバッ まこ「やーっと起きたか」 京太郎「し、勝負は!?ていうか今何時だ!?」 まこ「今は日曜の夜9時・・・勝負はお前さんの勝ちじゃ。本気で死ぬまで打つ気だったんか貴様」 京太郎「そう、か・・・俺、勝ったのか・・・ハハ」 まこ「ああ。店の中で寝ゲロした上で、かよわい女の子にゲロぶっかけよってな」 京太郎「あれ、頭の傷・・・」サスサス まこ「あれは切り傷。血が多く出ただけで、きちんと消毒すれば前髪で隠れる程度のもんじゃ」 まこ「まったく訳のわからん自傷行為に走りおって・・・」 京太郎「し、仕方ないでしょう!」 まこ「ああ、全く負けた方が何言っても遠吠えじゃあ。それじゃ、負け犬はそろそろ帰るとするけぇ」 京太郎「・・・」 まこ「・・・次は負けん」 京太郎「俺も、負ける気ないです」 まこ「勝手に言っとき。この麻雀狂いめ・・・それじゃーの」スタスタ 京太郎「ハハハ・・・って、日曜の夜9時ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」 まこ「・・・チッ」ビュンッ 京太郎「ちょっ、俺家からとんでもない数の電話とメールが来てるんですけど!?染谷先輩!?染谷まこ先輩ー!?」 京太郎の家 京太郎「あ゛ー、超絞られた・・・ただでさえ疲れてんのに」フラフラ ボフッ 京太郎「やべ、布団超気持ちいいー・・・ん?」 ピリリリリリリリリッ!ピリリリリリリリリッ! 京太郎「そうですか、後1イベント残ってましたか」 ピッ 『京ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!』 京太郎「ハーイ、こちら須賀京太郎。聞こえてるからなるべく小さな声で喋ってくれると嬉しいな」 『ふざけてる場合じゃないでしょ!』 『京ちゃんのお母さん「遅くなるとは言ってたけど、ここまで遅いなんて・・・」って本気で心配してたんだよ!?』 京太郎「あー、それについてはまた今度・・・てか普通にウチの親と会ってるんだな」 『また今度じゃないのっ!私だって・・・とっても、心配で・・・』グスッ 京太郎「・・・悪かったよ、だから泣くなって」 『・・・・・・だって、京ちゃんにメールしても全然返って来ないのなんて初めてだから、どうしたらいいかわかんなくて・・・』 京太郎「・・・咲、お前ひょっとして「京ちゃんからメールが返ってこないんです!」」 京太郎「とか言って涙目でド○モショップに駆けこんだりしてないよな?」 『・・・・・・』 京太郎「で、受付のお姉さんに苦笑されながら「ちゃんと届いてますから、安心してください」」 京太郎「とか言われて急に恥ずかしくなって赤面したりしてないよな?」 『・・・・・・京ちゃんの馬鹿っ!』 京太郎「なんだビンゴか・・・機械不信もここまで来ると特殊能力だな」 『う゛ー、人が折角心配してるのに・・・』 京太郎「咲・・・ありがとな」 『私にお礼言う前に自制心を持ってくれた方が私は嬉しいなー』 京太郎「ハイハイ、善処します。それじゃ、俺疲れてるから切るけど・・・暖かくして早めに寝ろよ」 『だから私そんなに子供じゃないってばー』 京太郎「へっ・・・それじゃー、また学校で」 『うん、また明日、学校でね!』 ピッ 京太郎「あー、疲れた」グッタリ 京太郎「・・・へっくし!」 京太郎「うわー、これ風邪引いちゃったかもなー」 京太郎「明日までに、直さねーと・・・部活に・・・」 京太郎「Zzz・・・」 翌日 ガチャッ 久「おいーっす」 京太郎「こんちはーっす」フキフキ 久「いやー、ホント須賀君が居てくれて助かるわ」 京太郎「雑用的な意味でですか?」 久「ううん。清澄高校麻雀部員的な意味よ・・・早く公式試合やってみたいでしょ?」 京太郎「そりゃそうですよ!」 久「うん、今の須賀君なら結構やれると思うわ・・・でも、一つ気になるのよねぇ」 京太郎「何ですか?」 久「いや、まだ推測の域を出ないんだけどね・・・」 咲「こんにちはー」 京太郎「お、来たなお姫様」 咲「京ちゃんこそ、今日もお掃除大義である!」 京太郎「へへーっ!」 優希「麻雀だじぇー!麻雀をさせるじぇー!」ガルルル 和「あら、今日は染谷先輩は?」 久「・・・体調不良で欠席。まぁ私の責任も多少あるけど・・・」チラッ 京太郎「!?」ドキッ 咲「?」 久「それじゃ、今日も部活始めましょうか!」 「「「「はいっ!」」」」 京太郎「今日だけ出れば、今週は明日から連休だなー」 ピシッ 咲「京ちゃん、連休中も部活来るよね?」 ピシッ 京太郎「おいおい、俺が来ないはずないだろ」 優希「・・・私も来るじぇ。京太郎だけには負けられんじぇ」 ピシッ 和「私も、というか麻雀部の皆さんは何も言わずとも全員来ると思いますが」 ピシッ 京太郎「だよなー。最近麻雀より楽しい事が見当たんねぇし」 ピシッ 咲「そうだね・・・ね、京ちゃん。『あの』アイスって言って分かる?」 ピシッ 京太郎「あのアイス?なんじゃそら」 優希「・・・!咲ちゃん、その事をどこで聞いたんだじぇ?」ピキーン パシッ 咲「噂話なんだけど、優希ちゃんも知ってるんだ?」 和「何のことです?」 ピシッ 久「ああ、アレね・・・都市伝説じゃないの?」 優希「いーや、そうとも言い切れないじぇ。手に入れるチャンスはきっとあるじぇ」 咲「あー、一回でいいから食べてみたいなぁ。ショフトクリーム」 ピシッ 京太郎「ソフトクリーム?その辺に売ってあるのを買えば・・・」 ピシッ 優希「ソフトクリームじゃないじぇ!ショフトクリームだじょ!」ドンッ バシッ 咲「それロン!三暗刻、嶺上開花、ドラ2!」 優希「ぬわーっ!京太郎のせいだじぇ!」 和「どうしてあんな低確率のものがこうポンポンと」 京太郎「ふぃー、危なかったぜ。振り込むところだった・・・そんで、そのソフトクリームは何が凄いんだ?」 優希・咲「「ショ・フ・ト!」」 京太郎「な、なんだよ・・・大して変わんねーだろ、ソフトだろうとショフトだろうと」 和「そこ、重要なとこなんですね?」 咲「うん、とっても重要だよ」 優希「ショフトクリームとソフトクリームは月とスッポン、天と地ほどの差があるじぇ」 京太郎「・・・で、そのショフトクリームは何が凄いんだ?」 久「ショフトクリームって言うのはここら辺一体で噂になってるソフトクリームでね・・・」 久「なんでもあらゆる味覚をカバー出来る極ウマアイスらしいわ」 京太郎「へー・・・」 和「まぁ、単なる噂ですね」 京太郎「だろうな。さ、次は俺の親だぜ!」 ピシッ 咲「京ちゃんには絶対振り込まないよ!」 ピシッ 優希「京太郎にだけは負けんじぇ・・・!」メラメラ ピシッ 和「全部搾り取った上でトバしてあげます・・・!」ガロロロロロ バシンッ 京太郎「お前ら・・・上等じゃねえかあああああああああああああああああああああっ!」 ・ ・ ・ 京太郎「ぶはーっ!やっと半荘終わりか」 優希「大激戦だったじぇ・・・」 和「宮永さん、流石です」 咲「えへへ・・・京ちゃんも頑張ってたと思うよ?」 京太郎「ま、タコスには勝ったからな!」 優希「ぐぅ・・・南場さえなければっ!マジで悔しいじぇ、京太郎め!・・・もう半荘やるじぇ!焼き鳥にしてやるじょ!」 京太郎「おう、上等だ!」 咲「二人とも、もう部活の時間終わりだよー」 久「んー・・・」 和「部長、どうかしました?」 久「須賀君、ちょっといい?」 京太郎「はい?」 久「例えば・・・」カチャカチャ 久「この局面だったら、どれ切る?」 京太郎「えーと、これですかね?」 ピシッ 久「・・・こりゃ重傷ね」 京太郎「へ?」 久「鴛鴦症候群とでも名付けるべきかしら・・・」 優希「重傷?京太郎の腕がアレなのは元からだじぇ、不治の病だじぇ」 京太郎「負けた奴に言われたくねーよ!」 優希「最後咲ちゃんに振り込まなけりゃ勝ってたじぇ!タイマンの成績なら私が上だじぇ!」 京太郎「あーそうかよ!なら次は文句のつけようがないようにトバしてやるよ!」 優希「こっちのセリフだじぇ!」ガルルルル 久「あー、そういうんじゃなくてね・・・須賀君、打ち方が対宮永さんに偏り過ぎなのよ」 咲「私に?」 久「ほら、部活後に宮永さんと二人っきりで麻雀の勉強してたでしょ?」 京太郎「そうですけど・・・」 和「・・・・・・」ギョリリリリリリリリ 優希「和、歯軋りでその音はヤバいじぇ、何かに目覚めてるじぇ」 久「確かに腕自体は格段に上がってるけど・・・癖がついちゃってるのよ」 咲「・・・あっ」 久「例えばさっきの局面、真っ先に槍槓狙いにいったでしょ?」 久「普通はあり得ないわ。あそこならもっと有効な手に出来たはず。でもそれをしなかったのは槍槓が一番有効だと思っているから」 優希「なんか納得できるような、出来ないようなだじぇ・・・」 久「つまり、宮永さんの相手をし過ぎたのが原因よ」 久「牌譜を見ても、ある程度宮永さんの打ち筋に似たような状況の時は全部同じような待ちをしてるわ」 咲「で、でも腕は上がってますし」 久「須賀君。これが原因で実戦に通用しなくても良いのかしら?」 京太郎「・・・っ!」 久「嫌よね。・・・でも、この癖はその可能性も考慮せざるをえないほど重度のものよ。ちょっと研究されたらすぐにバレるわ」 京太郎「どうすれば、いいんですか?」 久「簡単。癖が治るまで宮永さんと麻雀しなければいい」 京太郎「!?」 咲「そんなっ!」 優希「でも、その二人が一緒に居て麻雀をしてない場面が想像できないじぇ」 和「確かに・・・暇さえあれば、麻雀してますもんね」ギリッ 久「そこなのよねー・・・よし!重大発表!」 「「「「!?」」」」 久「須賀京太郎君。連休期間中の部停&宮永さんとの面会禁止を言い渡します!」 咲「京ちゃんが」 京太郎「俺が」 咲・京太郎「「部停の上に面会禁止!?」」 和「部長、ナイス判断です!」グッ 咲「ぶ、部長!いくらなんでも・・・」 久「私としても二人を引き裂きたくは無いんだけどねー」ニヤニヤ 咲「そ、そういうのとは違います!でもやりすぎじゃないですか!?」 久「じゃあ宮永さんに聞くけど、一日中須賀君と一緒に居て麻雀しないでいる自信ある?」 咲「う゛・・・」 久「須賀君は?」 京太郎「・・・無いッス」 久「と、言うわけよ。少しの間宮永さんと離れて強くなる方を選ぶか、それとも宮永さんとずっとやり続けて強くなれない方を選ぶか」 久「どうする?」 京太郎「・・・・・・俺は、強くなる方を選びます」 久「よく言った、それでこそ清澄麻雀部よ。宮永さんも、須賀君が覚悟決めたんだから。妻として付き合ってやりなさい」 咲「京ちゃん・・・」 京太郎「咲・・・俺、強くなりたいんだ」 咲「うん、分かってる。だから、癖が治ったらーーまた、私と麻雀してくれる?」 京太郎「ーーああ、約束する」 久「・・・いや、何も今生の別れって訳じゃないのよ?」 和(ぁぁぁイライラする・・・!)ワギャンワギャン 優希「誰か!今すぐ私の相手するじぇ!早く!早く!」メラメラメラメラ 京太郎「それじゃあ部長。俺は部停期間の間はここに来ちゃいけないんですよね?」 久「ま、そうね。・・・ちょっと耳貸してくれるかしら」 京太郎「・・・?」スッ 久「・・・龍門渕に行きなさい。話は通しといてあげるわ」ヒソヒソ 京太郎「マジですか!?」 久「それが、癖を直しつつあなたを手っ取り早く強くするには最適の手段だからね」 久「・・・前にも言ったけど、私あなたには期待してるのよ?」 京太郎「ありがとうございますっ!」 久「お礼は強くなってから言ってくれた方が嬉しいわ。・・・頑張ってきなさい」 京太郎「はいっ!」 咲「京ちゃん、なんて言われたの?」 京太郎「秘密の特訓だとさ!帰ってくる頃には咲が相手にならないレベルになってるかもしれねぇぜ?」 優希「ないじぇ」 和「そんなオカルトあり得ません」 久「それは厳しいわね」 京太郎「なんか妙に辛辣ですね皆さん」 咲「うーん、期待薄かな」 京太郎「咲まで!そこは嘘でも期待してるって言ってくれよ!」ガーン 咲「アハハ、冗談冗談。・・・それじゃあ期待してるよ?京ちゃん」 京太郎「おう、任せとけ!」 久「では、話もまとまったところで今日の部活はここまで!・・・須賀君、今日は念入りに掃除してってね」 京太郎「了解しましたっ!」 久「それじゃ、私は帰るわねー」ヒラヒラ 優希「帰ってネト麻だじぇ!休んでる暇なんかないじぇ!」 和「宮永さん、一緒に帰りません?」 咲「あ、ごめん原村さん。私京ちゃんともうちょっと話したいから」 和「・・・」イラァ 和「まぁ、連休中はずっと私のターンですし・・・別にいいか」ボソッ 咲「?」 和「いえ。それじゃあ私、先に帰ってますねー」 ガチャッ 京太郎「・・・」ウズウズ 咲「・・・」ウズウズ 京太郎「あー、駄目だ!咲と二人で居ると麻雀したくて体がウズウズする!」 咲「私もー。早く京ちゃんと麻雀したい麻雀したいっ!・・・ってなっちゃうよー」 京太郎「こりゃ部長の言ってた癖もマジっぽいな」 咲「部長さんは、ちゃんと京ちゃんの事考えてくれてるんだよね」 京太郎「ああ、まさか俺の牌譜をずっと見ててくれたとは思わなかったよ」 咲「部長さんもとっても頑張り屋さんだよね」 京太郎「ああ。あの人、表には出さねーけどな」 咲「恥ずかしいのかも?」クスッ 京太郎「かもな!」 咲「・・・明日から、しばらく京ちゃんに会えないのかぁ」 京太郎「ま、そうなるな」 咲「仕方ないけど・・・ちょっと、寂しいかも」 京太郎「ん、寂しい?」 咲「え、京ちゃんは寂しくないの?」 京太郎「だって、咲の声はいつでも聞けるし」 咲「えええええっ!?それって、どうやって」 京太郎「ヒント。お前が身につけてる唯一の電子機器ってなーんだ」 咲「あ、携帯・・・」 京太郎「そーいう事だ。会えなくても、声は聞けんだろ?」 咲「・・・うんっ!」 咲「京ちゃん、私毎日電話するからね!」 京太郎「友達が転校するかのような言い方だな」 咲「やっぱり迷惑、かな・・・?」 京太郎「・・・んなわきゃねーだろ、嬉しいよ」 咲「よかった・・・私が寂しんぼなだけかなって、ちょっと心配になっちゃったよ」 京太郎「俺は俺が居ない間に咲が機械を壊さないかが心配だよ」 咲「む・・・京ちゃんそれは失礼だよー!」 京太郎「どうだかな、俺が電話に出ないからってド○モショップに駆けこんでる絵面が目に浮かぶぜ」 咲「あれはっ・・・初めてだったから混乱しただけで、もう二度としないもん!」 咲「京ちゃん。連休中に絶対、癖治してきてね」 京太郎「あったりめーよ。任せとけって!」 咲「うーん、京ちゃんの任せとけはあんまり信用できないんだよねー」 京太郎「なにおう!?」 咲「・・・頑張れ、京ちゃん!」 京太郎「おう、頑張るぜ・・・そろそろ帰るか。送っていきますよ、咲お姫様」 咲「うむ、苦しゅうない。それじゃ、今日もエスコートよろしくね京ちゃん!」 咲宅前 京太郎「・・・じゃあな、咲」 咲「うん。また、連休明けに・・・」 京太郎「ーーーー」 咲「ーーーーっ・・・」 咲「連休明けに、絶対、麻雀しようね・・・!」 京太郎「・・・よっし!んじゃその時には咲をちょちょいっとのしてやるとするか!」 咲「ほほー、いつもちょちょいっとのされてる京ちゃんが何か言ってますなぁ♪」 京太郎「うるせぇ!絶対倒してやるからなあああああああああああああああああああああ!」ダダダダダ 咲「頑張れ、京ちゃん。・・・・・・・・・頑張れ」 部長宅 ピッ 『けほっ、けほっ・・・』 久「おー、まこ。大丈夫?」 『う゛ー・・・まぁな、ただの風邪じゃから一日休めばなんとか治るき』 久「それは重畳。で、病み上がりのとこ悪いけどまこに聞きたいことがあるのよ」 『・・・なんじゃ?』 久「龍門渕に話を通す時って、どうすればいいのかしら?」 『んなもんワシが知るかっ!』 ガチャッ 久「あー・・・うん、まぁそうなるわよね」 久「須賀君なら多分なんとかなるでしょ!・・・多分」 『なっ、何故ですの!?龍門渕にアポ無し単独の無謀な挑戦者が現れるなど前代未聞』 『それを泊めたとなれば後世に語り継がれるレベルに目立てましてよ!?』 『お前は目立つ事ばかり考え過ぎだ!もう少し自重、警戒せんか!』 京太郎「親父さん、正論だな」 一「ていうか、普通の意見だよね」 『お父様!目立ってナンボ!目立ってナンボですのよ!?』 『どうしても泊めたいのなら厄介者同士、アイツのところにでも泊めておけ!』 『~~~~っお父様は衣の事をまだ・・・話になりませんわ!勝手にそうさせて頂きます!』 『勝手にしろ!・・・まったく、どうしてこう目立ちたがるのか』 バタンッ! 透華「まったく、これだから古い人間は困るのですわ!」 京太郎「いや、親父さん至極まっとうな意見だと思うぞ」 透華「目立てない意見がまっとうな意見な訳ありませんわー!」 一「それは透華がおかしいだけだと思うな・・・僕もコイツが泊まるのは反対だし」 透華「もう、一まで!・・・着いてらっしゃい、こちらなら使っていいと『許可』が出ましたわ!」プンプン 京太郎「あれでいいのか、龍門渕家」 一「まぁ、あれでいいんだよ。・・・多分」 龍門渕邸・別館 ギィィィィィィィィッ・・・ 透華「さ、ここでしてよ」 京太郎「ここも、でけぇな・・・」 一「んー、ここはちょっとあっちとは違う理由で大きいんだよね」 京太郎「違う理由・・・?」 ???「あ、とーかー!」タタタタッ 京太郎(アイツ・・・まさかっ!) 透華「衣・・・この男が少しの間ここで暮らしますのよ」 衣「・・・コイツが?衣と一緒に暮らすのか?」 透華「ええ、そうなりますわ」 京太郎「おい、あれってーー」ヒソヒソ 一「うん、龍門渕女子麻雀部が誇る我らが大将。天江衣だよ」 京太郎「やっぱりか・・・!」 衣「ふん・・・」スンスン 京太郎「な、なんでしょうか?」 衣「あの女の匂いがするな・・・面白い。透華、この男をここに泊めることを許すぞ!」 透華「・・・でしょうね」 衣「あぁ。今夜は久しぶりに・・・楽しめそうだ」ニタァ 京太郎「っ!?」ゾクッ 衣「清澄の。・・・衣の部屋は3階の北だ、待っているぞ」スタスタ 一「あーあ、衣に気に入られちゃったね」ニヤ 透華「さて、清澄の。あなたは今晩ここに泊まってもらいますわ・・・本当は、あまりしたくないのですが」 京太郎「だったら今からでも家に」 透華「そ・れ・は・わたくしのプライドが許さないと言ってますでしょうが!」 透華「・・・それともなんですか、あなたはウチに遊びに来たんですの?」 京太郎「・・・・・・そいつは聞き捨てならねぇな。俺は、強くならなきゃいけないんだ。俺は・・・ここに麻雀しに来てんだよ!」 透華「でしたら、相手の挑発には乗るものではなくって?」 京太郎「ああ上等だ!乗ってやる、乗ってやるともよ!」 一(沸点低いなー) 透華「ふっ、あなたならそういうと思ってましたわ。・・・人が本気かどうかは、目を見れば分かりますもの」 京太郎「俺ァ決めたよ。男子麻雀部を全員倒してーー龍門渕透華!アンタに直接麻雀を申し込む!」 透華「・・・くっ、くくくっ!最高ですわ!一!聞きました!?」 透華「ここを龍門渕と知って尚!わたくしを龍門渕透華だと知って尚!闘志を滾らせて挑んでくる男がまだいましたわ!」 京太郎「あぁ、最高だ!アンタ程さっぱりとした人間は見たことねぇ!・・・この手で抉り取ってやりてぇ位にな!」 透華「その勇気、蛮勇だったと思い知らせてあげますわ!オーッホッホッホッ!」 京太郎「蛮勇が空回りするとは限らねえぜ、龍門渕の女王様ぁ!」 透華「おっと、肝心な事を忘れてましたわ。ーーあなたの名前を聞いておきましょうか」 京太郎「須賀、京太郎だ!」 透華「須賀京太郎・・・気に入りましたわ。あなた、そういう目もできるんですわね」 京太郎「アンタもな、ただの目立ちたがり屋じゃないって訳だ!」 透華「では、京太郎。・・・ここには、牌に愛された者が住んでいます」 京太郎「天江、衣か」 透華「ええ。彼女の実力は知ってますわね?」 京太郎「県大会であれだけ暴れられりゃあな」 透華「・・・彼女と麻雀するもしないも、あなたの自由ですわ」 透華「ーーただ付け加えるなら、衣は決して挑まれた勝負を拒んだりしませんわ」 京太郎「へっ、流石に良い度胸じゃねえか・・・!燃えてきたぜ!」 透華「明日の朝日が昇るまでに、あなたが麻雀を嫌いになっていない事を祈ってますわ」 京太郎「そりゃ、世界が終わるまでありえねーから安心しやがれ」 透華「ふっ・・・では明日、この場所で」 京太郎「ああ、首洗って待ってろよ!」 一(なーんか、息ぴったりだなこの二人・・・一応『人体切断マジック』用の剣研いでおくかな) 龍門渕邸・別館内 バタン 京太郎「さて、まずは」 ハギヨシ「ハギヨシと申します。須賀京太郎様、以後よろしくお願いします」 京太郎「うおっ!?」 ハギヨシ「お風呂場と食堂は一階、寝室は2階~4階のお好きな部屋をどうぞ」 ハギヨシ「分からないことがあれば、いつでもお呼び下さい。では・・・」シュッ 京太郎「今のが、執事って奴か・・・すげー」 京太郎「んじゃ、まずは飯にすっか!」 龍門渕邸・別館 食堂 京太郎「でっか・・・!」 京太郎(毎度のことながらスケールが違い過ぎんだろ、龍門渕) ハギヨシ「こちらがメニューです。鈴を鳴らして給仕係をお呼び下さい」 京太郎「あ、あぁ。どうも」 ハギヨシ「それでは」シュッ 京太郎「あの人、どこにでも来んのか・・・?」ペラペラ 京太郎(それにしても・・・) 『はんばーぐ&えびふらい(たるたるおおもり、ころもあつめ)』『おむらいす』『かれー(あまくち)』 京太郎「どうにも子供向け過ぎるメニューだなおい!」 京太郎「えーと、この鈴鳴らせばいいのか?」チリンチリン 給仕係「はい、お呼びでしょうか」 京太郎「えーと、じゃあこのカレー下さい」 給仕係「承りました」パタタタタ 京太郎「うーん・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 京太郎「やっぱりこう、広すぎると手に余るっつーか、間が持たねえな。この食堂、一人用ってことはねえよな?」 ハギヨシ「この食堂は基本的に衣様一人でご利用なされます」 京太郎「っ!・・・ってまたアンタか。ホントどこにでも現れるな」 ハギヨシ「執事ですから」 京太郎「てか、一人用でこれかよ・・・」 ハギヨシ「この館は衣様の館ですから」 給仕係「お待たせしましたー」 ハギヨシ「料理が到着したようですので、私はこれで」シュッ 京太郎「消えた・・・んじゃ、食べますか」 京太郎「あー、なんつーかこれアレだわ。ファミレスの味だ」パクパク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 京太郎「・・・」パクパク 京太郎「・・・」モグモグ 京太郎「・・・」パクパク 京太郎「あれ、なんか泣けてきたぞ」モグモグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 京太郎「ごちそうさまでした」パンッ 京太郎「よし、次は風呂だ!」 龍門渕邸・別館 風呂 カポーン 京太郎「ふぃー・・・」 京太郎「良い湯だ・・・」 京太郎「とてつもなく良い湯だ・・・」 京太郎「・・・」 カポーン 京太郎「だあああああもう!広過ぎんだろ!こんな広い風呂に一人で居られるか!俺は天江の部屋に行くぞ!」ザパッ そのころ、龍門渕邸 透華の部屋 一「ねぇ透華」 透華「なんですの?」 一「アイツさ、どうなると思う?」 透華「・・・さぁ、分かりかねますわね」 一「だって、相手はあの衣だよ?」 透華「そうですわね」 一「明日の朝になる頃には、どうなっちゃってるのかなぁ・・・」ニタァ 透華「一。そういう事を考えるならまだしも、口に出すのはおよしなさいな」 一「はーい」 透華(でも、確かに一の言う通り・・・まぁ潰れたらそこまでですけど) 龍門渕邸・別館 3F北側の部屋前 京太郎「この扉の先に・・・」 京太郎(あの、天江衣がいるのか) 衣『そこに居るんだろう、清澄の。・・・入らないのか?』 京太郎「っ!」ブルッ 京太郎「・・・それじゃあお言葉に甘えて、入らせてもらうぞ!」 ガチャッ 衣「ようこそ、衣の部屋へーー楽しませてくれよ?」 京太郎「言われなくても!」 衣「・・・ん?」 京太郎「何だよ、俺の顔に何か付いてるか?」 衣「いや、なんでもない。さぁ始めよう、清澄の・・・サイコロ回れ―!」 コロコロ・・・ 衣「わーい、衣の親番だぁ!」キャッキャッ 京太郎(こうして見ると子供にしか見えねえな・・・) 東一局 衣「~~♪」 パシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 衣「時に清澄の。衣と相対した彼奴は息災か?」 バシッ 京太郎「咲か?ああ、元気だよ」 ピシッ 衣「そうか、それは良い。・・・まだ飽きずに遊べそうだ」 バシッ 京太郎「おいおい、今の遊び相手は俺だぜ?」 ピシッ 衣「・・・・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 ピシッ 衣「なぁ、清澄の」 バシッ 京太郎「何だよ?」 ピシッ 衣「選べ。二度と麻雀出来なくなる方か、それともここで何も言わずに部屋から出るか」 バシッ 京太郎「お前に勝つ方を選ぶ!」 ピシッ 衣「・・・斎斎し。お前はあまりにも乏し過ぎる、凡夫にも劣る下臈だーー今までの打牌で、衣には分かる」 バシッ 京太郎「勝手に人をランク付けしてんじゃねえ!」 バシッ 衣「三流は三流。衣が決めているんじゃない、最初から決まってるんだ」 バシッ 京太郎「っ・・・!」 バシッ 衣「現にお前は和了れていない。今までも、そしてこれからも」 バシッ 京太郎「それは、どうかなっ!」 ピシッ 衣「己の力さえ見えずか・・・見下げ果てた。最早貴様に用は無い」ギラッ バシッ 京太郎(リーチさえできないのは、初めてだなっ!)ゾクッ ピシッ 衣「この世には二種類の人間がいる。牌に愛されたものとそうでないもの」 バシッ 京太郎「ああそうかよ、それでアンタの見立てなら俺はどっち側なんだ!?」 ピシッ 衣「言わなければわからないのか?下臈・・・リーチだ」 バシッ 京太郎「分からねえな!俺は俺の力で引き当てる!」 ピシッ 衣「ここまで分からぬ凡夫が居るとはーー片腹大激痛!」ピッ バンッ 衣「ーーツモ。リーチ一発、メンゼン清一色ドラ2!・・・12000オールだ」 京太郎「んなっ・・・!?」 衣「何をしている、連荘だぞ・・・早く用意しろ」 京太郎(何だ、天江の体が、大きく・・・!?) 東一局一本場 衣「宣言してやる、下臈。お前の親番は久遠に来ず」 バシッ 京太郎「そんな麻雀があってたまるかってんだ!」 ピシッ 衣「そう、これは麻雀じゃない、だから衣も楽しくない。・・・できれば早く終わらせたい」 バシッ 京太郎「そうツレない事言うなよ、なぁ!」 ピシッ 衣「牌に最低限の愛さえ貰えぬ輩になど、少しでも期待した衣が愚かだったか・・・」 バシッ 京太郎「それは俺が決めることだっ!」 ピシッ 衣「いいや、牌が決めることだ。・・・哀れだな」 バシッ 京太郎「憐憫の情でも寄せたいってか!?」 ピシッ 衣「最早その域にすらない。お前は虫だ。・・・リーチ」 バシッ 京太郎「虫は虫で色々怖いらしいぜ、気をつけろよ!」 バシッ 衣「お前の体に微かに薫る友の匂いに賭けてみたが・・・どうやらハズレだったらしい」 パタタタタ・・・ 衣「ロン。九連宝燈、役満。48300点だ」 京太郎「役満だとっ!?」 衣「・・・牌に愛されない者とやると、こうなる。だから衣は三流が嫌いなんだ」 京太郎「くっそ・・・!」 衣「お前は月に唾を吐いた。・・・この程度で済むと思うなよ?」 京太郎「そりゃ、こっちのセリフだ・・・!」 京太郎(大丈夫、こういうのは経験済みだ。ーーだから、だから怯えないでくれ・・・俺!) 衣「・・・」ゴオッ 京太郎「っ・・・!?」 京太郎(天江の体が、なんだよ、これ・・・そんな訳ねえだろ) 京太郎(俺の体が、天江の指一本より小さいなんて・・・) 衣「さぁ、二本場だ・・・微塵も残さん」 東一局二本場 衣「・・・」 バシッ 京太郎「・・・っ」 パシッ 衣「清澄の。もうお前は終わりだーー黄泉に眠れ」 バシッ 京太郎「んなこと、俺が・・・!」 パシッ 衣「ロンッッッッッッッッッ!」ゴオッ パタタタタ・・・ 衣「一気通貫、ドラ3ーー満貫、12600点だ」 京太郎「ぐぅっ・・・!?」 衣「早く次の局の準備をしろ、衣は待つのが嫌いなんだ」 衣「・・・特に、雑魚相手にはな」 京太郎「・・・ぁ・・・!」 京太郎(クソ、クソックソックソックソックソッ!) 東一局三本場 衣「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 パシッ 衣「人には、向き不向きというものがある」 バシッ 京太郎「・・・」 パシッ 衣「清澄の、お前に麻雀は無理だ」 バシッ 京太郎「・・・」 パシッ 衣「最早、話す事も能わずかーー失望したよ」 バシッ 京太郎「負けて、たまるか・・・!」 パシッ 衣「・・・」 バシッ 『連休中に絶対、癖治してきてね』 『頑張れ、京ちゃん!』 『連休明けに、絶対、麻雀しようね・・・!』 京太郎「ここで、お前に負けてたら、俺は・・・アイツに、咲に会えないんだあああああああああああああああああああ!」 バシンッッッ 京太郎(通るっ!) 衣「・・・ロン」 パタタタタ・・・ 京太郎「ーーーーぅっ!?」 衣「ダブ東三暗刻、ドラ2。ハネ満で18900だ」 京太郎「・・・・・・」 衣「無駄だよ。どれだけ猛ろうとお前は牌に愛されることは無い。果敢無い下臈は、ここで風塵と帰すがいい」 京太郎「俺、は・・・」 衣「さ、続きをしよう。ーーお前が、壊れるまで」 東一局四本場 ・ ・ ・ 衣「ーーツモだ。満貫4300オール」 東一局五本場 ・ ・ ・ 衣「ロンだ。ハネ満で19500」 東一局六本場 ・ ・ ・ 京太郎「・・・」 パタッ 衣「ほとほと呆れかえるな・・・ロンだ。7600」 東一局七本場 ・ ・ ・ 京太郎「・・・・・・・」 パタッ 京太郎(これも、また) 衣「ロンだ。11500」 東一局八本場 ・ ・ ・ 京太郎「・・・」 パタッ・・・ 衣「・・・」ピッ 衣「ツモ。5100オールだが、八連荘ーー役満。よって16800オールだ」 京太郎「ハ、ハハ・・・ハハハハハ」 衣「これでお前はー126500点・・・もう、聞こえていないか」 京太郎「ハッハハハハハハハ!ありえねえ!ありえねえよこんなの!何が牌に愛されているだよ!アイツだって、こんな、こんなっ!」 衣「・・・ハギヨシ!」 ハギヨシ「ハッ」シュッ 衣「そこの塵芥を、部屋から追い出せ。ーーとんだ時間の無駄だった」 ハギヨシ「では、失礼します」ガシッ 京太郎「クソ、離せ!離してくれ!俺は、俺はあああああああああああああああああああああああああああ!」 衣「・・・二度と衣の前に姿を見せるな、屑」 京太郎「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だあああああああああああああああああああああああああああああ!」 京太郎「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 龍門渕邸・別館 2F南の部屋 ハギヨシ「・・・落ち着かれましたか」 京太郎「・・・」 ハギヨシ「では、私はこれで」シュッ 京太郎(何をしても、駄目だった) 京太郎(技術とか、運とか、そういう奴の外の・・・もっと遠くの) 京太郎(アレはまるでどうしようもなく大きい月みたいな、そんな) 京太郎(絶望的過ぎる、存在そのものの違い・・・) 『お前は虫だ』 京太郎「俺は、虫なのか・・・?」 『どれだけ猛ろうと、お前は牌に愛されることは無い』 京太郎「・・・」 『お前に麻雀は無理だ』 京太郎「そう、なのか・・・」 京太郎「俺、もう、麻雀・・・しない方が、いいのか・・・?」 ピリリリリリリッ 『着信:宮永咲』 京太郎「さ、き・・・」 ピッ 『あ、京ちゃん!そっちはどう?こっちは原村さんがとってもやる気でね、いつもチラチラ私の方見てくるんだ。ライバル意識なのかな?』 京太郎「・・・」 『・・・京ちゃん?聞こえてないの?』 京太郎(何話せばいいってんだ・・・俺なんかが) 『京ちゃん!京ちゃんってば!』 京太郎「月が、大きくてさ・・・」 『・・・?』 京太郎「大きすぎて、俺、もう・・・・・・・・・駄目だ」 『月っ、て・・・京ちゃん急にどうしたの?』 京太郎「ごめんな、咲。・・・これからは、和と一緒に頑張ってくれ」 『ちょっと、きょ』 ブチッ 京太郎(・・・帰ろう。俺は、ここに居る資格なんてない) 京太郎「・・・」 龍門渕邸・別館 2F廊下 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ 龍門渕邸・別館 1Fホール 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ 京太郎「・・・」 ピリリリリリリッ ピリリリリリリッ 京太郎(なんだよ、咲の奴・・・) 龍門渕邸・別館 玄関 ガチャッ 京太郎(ここから出て、清澄に帰って・・・それで、終わり) 京太郎「・・・っ」 ピリリリリリリッ ピリリリリリリッ 京太郎「クソッ、うるせえんだよ!電源切るぞ!」バッ 『着信:宮永咲』 京太郎(何で・・・!) ピッ 『・・・』 京太郎「何だよ、何か用か!?」 『・・・』 京太郎「用が無いんならかけてこないでくれよ!頼むから、もう俺に構わないでくれ!」 『・・・京ちゃんの、真似だもん』グスッ 京太郎「は?」 『京ちゃんだって、私が最初に電話した時にずっと無視したんじゃない!』 京太郎「・・・だから、俺は」 『京ちゃんの、バカあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!』 京太郎「!?」ビクッ 『いいから、私の言う事を聞きなさい!!!』 京太郎(あの咲が、こんなに怒って・・・!?)バックンバックン 『返事っ!』 京太郎「は、はいっ!」 『まず、外に出て!』 京太郎「で、出ましたっ!」ダダッ 『月は出てる!?』 京太郎「そ、そりゃ満月だけど」 『月に向かって手を伸ばして!』 京太郎「・・・は?」 『いいから!早く月に向かって手を伸ばしてって言ってるんだよ!』 京太郎「何で俺が、俺はもう」 『須賀京太郎!手をっ、伸ばせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!』 京太郎「わ、分かったよ!」ピシッ 『ハァーッ、ハァーッ・・・伸ばしたら、そのまま手を握って!』 京太郎「こ、こうか?」グッ 『ほら、掴んだ!』 京太郎「・・・?」 『京ちゃん。今、月はどこにある?』 京太郎「・・・」 京太郎「あ・・・」 『ーー京ちゃんの、手の中にあるでしょ?』 京太郎「・・・・・・」 『京ちゃん。月はとっても大きいけど、手の中に掴めるんだよ。ううん、月だけじゃない』 『この世の、どんなものだって。手を伸ばせばきっと掴める』 『大きさなんて関係ない。大事なのは掴みたいって思う心、手を伸ばす心だよ』 京太郎「・・・っ・・・」 『だからね、京ちゃん。手を伸ばす前に諦めちゃダメ。手を伸ばして届かなくても諦めちゃダメ』 『何かを掴もうとするときに、距離なんて関係ないよ』 『私が、私が好きなのはっ・・・・・・・・・・・・・・・・諦めないで手を伸ばす京ちゃんだよ!』 京太郎「・・・・・・・・!」 京太郎(俺、何やってんだ・・・!) 京太郎「咲っ・・・俺っ」 京太郎「ごめんっ・・・!ごめんな・・・!」ボロボロ 『・・・・・・ばか』 京太郎「・・・」 『京ちゃんの、ばかっ。勝手に、構わないでくれとか言わないでよ・・・!』 京太郎「・・・ごめん」 『私、ホントにつらかったんだからね・・・?』グスッ 京太郎「もう、二度としねぇ」グイッ 『・・・それだけじゃ許さない』 京太郎「癖、絶対治すーーそんで、俺が帰ったら。一番に麻雀しよう」 『それでも許さないもんっ』 京太郎「それと・・・お前に、ショフトクリーム奢ってやる」 『・・・え?』 京太郎「味は何が良い?44種類のフレーバーと豊富なトッピングが魅力。らしいぜ」 『で、でもショフトクリームって誰も手に入れたことが無いって』 京太郎「・・・絶対奢るからさ、教えてくれよ。何味が良いのか」 『じゃあ、バニラかいちご・・・?』 京太郎「了解、特訓が終わったら最速で届けさせてもらうぜ。舌洗って待ってろよ」 『もう、京ちゃんってば・・・』クスッ 京太郎「ごめんな、咲。ありがとう。ーーありがとう・・・!」 『うん。・・・京ちゃん』 京太郎「何だ?」 『ーーーー麻雀、好き?』 京太郎「ーー大好きさ」 『じゃ、そんな麻雀大好き京ちゃんは私くらいちょちょいっとのしてくれるんだよね?』 京太郎「当然だろ、抉り取ってやるよ」 『どうかなー♪・・・だって京ちゃん、誰かに麻雀でボコボコにされて落ち込んでたんでしょ?』 京太郎「な、何でお前がそれを」 『だって京ちゃんだもん。そんなことだろうと思った』ハァ 京太郎「京ちゃんだもんとは何だ京ちゃんだもんとは!?」 『・・・でも、もう大丈夫だよね?』 京太郎「ああ、もう大丈夫だ・・・咲のお陰だよ」 『おやおや、将来倒す相手に助けられてるようじゃまだまだだねー♪』 京太郎「ぐぬぬ・・・見てろよ、俺はこの特訓で絶対強くなってやる!」 『その意気だよ京ちゃん。・・・頑張れっ!』 京太郎「おう、頑張るぜ!・・・首洗って待ってやがれよ、宮永咲!」 『うん!・・・それじゃ、私もう寝るね。ふぁぁ・・・』 京太郎「おやすみ、咲」 『お休み、京ちゃん』 ピッ 京太郎「ありがとな、咲・・・」パタン 京太郎「・・・」スゥーッ 京太郎「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 ビリビリビリビリッ・・・ 京太郎「よしっ、やるぞ!」パンッ ハギヨシ「・・・須賀京太郎様。もう夜ですので、あまり大声を出されると」シュッ 京太郎「あ、スンマセン・・・ハギヨシさん、でしたっけ。天江は・・・」 ハギヨシ「もうお休みになられています。須賀様ももう休まれた方がよろしいかと」 京太郎「だよな・・・ホントスンマセンでした」 ハギヨシ「いえ、では私はこれで」シュッ 京太郎「・・・よし、寝るかっ!」 京太郎(まずは、体力の回復。んでもって力付けて・・・アイツに、借りを返す!) 京太郎「待ってろよ、天江衣・・・!」 『フッ、そうか・・・ギリギリで踏みとどまったか』 ハギヨシ「はい。まだ衣様と麻雀したそうにしておりました」 『ようやく、遊び相手くらいにはなってくれるかな?』クスッ ハギヨシ「衣様、もしや」 『ああ。本当に歯牙に賭ける程の奴でもなければ、衣はあそこまで壊したりしないよ』 ハギヨシ「・・・悪い癖ですよ」 『自覚はあるよ。だが、そのおかげでようやくあの下臈・・・いや、やっと凡夫か。楽しめそうになってきたじゃないか』 ハギヨシ「衣様のお気に召す事を期待しております」 『男児三日会わざれば刮目して見よと言うしな。・・・衣もそうであってほしいと願う。さて、衣はもう寝る。切るぞ~』 ハギヨシ「はい、お休みなさいませ。衣様」 『うん、お休みハギヨシ』 翌日 龍門渕邸・別館 玄関 バンッ 透華「おはようございますわっ!」 京太郎「おう、おはよう!」 一「・・・?」 京太郎「なんだよ、俺の顔になんかついてるか?」 一「衣とやらなかったの?」 京太郎「やったよ。負けも負け、ー126500点の大負けだ!」 一(衣とやって、大負けして・・・まだ麻雀ができるだって?) 透華「あらあら、よくそこまでボコボコにされて麻雀が出来ますわね!」 京太郎「あったりめぇだろ、麻雀は楽しいんだからよ!」 京太郎「んでもってもう一つ目標が出来た。・・・俺は、天江衣に借りを返す!」ギラッ 京太郎「だからよ、龍門渕透華。アンタに頼む。もう少し・・・アイツに借りを返すまで。俺をここに泊めてくれないか!」 透華「クックククク・・・オーッホッホッホッ!その不遜!その傲慢!気に入りましたわ」 透華「やはりあなたはわたくしが見込んだ通りの人物ですわ!好きなだけ泊まっていきなさいな!」 京太郎「そりゃ何よりだ!そんじゃ、改めてよろしく頼むぜ・・・龍門渕の女王様!」スッ 透華「ええ、こちらこそよろしくお願いしますわ。須賀京太郎!」ガシッ 一「・・・」ムスーッ 透華「一?気分でも悪いのですか?」 一「ま、気分は悪いかな。・・・とーか、僕はちょっと野暮用があるから離れてるね」 透華「・・・?分かりましたわ。それでは、須賀京太郎。行きましょうか!」 京太郎「おうよ!」 男子麻雀部部室 バァンッ!! 男子部員「「「「「「「!?」」」」」」」 透華「道場破りでしてよっ!丁重におもてなしして差し上げなさい!」 京太郎「よろしくお願いしますっ!」 男子部員1「龍門渕さん!?」 透華「オーッホッホッホッ!この龍門渕に単騎で挑んできた愚か者に、洗礼をくれてやるのですわ!」 男子部員2「道場破りって・・・そこの清澄の奴がですか?」 透華「そうですわ!」 男子部員3「あの、勘弁してもらえませんか。俺らも暇じゃないんですよ」 透華「・・・は?」ピキッ 部長「そうです。男子の方もそろそろ大会が近いんです」 部長「清澄には悪いけど、弱小の、それも部員一人のところとやって得るものがあるとは思えません」 透華「・・・」ピキピキッ 京太郎「いや、ちょっ」 副部長「君。こんな無謀な事は止めた方がいい。実力の差は君自身が一番よく分かっているはずだ」 京太郎「はぁ!?」ビキッ 副部長「実力が開き過ぎている者同士がやったって、得るものは何もないよ」 透華「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー見損ないましたわっ!」 京太郎「あぁ全くだ!天下の龍門渕男子がこの程度とはな!」 部長「・・・何が言いたい」イラッ 京太郎「調子くれてんじゃねえって言ってんだよ、名門校さんよ!」 透華「争いに意味を求めるなど・・・愚かにも程がありますわ!」 京太郎「やりたいからやる!売られた喧嘩は買う!」 京太郎「それ以上何かいるのかよ、なぁオイ!」 副部長「・・・帰ってくれ、不愉快だ」 透華「挑戦者を無傷で返す王者がどこに居ますかっっ!!!!!!!!」 部長「龍門渕さん、ですから」 透華「あなた方は強者で、ここに挑む者が居る!それ以外に戦う理由が必要でして!?」 部長「・・・・・・」 透華「あぁもう!埒が開きませんわ!・・・部長と副部長、卓に着きなさい!」 部長「・・・本気ですか?」 副部長「なぜこんなことを・・・」 透華「京太郎!わたくしの隣に座りなさい!」 京太郎「オッケー、任せとけ女王様!」ドスッ 透華「2対2ですわ。二人の点数の合計で勝負をつけましょう」 部長「ですが、それをやるメリットが」 透華「わたくしが負けたら、麻雀部に関する権限を全て譲渡いたしますわ」 透華「・・・これでよろしいかしら、理由がなければ戦えない現実主義者さん?」フッ 副部長「・・・舐めやがって!」ピキッ 部長「・・・この勝負、受けるぞ」 副部長「ええ!ここまで言われちゃ黙ってられませんよ!」 部長(点数の合計なら、間違いなくこちらに分がある) 副部長(あの清澄を集中的に狙えば良いだけだ!) 京太郎「ヘっ、やっとやる気になってくれたか!こっちはとっくの昔に暖まってんだよ!」ギュッ 副部長「・・・潰す!」 京太郎「やれるもんならやってみやがれってんだ!」 透華「それじゃ、始めますわよ!」 コロコロコロ・・・ 透華「オーッホッホッホッ!親番、頂きましたわ!」 東一局 透華「まずは、これですわね!」 ピシッ 京太郎「それじゃ、俺はこれだ!」 ピシッ 副部長「・・・」 ピシッ 部長(アイツさえ潰せば・・・!) ピシッ ・ ・ ・ 部長「そこ、ロンだ!」 パタタタタ・・・ 部長(やはり、大した事は) 京太郎「クッソ・・・さぁ、次の局だ!」 透華「ちょっと!わたくしの親番を勝手に流さないで貰えませんこと!?」 京太郎「振り込んだものは振り込んだんだ、しょうがねーだろ!」 透華「キーッ、何ですのその横暴さは!」 京太郎「まぁ、見てろって。・・・負けねえからさ!」 東二局 ・ ・ ・ 京太郎「・・・よっし、これだ!」ピッ バンッッ! 京太郎「ツモ!3200オール!」 部長(おいおい、お前は和了っちゃダメだろ) 副部長(やはり素人・・・龍門渕さんはどうしてこんな奴に?) 透華「ふっ、見事ですわね」 京太郎「だから言ったろ、負けねぇって」 透華「・・・勝負の相手には私も含まれているのですよね?」 京太郎「ったりめーだろ。俺は麻雀しに来たんだ」 京太郎「ーーーーーーーーーーここに居る全員ブッ倒して、俺が勝つ!」 透華「その心意気、上等でしてよ!私もまったく同感ですわ!」 部長「り、龍門渕さん!?これはコンビ麻雀ですよ!?」 透華「だからどうしたというのです?」 副部長「なっ・・・」 透華「コンビかどうかなど関係ありませんわ!」 京太郎「この卓に居る奴で誰が一番強いのか・・・それを決める為に打ってるんだろうが!」 透華「目立つためには!」 京太郎「強くなるためには!」 透華・京太郎「「俺(わたくし)がトップになる以外ねーだろ(ですわっ)!」」 副部長「馬鹿だ・・・どうしようもない、大バカだ」 部長「ああ。だが、何故か羨ましい・・・」 副部長「部長!?」 部長「俺達に、あの真似が出来るか?・・・俺達は今、あんなに楽しそうに麻雀を打ってるか?」 副部長「ですが、これはコンビ戦で」 部長「悪いな、副部長。・・・俺もあんなふうに麻雀を、やってみたくなった」メラッ 副部長「・・・」 部長「清澄の。さっきは侮って悪かったよ。・・・全力で叩き潰させてもらおう!」 京太郎「やっと火が付きやがったか!そうこなくっちゃなぁ、龍門渕!」 副部長「・・・クソッ、俺ばっかりのけものにすんなってんだよおおおおおおおおおお!」メラッ 透華「ふっ、今さら燃え始めてトップまでいけるのかしら、さらさら疑問ですわ!」 「ロンだ!」 「ロンでしてよ!」 「悪いな清澄、ツモだ!」 「龍門渕さん、甘いっ!」 「っっっしゃぁ!ツモ!」 「全員私より目立つんじゃありませんわー!」 南三局 透華「ゼーッ、ゼーッ・・・」 京太郎「ハーッ、ハーッ・・・」 副部長「まさか、こんな・・・」 部長「フハハハハ!俺とお前が、南三局で3位4位に甘んじることになるとはな!」 透華「京太郎!わたくしの一位は譲りませんわ!」 京太郎「譲ってもらう気なんざさらさらねぇよ!・・・真っ向から挑んで、奪い取ってやる!」 透華(なぜかしら、この男と麻雀をやっていると心が躍りますわ) 透華(純粋に、どこまでも純粋に勝利を追い求める。・・・前しか向かない獣のように) 透華(そんな相手が今、わたくしの前に立ちはだかろうとしている・・・なんて、幸せな事でしょう!) 京太郎(龍門渕の女王様か・・・いいな、コイツ) 京太郎(誇りと美しさを兼ね備えた上で最上の勝利を目指す、か・・・気に入ったよ) 京太郎(だからこの手でアンタを叩き潰して、俺がトップになる!) 透華「まるで・・・夢の中で打ってるようですわ!」 京太郎「ああ、終わってほしくねぇな、この時間!」 部長「勝手に俺達をフェードアウトさせるなよ、清澄!」 副部長「そうだ!まだ役満がある!」 京太郎「上等だ・・・いっくぜえええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!」 透華「わたくしがトップですわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 部長「これならっ!」 バシィィィィィィンッ! 京太郎・透華「「ロンっ!!」」 京太郎「リーチタンヤオドラ2ーー満貫だ!」 透華「一盃口、清一色ーーハネ満ですわ!」 副部長「ダブロン!?マジかよ・・・!」 部長「クッソ・・・まだだ、まだ終わらせない!」 少し離れたところ 一「ね、衣」 衣「なんだ?」 一「あの清澄と麻雀したんでしょ?」 衣「ああ。これ以上ないくらいには壊したつもりだ」 一「じゃあ、アイツなんで今打てるのさ?」 衣「それは衣にも分からない。ただ・・・」 衣「彼奴、少しはマシな匂いになった」ニヤッ 衣(次は"麻雀"が出来る事を期待しているよ、凡夫) 一「ていうか、アイツあんなに強かったっけ?」 衣「いーや。彼奴は凡夫だ。ただ・・・」 一「ただ?」 衣「透華との生まれついての相性が良すぎる」 衣「お互いに争い、貪り合う事でアイツは透華のツキを引き出し、透華はアイツのツキを引き出している状態」 一「それって・・・」 衣「切磋琢磨とも言うな。最早伴侶に等しいとさえ言える」 衣(あの凡夫・・・さて、これでどこまで伸びるか) 一(僕としては、その結論には至って欲しくなかったな。・・・・・とーか、僕は) 一(僕は、透華を・・・) 透華「オーッホッホッホッ!」 京太郎「これでぇっ、トドメだあああああああああああああああああっ!」 翌日 龍門渕邸・別館 1階ホール 京太郎「さて、飯も食ったし・・・そろそろだな!」 京太郎(女王様ともやりてぇが、まずはアイツに借りを返さねえとな) 京太郎(アポを取るには・・・ハギヨシさんを呼べばいいのか?) 一「・・・待った」 京太郎「ん?あぁ、お前か」 一「国広一だってば。・・・衣のところに行く気?」 京太郎「おうよ、借りはキッチリ返す主義でね」 一「・・・じゃ、これあげるよ。さっき注いできた」 京太郎「これは・・・アイスティーか。サンキュ」ゴックゴック 京太郎「って、ぁ・・・?」フラッ ドサッ 一「ここまでアッサリ引っかかるなんて・・・・・・バッカだなぁ」 龍門渕邸・別館 地下 京太郎「くぅ・・・ここは?」 ジャラッ 京太郎(手錠!?) 一「あ、起きた?・・・その手錠、いいでしょ。僕とおそろいだよ」 京太郎「・・・まさか」 一「うん、古典的にアイスティーに睡眠薬混ぜてみたんだ♪たまげたでしょ」 京太郎「へっ・・・ペアルックの上に部屋に連れ込みかよ、応援にしては随分と気合入ってんな」 一「知らなかった?ボク、君が大嫌いなんだよ?・・・この場で殺したいくらい」 京太郎「やれるもんならやってみやがれってんだ!」 一「・・・あー、イライラする。立場をわきまえない奴って陰で嫌われるもんだよ?」 京太郎「誰に好かれるとか嫌われるとか、一々気にして生きてんのか。ご苦労なこった」 一「そうしないと生きていけないんだって。・・・君みたいになっちゃうから」 京太郎「で、応援メッセージはそれで全部か?」 一「うぅん、まだまだーーとりあえず、僕と麻雀してくれない?」 京太郎「なんだ、そういう事か・・・だったら最初から」 一「違う!」 京太郎「!?」 一「ボクはお前みたいに単純な動機で麻雀をやってるんじゃない!ーー大切な人の隣を、守りきるためだ!」 一「だから!ボクは・・・お前を排除する!」 京太郎「そうかい、そりゃ重畳!丁度こちとら貴重な時間浪費させられてむかっ腹立ってたところだよ!さぁ、さっさとやろうぜ!」 一「・・・懸けろ」 京太郎「何を!」 一「透華の隣と・・・お前の、尊厳をだ!」 京太郎「上等!正面から抉り切ってやる!」 一(潰す・・・!) 一「・・・二人しかいないし、東場のみでいいよね?」 京太郎「おうとも!」 一「じゃ、サイコロ回すよ・・・!」 コロコロコロ・・・ 一(透華・・・ボクに、力を貸して!) 京太郎「・・・親は俺だな!」 東一局 京太郎「さーって、と」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「国広、一だっけか。アンタは普通に良い人なんだと思ってたが・・・」 バシッ 一「"普段は"良い人だよ。・・・でも、賊に払う礼儀はない」 バシッ 京太郎「だろうな。・・・そんなに大事か、あの女王様が」 バシッ 一「透華になら、ボクの全てを懸けていい。いつだってそう思ってる」 バシッ 京太郎「ああそうかよ!なら・・・・・・リーチだ!」 バシンッ 一(早っ・・・それに、読めない!?) 一「くっ・・・」 ピシッ 京太郎「へっ、混乱してるな?」 バシッ 一「・・・」 ピシッ 京太郎「そこ、いっただきぃ!ロンだ!」 バンッ 京太郎「ーーリーチ、一気通貫!7700点だ!」 一「ぅ・・・」 京太郎「さ、連荘と行くか!」 東一局一本場 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「へっ・・・」 バシッ 一「・・・気持ち悪いな、急に笑わないでよ」 バシッ 京太郎「楽しいなぁ、全力でやるのは!」 バシッ 一「ボクは楽しくなんかない」 バシッ 京太郎「そりゃ、お前が本気じゃないからだよ」 バシッ 一「ボクはいつだって本気だ!」 バシッ 京太郎「どうだかな、今のお前は全然攻めてこないじゃないか」 一「・・・っ」 バシッ 京太郎「だんまりか。まぁいいけどよっ・・・っと。リーチ!」 バシンッ 一(どうする、アイツの攻め方が・・・分からない) 一(読み切れない・・・とりあえず、これで) 京太郎「・・・もし、これが倍満のアタリだったら」ボソッ 一「っ!」ゾクッ 京太郎「その時点でお前はトビだ」 一「・・・心理戦を仕掛けてるつもり?悪いけど」 京太郎「俺は嘘が苦手でね・・・馬鹿だからよ。まぁ、アレだ。その一手はよーく考えて打てよ?」 一「・・・」 一(ハッタリだ!ここで大きな当たりなんてそうそう出る訳がない!) 一(でも、何だろう・・・この牌を捨てると、胸の奥から何かが抜け出ていくような) 一(透華が離れて行っちゃうような・・・) 一(・・・怖い) 一(透華が離れていくのが、一人になるのが怖い・・・!)ブルブル 一(この牌を捨てなきゃ・・・!) 一「くっ・・!」プルプル 京太郎「・・・どうした?」 一(ダメだ、あいつの倍満がチラつく・・・負けの情景が鮮明に見える) 一(・・・打てない。ボクには打てないよ、とーか・・・) 一(今ならまだ、謝れば許して・・・) 京太郎「・・・言っとくが、謝っても許さねえぞ?」 一「っ!」 京太郎「本気の麻雀だろ?だったら、途中で降りるなんざ認めねぇよ。喧嘩と一緒さ」 京太郎「お前が売った、俺が買った!だからお前を叩き潰す!徹底的にだ!」 一「・・・・・・」 一(コイツ、本気だ・・・本気で、ボクを潰す気だ!) 京太郎「そうだな、この麻雀に勝ったら・・・女王様に進言して龍門渕の生徒にしてもらうかな」 一「なっ!」 京太郎「そんでもって部長まで登りつめて、最後にはあの女王様とタッグ麻雀で頂点取ってみるか・・・」 京太郎「あの人、俺との相性は良いみたいだからな」 一「お前・・・!」 京太郎「それが終わったら女王様はポイーだ。天江を倒しにいく。・・・言うなりゃあの人は通過点だな」 一「透華は通過点なんかじゃない!取り消せ!今すぐだ!」 京太郎「断る!・・・取り消してもらいたけりゃ、麻雀で俺を倒してみろよ!」 一「・・・!」 一(透華・・・ボクは、ボクは・・・!) 京太郎「ビビってんじゃねえぞ、国広一!」 一「お前にだけは、負けられないんだあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 京太郎「ヘッ、やっとお目覚めかよ」ゾクッ 一(透華、ボクは君のために戦う!ーーもう、迷わない!) バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「ーーロン。三色同順ドラ2、一本場で・・・8300、満貫」 京太郎「クッ・・・」 一「これでさっきの和了分は取り返させてもらったよ。さぁ、次はキミが追いつめられる番だ」 京太郎(気のせいか、アイツの声が急に冷え切ったようになったような・・・) 一(何だろう、さっきまであんなに恐ろしかったアイツが、今はただの置物にしか見えない) 一(河の流れが、見える・・・絶対に荒れることのない、ただ静かな流れが) 一(これってまるで・・・・・・そっか。ありがとう、透華) 一(透華の為に・・・この戦い、絶対に勝つから!) 東二局 一「・・・」 バシッ 京太郎(手が悪いな・・・) 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・リーチ」 バシッ 京太郎「仕掛けてきたか!・・・っ」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(なんだ、来る牌が全部かみ合わない!?) 京太郎「・・・っ」 パシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(よし、やっとまともに手が進むーー) バシッ 一「・・・ロン」 京太郎「クッ・・・!」 パタタタタ・・・ 一「リーチ、タンヤオ一盃口。7700」 京太郎「クソッ・・・」 東二局一本場 一「・・・」 バシッ 京太郎(また、随分と悪い初手だなオイ!) 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(何だ、何かおかしい・・・) 京太郎「・・・」 バシッ 一「ポン!」 バシッ 京太郎(げ、役牌か・・・それにしても) 京太郎(自由に動けねぇな・・・河に引きずりこまれたみたいだ) 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎「なぁ」 一「・・・何?」 京太郎「"コレ"は・・・アンタがやってるのか?」 一「だったらどうする?」 京太郎「・・・正面からブチ抜く!」 バシッ 一「ーーロンだよ」 パタタタタ・・・ 一「役牌のみ。1本場で1800だね」 京太郎「随分とセコイ和了するじゃねぇか」 一「何とでも言えばいい。僕はもう迷わない・・・!」 京太郎「あぁそうかよっ!」 東二局二本場 一「・・・」 バシッ 京太郎(あの時のタコスみたいに安手狙いか・・・?) バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(いや、それにしては打ち筋が妙だ。まるでーー) 京太郎(今までの和了が全部フェイクみたいな・・・) バシッ 一「もう、キミは和了らせない」 バシッ 京太郎「お前が決めることじゃねぇな!」 バシッ 一「・・・リーチ」 バシンッ 京太郎「来やがったか・・・」 京太郎(今のアイツはヤバい。何としても避けなけりゃな・・・) バシッ 一「もう、誰にも・・・この流れは乱させない」 バシッ 京太郎「・・・」 バシッ 一「そして尚且つ・・・大手で和了って見せる」 バシッ 京太郎「お前も随分言うじゃねえか!」 バシッ 一「キミのはハッタリだけど、ボクのはハッタリじゃない。やると決めたんだ、絶対にやる」 バシッ 京太郎「・・・っ」 バシッ 一「絶対に・・・!」 バシッ 京太郎(それにしても・・・来ねえなあ畜生!) 京太郎「・・・」 バシッ 一「ロンだ!」 バンッ 京太郎「何っ!?」 一「ーーリーチタンヤオ一盃口、ドラ1二本場・・・満貫12600!」 京太郎「クッソ・・・!」 一「ハ、ハハッ・・・」 一(凄いや、負ける気がしない!透華、これが・・・これが治水なんだね!) 一「っと、いけないいけない・・・」 一(油断するな、国広一・・・お前は透華の隣に立つんだろ!)パシッ 一(油断は死を招く。いつだって本気で) 一(だから、今は・・・) 一(今は・・・目の前のこの男を倒すことだけをーー!) 京太郎「・・・・・・せ・・・・・・・せ」ブツブツ 一「・・・次の牌準備するけど、いいかな?」 京太郎「・・・ああ」 東二局三本場 一「・・・」 一(大丈夫、河の流れは見えてる) バシッ 京太郎「・・・・・・・せ、・・・・・・・せ」ブツブツ パシッ 一(相手は心ここにあらずって感じだけど・・・油断はできない) バシッ 京太郎「思い出せ・・・思い出せ・・・」ブツブツ 京太郎(俺はどこかで知ってる、こんな状況を・・・) バシッ 一「・・・」 一(熱くなってるのかな・・・?だとしたら、チャンスだ!) バシッ 京太郎(初手は最悪、引く牌も良いとは言えず、相手は絶好調の連荘中) 京太郎「あの時も、こんな感じだったな・・・」 パシッ 一「・・・何を言ってるのか分からないけど、キミの相手はボクだよ?」 バシッ 京太郎(凄まじい相手のプレッシャー、武者震い半分、怯え半分の俺・・・) 京太郎「ハハッ・・・雀荘の時も、そうだったな」 バシッ 一「・・・リーチだ!」 バシッ 京太郎(この沈んでいく感覚。これはまるで・・・) 京太郎「・・・そうか。俺、何だかんだ言って・・・アレも楽しんでたのか」 バシッ 一「・・・これが終わったら、腕利きの頭の医者呼んであげるよ!」 バシッ 京太郎(そして・・・全身からひしひしと伝わってくる力量の差。俺は、これも知ってる) 京太郎(俺に麻雀の楽しさを教えてくれた人) 京太郎(俺の、大切な人) 京太郎(ーーーー咲) 『ーーーー麻雀、好き?』 京太郎「・・・そうか」 京太郎「勝ちも負けも全部、全部の上に・・・俺が居るんだ」 京太郎「だから、俺は・・・・・・・・・・・もっと上に!」 京太郎「俺は強くなる!全部飲み込んで、全部貪って・・・アイツを倒して!!俺が頂点に立ってみせる!!!」 バシッ 一「どのみち、キミは和了れない!」 バシッ 京太郎「もっと、もっとだ・・・!」 バシンッ 一「・・・っ」 一(いや、そんな筈はない。河の流れは、透華の治水は、絶対だ・・・) バシッ 京太郎(俺は・・・俺はまだ戦える!戦いたい!だから!) 京太郎「こいつが、こいつだけが!俺の魂だあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」 京太郎「手前如きに、抉り切れるかああああああああああああああああああああああああああああ!」 ピッ・・・・・・ バシンッ!!!!! 一「・・・・・・」 京太郎「ツモ!ーーーーーーーー国士無双!ーー親16800、子8300!」 一「・・・やるじゃん」 京太郎「人の心配より、自分の心配をしたらどうだ?」 一(何でだろ、コイツと打ってると) 京太郎「俺はこのまま、お前を潰す気でいるぜ・・・!」ゴウッ 一(楽しいっ!) 一「そりゃ、ボクも負けてられないなぁ・・・!」ゴウッ 東三局 京太郎「・・・」 バシッ 一「・・・」 バシッ 京太郎(おそらく、この勝負) バシッ 一(この局で決まる・・・そんな気がする) バシッ 京太郎「・・・リーチだ!」 バシシッ! 京太郎「ボクもリーチ!」 バシンッ! 京太郎「・・・国広一。アンタはただの良い人だと思ってたが、実際は選民思想と独占欲の塊みたいな人間だった」 バシッ 一「須賀京太郎。キミはどこまでも立場をわきまえない、あの透華の前でさえ・・・無礼極まりない人間だった」 バシッ 京太郎「口を開けば二言目にはとーか、とーかか。従順なこった、あの女王様が幸せなら自分の事はどうでもいいんだろうな」 バシッ 一「キミは他人をないがしろにし過ぎだね。強さだけを求めて、キミを支えてくれる人達の事は眼中にないんだろうね」 バシッ 京太郎「だが・・・嫌いじゃない」 バシッ 一「・・・同感だよ。キミのその純粋過ぎる生き方は、ボクにとっては羨ましくさえある」 バシッ 京太郎「だが!譲れないもんがある!倒したい奴が居る!」 バシッ 一「でも!守りたい場所がある!傍に居たい人が居る!」 バシッ 京太郎・一「「そのためには!」」 京太郎・一「「戦わなくちゃならない時がある!」」 京太郎「・・・気に入った、恨みっこなしだぜ」 一「上等、そっちこそ吠え面かかないでよ」 京太郎「ーーーーーーーー来いっ!」 ピッ 京太郎「・・・チッ」 バシッ 一「ボクの番だね・・・」 一(お願い、透華・・・・・・ボクに力を!) ピッ 一「ーーーーーーーーーっ」 一「くっ!」 一(違う、これじゃない!) 一(・・・!?)ゾクッ 京太郎「・・・・・・」ニヤッ 一(あの反応は・・・) 一「・・・そっか」 一(これは、キミのーー) パタッ・・・・・・・ 京太郎「ーーーーーーーーーーロンだっ!!!!!!」 バンッ! 京太郎「リーチジュンチャン三色同順一盃口ドラ1、裏がーーーー乗って、倍満!24000でお前のトビだ!」 一「・・・」 京太郎「・・・っぷはー」 京太郎(今回は、ホントにギリギリだったな・・・) 一「・・・」 京太郎「俺の、勝ちだ」 一「・・・分かってるよ」 京太郎「なら、この卓に繋がれた手を外してほしんだが」 一「・・・はい」ガチャリ 京太郎「んじゃ、俺は上に上がりたいんだが・・・階段はどっちだ?」 一「・・・・・・あっちのドア開けたとこ」 京太郎「そうかい、それじゃーな」ギィィ 一「・・・・・・ぅ」 一(ごめん、とーか・・・・・・ごめん) 一「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」ポロポロ 一(ボク、負けちゃったよ・・・) 『あー、そうだ!言い忘れてたわ!』 一「なっ、何だよ!まだ廊下に居たのか!?早くっ、いけよ!」グシグシ 『お前との麻雀、楽しかったよ』 一「ーーーーっ」 『また、やろうぜ』 一「やるに・・・決まってるだろ!首洗って待ってろよ!」 『ヘッ・・・それじゃーな、一』 一(そうだ、ボクはもう迷わない!立ち止まったりしない!) 一(誰が何と言ったって、ボクが透華の隣で支え続けてみせる!) 龍門渕邸・別館 3F北側の部屋前 京太郎「うへー、もう夕方かよ」 京太郎「だが、まだ時間はある・・・当初の目的通り、今日お前に借りを返しとかねぇとな」 京太郎「なぁ、聞いてるんだろ・・・天江衣!」 『・・・手負いで衣と雌雄を決そうなどと、片腹大激痛!』 京太郎「手負いじゃねぇ、修行してきたのさ!」 ガチャッ! 衣「フッ、ならば見せてみろ凡夫!貴様が掴んだものを!」 京太郎「言われなくても、見せつけてやるよ!俺の・・・魂を!」 衣「衣の勝ちだな、凡夫」 京太郎「・・・・・・・畜生!」ゴロン 衣「終わってみればマイナスにこそなっていないものの、まだまだ衣には程遠かったか」 京太郎「・・・しょうがねぇ、認めるよ。俺の負けだ」 衣「ああ、お前の負けだ。・・・だが、衣は楽しかったぞ。どんなに突き離されても喰らいつこうとする執念、それを可能にする気力と実力」 京太郎「えらく持ちあげるじゃねえか、憐憫か?」 衣「今回は"麻雀"が出来たからな。衣は、楽しかった・・・それだけだ」 京太郎「・・・そうかよ。俺も楽しかった・・・やっぱ全力でやり合うってのはいいな!」 衣「ま、力が違い過ぎるのはちょっともの足りないがな」クスッ 京太郎「この野郎・・・」 衣「・・・そうだ、名前を聞いてなかったな」 京太郎「あぁ、俺も丁度言っておこうと思ったところだよーー須賀、京太郎だ」 衣「須賀京太郎・・・うん、しかと刻んだぞ」 京太郎「こっちはとっくにお前の名前を刻んでるんだよ・・・」 衣「・・・なぁ、京太郎」 京太郎「なんだよ?」 衣「また、衣と麻雀してくれるか?」 京太郎「もちろん、お呼びとあらば365日24時間寝首を掻きにいってやるよ。首洗って待ってやがれ」 衣「・・・そうか、安心したよ。明日も付き合って貰いたいな」クスッ 京太郎「そりゃ重畳・・・と、もう夜か。さーて、明日は女王様に謁見でも」 ピリリリリリッ ピッ 京太郎「はい?」 『京ちゃん?まだ家に帰ってないの?』 京太郎「ああ、だって今日も泊まるし」 『・・・京ちゃん』 京太郎「何だ?」 『明日、平日だよ?』 京太郎「・・・え?」 『連休は今日で終わり。明日から普通に学校だよ?』 京太郎「あー、うん、分かった」 ピッ 京太郎「・・・なぁ、天江」 衣「?」 京太郎「明日って休みじゃないのか?」 衣「明日は学園の創立記念日だぞ?休みに決まっている」 京太郎「・・・・・・・」タラー 衣「ん?そうか、京太郎は清澄に居るんだったな」 京太郎「帰らねえと!」 衣「・・・随分せわしないな。一日位休んでもいいじゃないか」 京太郎「そうじゃねえんだ!咲と約束してるんだよ!連休終わったら一番に麻雀するって!」 衣「約束、か・・・」 京太郎「ああでもやべぇよもう夜遅すぎんよ・・・これバスあるかな」 衣「ハギヨシ!」パチン ハギヨシ「ここに」シュッ 衣「この愚か者を送ってやれ」 ハギヨシ「かしこまりました」 京太郎「・・・いいのか!?」 衣「かまわんよ。今見逃して、明日お前が死ぬわけでもないしな」 衣「だが、一つだけ約束しろ」 京太郎「・・・」 衣「次にこの龍門渕に来た時は、必ず衣とも打つと。どれだけ時間がなかろうと、だ」 京太郎「・・・あいよ」 衣「ハギヨシ!」 ハギヨシ「須賀京太郎様、行きましょう」 衣「京太郎!衣は、衣は待っているからな!・・・・・いつまでも、この海底で!」 京太郎「ああ・・・絶対、お前を倒しに行ってやる!だから、待ってろよな・・・天江衣!」ダダダダダ 衣「・・・須賀、京太郎か」クスッ ハギヨシの車の中 ハギヨシ「どこか、行っておくところはありますか?」 京太郎「あ、そうだ!あの女王様・・・じゃなくて龍門渕透華のところに行ってくれ!」 ハギヨシ「かしこまりました」 京太郎(咲・・・待ってろよ) 龍門渕邸 透華・一「「帰るぅ!?」」 京太郎「俺の連休は今日で終わりらしいからな・・・悪い、アンタとの決着はまた今度だ」 透華「キィーッ、納得いきません!いきませんが・・・約束があるなら仕方ありませんね」 一「どうしてもっていうならボク色々出来るけど・・・」ジャキン 京太郎「とりあえずその危なっかしいものをしまってくれ」 透華「・・・では、またしばらくお別れですわね」 京太郎「だな・・・」 透華「・・・・・・」ジーッ 京太郎「・・・・・・」ジーッ 一「帰るんならさっさと帰れーーーーーーーーーー!」フシャー 京太郎「っとと、すまねぇ。・・・それじゃそろそろ行くか」 透華「ええ、お気を付けて。思えばショフトクリームの時からの縁でしたわね・・・」 京太郎「・・・ん?」 一「どしたの?」 京太郎「そうだ、ショフトも買わないといけないんだった!ってもう学食開いてねー!?」 京太郎「やべぇよ・・・やべぇよ・・・」 透華「・・・ハァ。落ち着きなさい!」ピッポッパ プルルルル・・・ 『はいー?』ムニャムニャ 透華「私ですわ、今すぐ学食を開けなさい!」 『とっ、ととととと透華さま!?了解いたしました!』 ピッ 透華「これで大丈夫ですわ、さっさと買って帰りなさい」 一「わーお、透華ってば横暴ー」 京太郎「・・・悪いな、恩に着る」 透華「こんな目立てるチャンスはありませんから、行動したまでのことですわ」 一「・・・京太郎。早めにまた来てね?ボクの復讐心を満たすために」 京太郎「お前の挑戦なら大歓迎だ、また熱い麻雀やろうぜ!」 京太郎「それじゃ、女王様も・・・・・・また、いつかな」 透華「・・・・・・」 ハギヨシ「そろそろよろしいですか?」 京太郎「おう!」 ブロロロロロロロ・・・ 透華「・・・また、いつか」 一「・・・ねぇ透華、透華はアレの事どう思ってるの?」 透華「・・・?」 一「・・・」 透華「もう、一ったら・・・」クスッ 透華「・・・心配しなくても、私の付き人は一以外あり得ませんわ」ギュッ 一「ち、違うよ!嫉妬とかそういうのじゃなくて!」 透華「さ、帰りましょう・・・私達の家に」 一「う、うん!」 ハギヨシの車の中 京太郎「なんとか買えたが・・・クーラーボックスまでもらっちまって、店員さんには悪い事しちまったな」 京太郎「うわ、ちょっと溶けかけてきてる!ハギヨシさん、なるべく急いで」 ハギヨシ「既に全力で飛ばしています・・・心配なさらなくても、そろそろ着きますよ」 キキーッ 京太郎「うおっ・・・っと」 ハギヨシ「では、お気をつけて」 京太郎「ああ。ハギヨシさん、ありがとな!」 ブロロロロ・・・ 京太郎「さってと・・・」スウーッ 京太郎「咲ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」 咲「き、京ちゃん!?どうしたのこんな夜中に大声出して!」ゼイゼイ 京太郎「ほら、ショフト!」パカッ 咲「え、これが・・・?」ジトーッ 京太郎「まぁそういうなよ、土産話もいっぱいあるんだ!ショフトの秘密も教えてやるよ」 咲「・・・京ちゃん、頑張ったんだね」 京太郎「・・・何がだよ?」 咲「修行に行く前より、ずっと逞しくなってる・・・なんとなくだけど」 京太郎「そりゃ、お前を倒すために必死で修行してきたからな。もう癖も抜けてるぜ」 咲「ほうほう。今度こそ期待していいのかなー?」 京太郎「おう、任しとけ・・・とりあえず溶ける前にショフト食おう、味は保証するからよ」 咲「そうだね・・・はむっ」 咲「凄く・・・美味しい!でも・・・なんだかとっても普通だね、コレ」 京太郎「だろー?それが伝説になった理由が下らなくてさ・・・」 ・ ・ ・ 咲「あはははは!崩れたソフトでショフトって・・・なにそれ!」ゲラゲラ 京太郎「だろ?あんまり下らなくて、笑っちまうよな!」 咲「ひーっ、ひーっ・・・お腹痛い・・・」プルプル 京太郎「ハハハ・・・まったく下らねぇよな」 咲「ホントだよ、もう」プルプル 京太郎「・・・・・・」 咲「・・・・・・」 京太郎「咲。俺、今はまだお前には届かないかもしれないけど・・・」 咲「・・・うん」 京太郎「でも、俺はお前に勝ちたい」 咲「・・・うん」 京太郎「だからさ・・・・・・・・・これからもずっと、俺と麻雀してくれないか」 咲「えー・・・何それ京ちゃん、プロポーズー?ロマンチックさが足りない、33.4点かなー」クスクス 京太郎「なっ!評価低っ・・・ってちげーよ!別にそんなんじゃねーし!」 咲「でも、嬉しいよ。・・・とっても、嬉しい」 咲「うん。だから・・・これからも末永く京ちゃんをボコらせていただきます」ペコリ 京太郎「こんにゃろー・・・言ってろ、案外近日中に倒されるかもしれねーぞ?」 咲「そういうのは、取らぬ狸の皮算用って言うんですよー♪」 京太郎「・・・・・・なぁ、咲」 咲「・・・なに?京ちゃん」 京太郎「麻雀って、楽しいよな!」 カン
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/6469.html
?- 京太郎「ん、今日はあるんだな」 「そうだな」 京太郎「えっと、俺はどうすれば良いんだ?」 「自分で考えろ」パチンッ 京太郎「はやりさんのとこに行くか」 「お前もこりない奴だな」 京太郎「はやりさんは俺のためだって言ってたけど」 「あながち間違いではない」 京太郎「そっか」ギィッ 「自分のためでもあるだろうけれどな」 バタンッ 京太郎「ここも久しぶりだな」 はやり「京ちゃんッ♪」ダキッ 京太郎「びっくりしたぁ!」 はやり「今日はどうしての?」ニコニコ 京太郎「一世代前の大罪のことなんですけど」 はやり「……うん、良いよ」コクッ 京太郎「えっと」 はやり「次はなにを聞く、あとは嫉妬と怠惰だけど、別に他の人たちの詳しい話でも良いんだよ!」 京太郎(様子がおかしい?) 京太郎「嫉妬と怠惰って、俺が知ってる人ですか?」 はやり「嫉妬はね、前の暴食と色欲の慕ちゃんの友達の石飛閑無ちゃんって言って、まぁ可愛い子だったよ♪」 京太郎「女性ばっかですね」 はやり「そうだねー前回はね☆」 京太郎「で、怠惰なんですけど」 はやり「……どうしても、聞く?」 京太郎「へ?」 はやり「本当に聞いて、京ちゃんは平気?」 京太郎「それって……どういう?」 はやり「怠惰……聞きたい?」 京太郎「聞きたいです……」 はやり「そっか、怠惰……残る一人の一世代前の大罪は、三尋木咏……京ちゃんの師匠こと咏ちゃんだよ」 京太郎「……はい?」キョトン 京太郎「いやそれはないですよ、だって俺がはじめて喰った時だって知らないって」 はやり「知らないわけないよ、京ちゃんを騙してたんだよ……ずっと近くにいて、それでも京ちゃんに大罪のことを黙ってた」 京太郎「いや、だましてたなんて、そうだ自覚がなかったとか!」 はやり「私たちと一緒にいて知らないわけないし、昔は戦いあったし」 京太郎「いや、いやいやいや!」 はやり「まぁ信じるも信じないも自由だよ、結局は東京で会えるし、京ちゃんは電話もできるでしょ?」 京太郎「まるで本当みたいな言い方じゃないですか」 はやり「本当のことだよ、京ちゃんはずっと騙されてた」 京太郎「……」 はやり「また会おうね☆」ニコッ 7月27日 111日・昼前- 京太郎「今日も起きるの遅くなったけど……まぁ良いか」 京太郎「それにしても、なんでだろ」ハァ 京太郎「なに暗くなってんだ!昼だな、昼!」 京太郎「どっか食べに行くかぁ」ヨット 京太郎(誰か誘ってみるかな?) 京太郎「一人で行くか、うん!」 京太郎「どこ行くかなぁ」 京太郎「たまには、じゃないけどワスバーガー行くかなぁ」 ワスバーガー- 京太郎「何食べるかなぁ」 京太郎(咏さんとは東京でだったしなぁ) 京太郎(なんか、寂しい気もするなぁ……) 京太郎「はぁ……」 京太郎(一人で考えるには丁度良いのかぁ?) 京太郎「ふぅ、食べた食べた……」ケフッ 京太郎「どうするかなぁ」 京太郎「よし、咲にメールしてみるか」 京太郎「あれ、返ってこないな……?」 京太郎「俺ってほかに清澄の人メアド知らないからなぁ……って帰ってきた」 差出人:咲 本文『ごめんね、今日部活休みなんだ それに体調崩しちゃったから』 京太郎「なるほどなぁ、お大事になっと」 京太郎「どうするかなぁ」 京太郎(清澄の人たちに会うなら、Roof-Topに行けば良いんだな)ウン 京太郎(ちょっくらふらついてみるかぁ) 京太郎「ん、優希じゃんか」 優希「ん、京太郎じゃないか」モグモグ 京太郎「相変わらずタコス食ってるなぁ、最近はどうだ?」 優希「んむ、咲ちゃんが元気無いなぁ、のどちゃんが転校したからっていうのもあるだろうけど」モグモグ 京太郎「へぇ、そっかぁ、そう言えば今日清澄に行こうと思ったんだけど部活してないのか?」 優希「んぐっ、最近は学校じゃなぁ、部長はプロに行くって言っててさ、染谷先輩も家があるし……どっちかっていうとRoof-Topに集まることが多いしな」 京太郎「そうか、今度からそっちに行くとするかな」 優希「おう!」グッ 京太郎(咲のやつ……元気無いって、大丈夫か?) 夕方- 京太郎「さて、どうするかなぁ……もう夕方だしなぁ」 京太郎(池田もいないし、この時間から行くか……?) 京太郎「いや今日はやめとくか、行くならもっと早いうちだな」ウン 京太郎「なんか買いに行くかぁ」 京太郎「服でも買いに行くかぁ、東京にいっても大会出る時以外は私服なわけだしな!」グッ 京太郎(つか、俺も有名人みたいだしちょっとは気を使わなければ) 京太郎(店に来たは良いけれど) 京太郎「ん~どうするか~」 京太郎「あれ、竹井さん」 久「あら須賀君、服を買いに来たのよね、東京に備えて?」 京太郎「そんなとこです」ハハッ 久「へぇ、私が見繕ってあげましょうか?」 京太郎「え、良いんですか?」 久「良いわよぉ、男の子の服を見繕うなんてことめったにないしねぇ」 京太郎「……大丈夫ですよね?」 久「任せなさい♪」パチッ 京太郎「では、お願いします!」 京太郎「それじゃありがとうございました」 久「いえいえ、あぁでも今度なにかおごってもらおうかしら♪」 京太郎「撤回します、まぁ構いませんけど」 久「ふふっ、楽しみにしててねー!」 京太郎「はい、それじゃ」 久「うん、それじゃぁね!」フリフリ 京太郎「さて、帰るかな」 夜- 自宅- 京太郎「ふぅ、どうするかなぁ」 京太郎(これ、初心者かここまで来た人間にしかわかんないだろ、色々と)フンフム 京太郎「ちょっとは良くなったか?」 京太郎「んぁ、メールだ……」 京太郎「ん、誰からだ?」 京太郎「歩からか」 差出人:歩 本文『もうすぐで東京だけど、ちゃんと準備はしてる』 京太郎「母親かお前は」 本文『問題ないぞ、みんなの方はしっかりとしてるか?』 差出人:歩 本文『当然、うちには誰がいると思ってるの?』 京太郎「さすがハギヨシさん」 本文『なら安心だな、東京までもう少しだ、頑張ろうぜ』 差出人:歩 本文『うん、お互い頑張ろうね! おやすみ』 京太郎「まだ日にちはあるのになぁ、おやすみなっと」 京太郎「次は、咲か」 差出人:咲 本文『今日はごめんね』 京太郎「ん」 本文『気にするな、それよりも体調直しておけよ インハイ長野一位なんだから』 差出人:咲 本文『わかってるよ、心配しょうなんだから それじゃあまた東京でね おやすみ』 京太郎「ん」 本文『おう、体調早く治せよ おやすみ!』 京太郎「ふぅ、大丈夫かほんと」 京太郎「さて、寝るかなぁ……カピー?」 京太郎「……居ないかぁ」ハァッ 111日目終了- ?- 京太郎「はぁ……」 「三尋木咏のことか?」 京太郎「ん、まぁな……」 「騙されてたからな」ククッ 京太郎「そういうわけじゃ、ねぇだろうけど……」 京太郎「あの人に会いに行くか」 「まぁなにかあるならあいつが良いだろうな」 京太郎「一体何者なんだ?」 「お前の世界に干渉できるほどの奴ってことだけ」 京太郎「わからん」ギィッ 「身近なやつかもな?」 バタンッ ?「久しぶり」 京太郎「ん、久しぶり」 ?「ごめん」 京太郎「なにが?」 ?「いや、色々とね……とりあえずなにか聞きたいことがあって来たんでしょ?」 ?「暴食のこと、か……そうだな、どこから言おうか」 ?「早い話、池田を見ていればわかるが暴食を限界まで酷使するとああなりかねない」 ?「最強技の一つや二つは打っても問題はないだろうけれど、限界を超えた能力の酷使は気をつけろ」 ?「ある意味では、大罪の運命と言っても良いんだがな、最終決戦は出し惜しみなしで行けということだけ伝えておく」 ?「暴食は愛した力なんだから、信用しろ」 7月28日 112日目・朝- 京太郎「ん、どうするかなぁ……朝日がまぶしい」 京太郎「出かけるかなぁ」 京太郎(今日も睦月さんいないかー) 京太郎「とりあえずなんか勝って帰るか……お、ヤンガンだ」 昼前- 京太郎「さて、どうするかなぁ」 京太郎「透華たちのところに行くか……誰かに連絡入れてみよう」 衣『もしもし、どうした?』 京太郎「そっち行って平気かぁ?」 衣『大丈夫だぞ、お昼も今からだから早く来ーい』 京太郎「了解だ、すぐ行く!」 龍門渕家- 京太郎「お邪魔しまーす」 透華「あら京太郎、いらっしゃい」ニコッ 京太郎「お、おう」 衣「お前は次になんかテンション高いな、と言う!」 京太郎「なんかテンション高いな……ハッ!?」 純「実は今日、取材が来るんだよ」 京太郎「え、俺邪魔じゃね?」 一(むしろ向こうにとっては願ったりかなったりでしょ) 智紀「とりあえずお昼……」 京太郎「そういやそうだな」 ハギヨシ「お待たせしました」スッ ※お昼パートはスキップします 京太郎「さて、まだ取材が来るまで時間はあるんだろ?」 純「そうだぜ、な萩原さん?」 ハギヨシ「はい」 京太郎「なら……」 京太郎「そういや智紀、鶴賀のことだけどさ」 智紀「詳しく」 京太郎「おう、隣座るな」トサッ 智紀(近い……)カァッ 京太郎「で、みんなのぶんを話すか」 夕方- 京太郎「どうするか……」 京太郎「ハギヨシさん、付き合ってください」キリッ 一同「」ガタッ ハギヨシ「ふふっ、まさか京太郎君から誘ってくださるとは」 京太郎「まだ、俺は貴方のことを知らない……」 ハギヨシ「良いでしょう、やりましょうか……」 一同「」ガタタッ 京太郎「……麻雀卓のある部屋にいきましょうか」 ハギヨシ「えぇ、私も本気でお相手いたしましょう」 一同「」ガターンッ 京太郎(二人でやるか、四人でやるか……) 京太郎「いきましょう」 ハギヨシ「えぇ」 バタンッ 透華「……」 純「透華が冷えてる!」 衣「ふんっ!」ゴッ 透華「」ばたんきゅ~ 一「ふぅ」 智紀「偵察に行く」 純「オレも」 衣「私もだ」 一「ボクも」 ハギヨシ「では、はじめましょうか」 京太郎「二麻ですから、一対一の正々堂々とした勝負ですね」グッ ハギヨシ「えぇ、本気で行かせていただきます」ゴッ 京太郎(や、やれるか……オレ!) ハギヨシ「愉しくやりましょう」フッ 京太郎「ですね……でも、本気でやらせてもらいます!」ニッ ハギヨシ「はい、そうですね……本気でぶつかりあいましょう」ニッ 京太郎「行きますよ!」 P能力『色欲:発熱』自動発動 効果:相手全員の点を-5する EX能力『NEVER』自動発動 効果:自分へのマイナス効果を10軽減しプラス効果を10上昇させる ハギヨシ「えぇ、見せてください……“ここ”の貴方の実力を」 P能力『あくまで執事』発動 効果:相手の能力で点がマイナスされない 効果2:能力が発動する度に点数が+10される 京太郎(なんとか良さげだな!) ハギヨシ(ふむ、おもしろいことになってきましたね)フフッ 京太郎 226+74=300 ハギヨシ 226+22=248 京太郎、ハギヨシの順 京太郎「いきますよ!」スッ ハギヨシ「ほぉ、食した能力をコピーする……存分に使っていますね」フッ 京太郎(見える!) 能力『青眼の預言者発動』 ハギヨシ「では私も……」 能力『ファントムペイン』発動(残り0) 京太郎(来たかッ!) 京太郎(させない!)キュィンッ ハギヨシ「ッ!?」 ハギヨシ(正直、驚きましたよ)フッ 京太郎(斬り刻む!)ギンッ 能力『牌を殺すということ』 判定:特殊ステータス以下 須賀京太郎:魔眼『100』 判定:成功 京太郎(視える!) ハギヨシ(これは、いささかマズいですね) ◇効果処理開始 京太郎「これが……牌を殺すということだ!」ザンッ 能力『牌を殺すということ』 判定:クリティカルヒット 効果:チェーン上の相手の能力すべてを無効にする ハギヨシ「これは、さすがですね」フッ 能力『ファントムペイン』無効 京太郎「そして、見る!」 能力『青眼の預言者』 効果:点が+15され、その後一度の和了安価の数値が+10 ◇効果処理終了 京太郎「ロン、8000!」 ハギヨシ「満貫ですか、すでに見られていましたか」フッ 京太郎(まだ、油断できないな) 京太郎「さらに行きます!」ギンッ P能力『暴食(愛)』発動 効果:能力『魔物喰い』が失敗しない P能力『クリア・マインド』自動発動 効果:すべてのオカルト能力が相手のオカルト能力にチェーン発動可能になる ハギヨシ「えぇ、私の実力を超える力、見せていただきましょう」フッ P能力『あくまで執事』発動 効果:相手の能力で点がマイナスされない 効果2:能力が発動する度に点数が+10される 京太郎(これはっ) ハギヨシ(おや、良くありませんね)クッ 京太郎(ハギヨシさん、終わらせる!) 能力『卓の死点』を発動 ハギヨシ「その動きは光の速度とすら言われる素敵滅法の力、お見せしましょう」フッ 能力『素敵滅法』をチェーン発動(残り0回) 京太郎「トップ・クリア・マインドは光の速度すら超える!デルタ・アクセル!」ゴゥォッ! 能力『トップ・クリア・マインド』自動発動 効果:相手の能力の発動を無効にする ハギヨシ(これは、やられましたね、しかしまだ終わりませんよ!) 能力『星の白金』を発動(残り0回) 京太郎(ハギヨシさん、喰わせてもらいますよ!) 能力『魔物喰い』発動 ハギヨシ(私の“これ”を、喰うことができると?甘くみられたものです)フッ 能力『世界』発動 効果:相手の能力の発動を無効にする 京太郎(なっ、防がれた!?だけど!) 京太郎(考えろ、暴食が防がれた、ならどうする!) (まだお前には戦う術が山ほどあるだろう) 京太郎「そうだ、クリア・マインド!」ゴッ 京太郎(暴食の力……)ズズズッ ハギヨシ(これは!?) 京太郎「喰らえぇッ!」ゴォッ 能力『暴食:ベールゼブブ』発動 対象:ハギヨシ固定 ◇効果処理開始 京太郎(暴食の力!)ギンッ 能力『暴食:ベールゼブブ』 効果:対象の点を半分を奪う ハギヨシ(これは、さすがです……完全なる覚醒!しかし、星の白金!)ゴゥッ 能力『星の白金』発動 効果:相手の能力でマイナスされた分相手の点数もマイナスする 京太郎(ぐっ、なんだこの重さ……でも、これでどうだ!) 能力『卓の死点』発動 効果オカルト80以上の全員を点を-30する ◇効果処理終了 京太郎(ハギヨシさん、やっぱり強い!) ハギヨシ(やはり、京太郎君はすでに高くにいますか……終わりですね)フッ 『卓の死点』効果適用 ◇順位 トップ 京太郎 93+51=144 ラス ハギヨシ 53+50=103 京太郎「はぁっ……」 ハギヨシ「京太郎君、君の勝ちです」フッ 京太郎「ありがとう、ございました」ニッ ハギヨシ「いえ、やはり貴方はその運命にあるべき人物だったようです」 京太郎「どういう、ことですか?」 ハギヨシ「いえ……なんでもないです」 夕方2- 京太郎「あれ、そう言えば取材は?」 ハギヨシ「そろそろですよ」 リンゴーン 京太郎(すごい重い音するインターホンだな) ハギヨシ「では、私はお出迎えに行くので」シュバッ 京太郎「……さすがだなぁ」 応接室- 透華「あら、遅くってよ京太郎!」ビシィッ 京太郎「おう悪かったよ、ってその人」 順子「須賀君!」 京太郎「あ、どうもです」ペコッ 一「知り合い?」 京太郎「前に取材してくれた人」 順子「ありがとうね、売れたわよあの号」 京太郎「そりゃなによりです」ハハッ 順子「せっかくだし須賀君にも取材しようかしら、一通りは終わったから」 衣「衣も沢山答えたぞ!」エッヘン 京太郎「えっとぉ……」 京太郎「じゃあ、せっかくなので」 順子「ありがとう!」 京太郎(長くなりそうだなぁ) 夜- 京太郎「すっかり夜だなぁ」 純「泊まって行ってもいいんじゃねぇか?」 透華「それは良いですわね、泊まっていく?」 京太郎「あぁ、その手があったか……」フンフム 京太郎「せっかくだし泊めてもらうかな」 衣「わーい、京太郎がお泊り!」 智紀(よし、今回こそは……) 京太郎「とりあえず家に連絡するわ」 ハギヨシ「準備はおまかせください」 京太郎「ありがとうございます」 客間- 京太郎「相変わらずハギヨシさんの料理は美味しかったなぁ~」 京太郎(さて、誰かの部屋に行ってみるかなぁ) 京太郎「衣~」 衣「ん、京太郎!」ダキッ 京太郎「おう」 衣「どうしたんだ?」 京太郎「暇だったから話でもなと」スッ 衣「うむ、良いぞ!」トサッ 京太郎(膝に乗るのか) 京太郎「結局、どうだったんだ?」 衣「なにがだ?」 京太郎「能力、戻ったか?」 衣「戻りはしないけれど、新しい力は手に入れたな」ニッ 京太郎「さらにか」 衣「京太郎のおかげだぞ、衣が強くなれたのは」ニコッ 京太郎「そうか?」 衣「そうだ♪」 京太郎「そういえば……」テクテク ハギヨシ「どうなされました?」 京太郎「さすがのタイミングですね、風呂っていつ頃入って大丈夫ですか?」 ハギヨシ「今なら平気ですよ」 京太郎「じゃあ、行ってきます~」 ハギヨシ「今(の好感度)なら(怒られないから)平気ですよ」ニコッ 風呂- 京太郎「ん~相変わらずうちより全然広いなぁ」 京太郎「ん、あれ……誰か」 京太郎「あ、歩!?」 歩「ひゃっ、京太郎!?」ビクッ 京太郎「す、すまんすぐに出るから!」 歩「待って!」 京太郎「お、おう?」 歩「ま、前もだったし、別に良いよ」 京太郎「そ、そっか……じゃ、じゃぁ……」 ザァァァァッ 京太郎(無感情でただ頭を洗え) チャプン 京太郎「……」 歩「あはは、温かいねー」 京太郎(前より、近い……?) 歩「あのさ」スッ 京太郎「ち、近いぞ」 歩「……女として見てくれてるんだ?」 京太郎「そりゃ、確かに気楽に話しかけられるやつの中でもお前ってトップクラスだけど、女として見ないとかはないし」 歩「ははっ、じゃあ、無理ではない……かなぁ」 京太郎「は?」 歩「京太郎と付き合う、とか」カァァッ 京太郎「へ?」 歩「だ、だからっ……そ、そういうこと」フィッ 京太郎「え、えっと……」 歩「どう、かな?」 京太郎「無理じゃないだろ、普通に考えて」 歩「へ?」 京太郎「だってさ、お前って可愛い方だろ明らかに」 歩「ふぇっ」カァァッ 京太郎「メイド服でスカート上げてあげてるとことか男は放っておかないって」 歩「ちょ、なにをっ!?」 京太郎「もうちょっとおもちがあればとは思うけど」 歩「う、うっさい!」 京太郎「だからさ、その……待っててくれよ、な?」 歩「えっと、なにが?」 京太郎「どうなるかわかんないけど、返事だよ」ポリポリ 歩「……うん!」ニコッ 三年後- 京太郎「卒業だな」 歩「そうだね」 京太郎「お前、あんまり変わらなかったな」 歩「……ごめん」 京太郎「なに気にしてるんだよ」ギュッ 歩「だって、こうして手をつないでるのは良いんだけど……腕組む時に当たってないでしょ?」 京太郎「べつにおもちがなくっても、柔らかいし」ニッ 歩「なななっ!」カァァッ 京太郎「まぁともかく、さ……」スッ 歩「へ?」 京太郎「えっと、もうプロとしての契約も済んでるしさ……結婚、しないか?」 歩「え……」 京太郎「透華たちに土下座したんだぞ『歩をくれ』って」 歩「そ、そんなことまで?」 京太郎「当然だろ……それで、これからもさ、こうやってなんでもない日常を過ごせたらなって思うんだよ……」 歩「うん」 京太郎「だから、一緒にさ、暮らさないか?」 歩「うん、これからも、京太郎と一緒が良い……」ギュッ 京太郎「おう」ニッ 歩「ずっとね♪」ニコッ 杉乃歩EXED チャプン 京太郎「……」 歩「あはは、温かいねー」 京太郎(前より、近い……?) 歩「あのさ」スッ 京太郎「ち、近いぞ」 歩「……女として見てくれてるんだ?」 京太郎「そりゃ、確かに気楽に話しかけられるやつの中でもお前ってトップクラスだけど、女として見ないとかはないし」 歩「ははっ、じゃあ、無理ではない……かなぁ」 京太郎「は?」 歩「京太郎と付き合う、とか」カァァッ 京太郎「へ?」 歩「だ、だからっ……そ、そういうこと」フィッ 京太郎「え、えっと……」 歩「どう、かな?」 京太郎「……」 歩「京太郎?」 京太郎「……」ボチャンッ 歩「京太郎!?京太郎!?メディック!メディ―――」 ハギヨシ「お待たせしました」 歩「京太郎が!」 ハギヨシ「のぼせてますね、おまかせください」 自室- 京太郎「ん、ここは俺の部屋……」 ガチャッ 京太郎「ん、透華?」 透華「起きてたんですの?」 京太郎「のぼせたのかそう言えば」 透華「えぇ、大丈夫ならこれはいりませんでしたわね」 京太郎「氷か?」 透華「えぇ」 京太郎「せっかくだしもらおうかな、せっかく透華が持ってきてくれたんだし」ニッ 透華「え、ど、どうぞ」カァッ 京太郎「あぁ、冷やっこい」 透華「そう」フフッ 京太郎「……あんま騒がないな」 透華「あっ、ま、毎度騒いでるわけじゃないでしょう!」 京太郎「おうおう」ナデナデ 透華「うぅ」カァァッ 京太郎「昔から、透華は人気者だったよな、なにもしないでも目立つし」 透華「京太郎もでしょう?」 京太郎「俺は悪目立ちだよ、中学の頃は不良だと思われるし」 透華「へぇ……」 京太郎「同じ金髪なのになぁ」 透華「そうですわね」スッ 京太郎(ち、近い……そういや透華のやつ俺のこと好きなんだよなぁ) 京太郎「んっ」ギュッ 透華「ひゃっ!?ななな、なんですの!?」 京太郎「いぃや、なんかまったく環境も家族も違うのに、こうやって一緒に居られるのって不思議だよなぁ、だいたい龍門渕に俺が入学できたってのもなんとも……」 透華「い、一緒にいたかったからですわ……」ギュッ 京太郎「おう、わかってるよ……」ナデナデ 透華「本当に、わかってますの?」 京太郎「わかってるさ、今はわかる……俺もお前がいないとダメだからな」 透華「へ!?」カァァッ 京太郎「そのまんまの意味だよ」 数年後- 歩「京太郎ーが帰ってきましたー!」 一「ん、海外に行ってたわりに早いねー」 智紀「いつもより早い」コクコク 京太郎「一応、俺ここの主人なんだけど?」 純「へ~敬語が良いのかぁ」 衣「衣もか?」 京太郎「いや……はぁ、もう良いかぁ……」 透華「お帰りなさい京太郎」ニコッ 京太郎「透華~!」ダキッ 透華「ちょっ、お腹の子に触りますわよ!」ドンッ 純「まぁそうなるわな」 一「まだ大きくなってないみたいだけどねぇ」 智紀「透華に弾き飛ばされて可哀そう」ギュッ 京太郎「智紀~」ギュッ 衣「衣もだ!」ギュッ 透華「人の旦那になにしてやがりますか!」 京太郎「いや、役得」 透華「う、浮気ですの京太郎!?」 京太郎「いや、そういうわけじゃ」 衣「そういえば今回の仕事は咲たちとも一緒だったと聞いた!」 京太郎「おま、変なことを!」 透華「ま、まさかぁっ!」 京太郎「落ち着け!」 透華「う、浮気なんて許さなくってよ!」 京太郎「違うって!」 一「まぁ、浮気なんてないだろうね」 純「だろうなぁ」 智紀「するとしたら館内の誰かだと思うけど」 衣「愛人なら衣がなるぞー!」 京太郎「なに勝手にへんな議論してるんだよ!」 透華「京太郎のへっぽこ旦那ぁ!」 ハギヨシ「やれやれですね」フフッ 龍門渕透華EXED 京太郎「ん、透華?」 透華「起きてたんですの?」 京太郎「のぼせたのかそう言えば」 透華「えぇ、大丈夫ならこれはいりませんでしたわね」 京太郎「氷か?」 透華「えぇ」 京太郎「せっかくだしもらおうかな、せっかく透華が持ってきてくれたんだし」ニッ 透華「え、ど、どうぞ」カァッ 京太郎「あぁ、冷やっこい」 透華「そう」フフッ 京太郎「……あんま騒がないな」 透華「あっ、ま、毎度騒いでるわけじゃないでしょう!」 京太郎「おうおう」ナデナデ 透華「うぅ」カァァッ 京太郎「昔から、透華は人気者だったよな、なにもしないでも目立つし」 透華「京太郎もでしょう?」 京太郎「俺は悪目立ちだよ、中学の頃は不良だと思われるし」 透華「へぇ……」 京太郎「同じ金髪なのになぁ」 透華「そうですわね」スッ 京太郎(ち、近い……そういや透華のやつ俺のこと好きなんだよなぁ) 京太郎「……」ナデナデ 透華「んっ……」 京太郎「……可愛いなぁ」 透華「ふぇっ!?」カァァッ 京太郎「やべ」 透華「そ、そろそろ寝ますわ!おやすみなさい!」シュバッ 京太郎「はえぇっ!って、嫌われてないよな?」 京太郎「ん、誰かからメールだ」 京太郎「誰からだろ?」 京太郎「ん、シロからか」 差出人:白望 本文『調子はどう、万全?』 京太郎「もうすぐ東京だからなぁ」 本文『もちろんだ、そっちはどうだ?』 差出人:白望 本文『豊音とエイスリンがもうテンション高い』 京太郎「ダルいのか」 本文『ちゃんと付き合ってやれよ』 差出人:白望 本文『うん、それじゃみんな楽しみにしてるから、東京で会おうね おやすみ』 京太郎「そうだなぁ」 本文『あぁ、東京でな! おやすみ!』 京太郎「お、良子さんからも来てる」 差出人:良子 本文『お久しぶりです、もうすぐインターハイですけれど大丈夫ですか?』 京太郎「おぉ、さすがにみんなインターハイの話題かぁ」 本文『えぇ、心の準備もできてますよ、東京も慣れてますからね』 差出人:良子 本文『なら平気ですね、もしかしたらはやりさんやすこやさんに絡まれるかもしれないので気を付けてくださいね』 京太郎「気を付けようがない」 本文『はい、心に留めておきます』 差出人:良子 本文『でも、私が呼び出したら来てくださいね?』 京太郎「ははぁ……」 本文『了解です(笑)』 差出人:良子 本文『冗談です、それではまた東京で good night おやすみなさい』 京太郎「おやすみなさいっと」 京太郎「お、次は雅枝さんだ」 差出人:雅枝 本文『もうすぐ東京やな、すっかり久しぶりやから、楽しみにしとるよ♪』 京太郎「それは嬉しい」 本文『俺も楽しみにしてますよ、また千里山の人たちと麻雀もやってみたいですし』 差出人:雅枝 本文『私とも打ってなぁ』 京太郎「ん」 本文『もちろんですよ、楽しみにしてます』 差出人:雅枝 本文『ありがとうな じゃあまた、おやすみな!』 京太郎「おやすみなさいっと」 京太郎「さて、ねるかなぁ」 京太郎「……もうすぐ東京だなぁ」 112日目終了- ?- 京太郎「今日もか」 「まぁな、もうすぐだぞ」ククッ 京太郎「んあ?」 「ほら、早くしろ」パチンッ 京太郎「お、おう?」 京太郎「恭子さんに会いに行くか」 「ん、そうか、あいつもか」 京太郎「はぁ?」 「いやなんでもない、都合が良いのか悪いのか」ハッ 京太郎「……?」ギィ 「どちらにしろ、もうすぐだ」 バタンッ 恭子「京太郎君か」 京太郎「……なんか疲れてます?」 恭子「なんかな、ん……荒川憩とやりあってからなぁ」 京太郎「そんなに強いんですか」 恭子「ん、正直化け物レベルやな、全力でなんとかやりあえて……まぁ勝ったけど」ハァッ 京太郎「本当に疲れてるんですね」 恭子「うん」 京太郎「姫松ってどうですか?」 恭子「主将は相変わらず強いし、漫もオカルトの発動がなんとかなりはじめたし、結構ええんとちゃうんかなぁ……あ」 京太郎「どうしました?」 恭子「主将が京太郎と会えんと寂しい~言うてたし、メールや電話だけでもしとき?」 京太郎「ん、はい」 恭子「告白までされたんやろぉ?」 京太郎「うぇ、なんで知ってるんですか!?」 恭子「へぇ、そうなんや」 京太郎「騙しましたね!」 恭子「ふふっ、でも羨ましいな」ボソッ 京太郎「へ?」 恭子「なんでもないよ」ニコッ 7月29日 113日目・朝- 京太郎「ふぁ……そういえば」 京太郎「誰に電話してみるかなぁ」 京太郎「美穂子さんに電話してみよう」 プルルルルッ 美穂子『もしもし?』 京太郎「あぁ美穂子さん、こんな朝にすみません」 美穂子『起きてたから気にしないで、どうしたの?』 京太郎「いえ、そういえば美穂子さんと池田の二人はいつ頃行くつもりですか?」 美穂子『そうね、八月の二日ごろには着くようにするつもりよ』 京太郎「なるほど」 美穂子『京太郎君はどうするの?』 京太郎「ん~、聞いてみないことにはどうにも」アハハ 美穂子『そう、なるべく早く会いたいわね』 京太郎「そうですね、じゃあこれで!」 美穂子『えぇ、またね』 京太郎「はい」 京太郎(朝ご飯までもうちょっと時間あるか)ウン 京太郎「せっかくだし朝ご飯まで時間つぶすかなぁ」 ガチャッ 京太郎「ん、衣だ」 衣「ん、おはよう京太郎!」 京太郎「朝から起きてるなんて珍しいなぁ」 衣「衣ももう子供じゃないからな、朝食だって作ってやるぞ!」 京太郎「おぉ、そのうち頼むよ」ナデナデ 衣「うむ!」 京太郎「昨日の話なんだけどさ」 衣「ん、魔断の力、わずかによみがえってきたきがするぞ」ニッ 京太郎「そりゃ安心だな、インターハイは化け物揃いだからな」 衣「うむ、心してかからねば!」グッ 京太郎「頑張れよぉっ!」ナデナデ 衣「うん!」ニコッ 京太郎「ふぅ、ハギヨシさんの御飯は相変わらずおいしかったぁ」 ハギヨシ「京太郎君もすっかりお上手になっているじゃないですか」 京太郎「うれしいですねー」 京太郎「そういえば、お前あれからどうだ?」 歩「あれからって?」 京太郎「普通に、麻雀の話だよ、一応麻雀部の補欠なんだから頑張ってもらわないとな!」 歩「うん、調子が良いと思う……あともうちょっとなにかれば掴めそうなんだけど」ムムッ 京太郎「頑張れよ!」ナデナデ 歩「うん、ありがと」ニコッ 京太郎「さて、どうするかなぁ」 京太郎「一、特訓だ!」 一「またぁ、絶対食べないでよ?」 京太郎「おう」 一「目を見て答えてよ」 京太郎「よし、精神統一だ」 一「えー」 京太郎「強くなるためだ!」 一「はいはい」スッ 京太郎「……」 一「」チラッ 京太郎「……」zzz 一「寝てるのかい!」バシッ 京太郎「へぶっ」 昼前- 京太郎(さて、どうするかなぁ) 京太郎「ハギヨシさん」 ハギヨシ「どうしました?」 京太郎「ハギヨシさんは、悩みとか無いんですか?」 ハギヨシ「……無いわけではないですよ」 京太郎「たとえば?」 ハギヨシ「私がいなくなったら龍門渕家はどうなるのかと、いや、正確には私が安心して透華お嬢様や衣様を任せられるに人間がいないことが悩みです」 京太郎「え、なにかあるんですか?」 ハギヨシ「えぇ、私がいなくなったら……京太郎君に後を継いでもらいたいと、いかがでしょう?」フフッ 京太郎「……」 京太郎「……」コクッ ハギヨシ「ありがとうございます、すぐにでも出ていきたいのですが君に色々と引き継がねばならないこともありますからね」 京太郎「はい……」グッ ハギヨシ(ええ、貴方なら安心です) 10年後- 「帰ってきましたね」 ギィッ 「ハギヨシ、お帰りー!」 パァンッ 「これは、どういうことですか?」 衣「おぉ、ハギヨシが驚愕しているぞ!」 透華「はじめてみましたわね」 ハギヨシ「どうして、わかりました?」 純「うちの執事は優秀なんで」 一「ほんと、どうかしちゃったかと思ったけどねぇ、もう8年以上も姿くらましてたハギヨシさんが帰ってくるなんて言い出して」 歩「やっぱりハギヨシさんほど尊敬できないのが良いところです」 ハギヨシ「……なるほど」フッ 京太郎「お帰りなさい、ハギヨシさん」 ハギヨシ「すっかり、板についていますね」 京太郎「そりゃ、もう10年近くやっていますから」 透華「いつまで経っても私たち相手にだけ執事っぽくないのですわ!」 京太郎「それが俺の良さだからな」フッ 透華「まぁ、その方が私としても良いですわ……京太郎は京太郎、ハギヨシはハギヨシですもの」ニコッ ハギヨシ「……」 京太郎「お帰り……ハギヨシ」ニッ ハギヨシ「えぇ、ただいまお戻りしました、京太郎」フッ ハギヨシEXED 京太郎「ハギヨシさん」 ハギヨシ「どうしました?」 ハギヨシ「5日からのことですか、“彼女”にも聞いたでしょうけれど、宮永咲さんとの決戦があります」 ハギヨシ「まず朝にその日、決戦へ赴くかどうかですね、行かなくても行くでもどちらでも良いでしょう」 ハギヨシ「しかし、そのまま放置すれば大変なことになるのでできる限り早く行きましょう、最も楽なのが5日に戦うことでしょう」 ハギヨシ「そして5日からできることと言えば今までと変わりません、違うことと言えば一部を除いた他県の生徒たちも一いるということでしょう……以上です」 ハギヨシ「あぁあと……やはり貴方に龍門渕を任せて良かった、京太郎」フッ 京太郎(どうするか、このまま昼食いただくか、それとも出て他のとこで食べるか……)ムムッ 京太郎(電話でもするか、誰にしよう?) 京太郎「咏さんに電話してみるか」ソソクサ プルルルッ 咏『もしもし、どうしたん?』 京太郎「いえ、なんとなく電話してみたくなったんで」 咏『へぇ、なんとなくであたしに連絡したんだぁ~嬉しいかも』 京太郎「あはは、なんか照れます」ハハッ 咏『まぁもうすぐ東京なんだし、そしたら沢山会えるし!』 京太郎「そうですね、じゃあまた!」 咏『うん、またね!』 プツッ 京太郎「……さて、頑張るかな!って昼かぁ」 昼過ぎ- 京太郎(結局昼御飯もいただいたな……) 京太郎「さて、どうするかなぁ」 京太郎「これが、俺の素敵滅法!」 ハギヨシ「まだまだですが、光るものはあります」フッ 夕方- 京太郎(さてと、そろそろ帰るのも手か……) 京太郎「ハギヨシさ~ん♪」 ハギヨシ「おやおや、どうしました?」 ハギヨシ「危険ですか、そうですね……選択による危険ですが、件の三尋木咏さんは東京に行けば強制的にイベントが発生するでしょう」 ハギヨシ「そして一番の問題は『??』が溜まっている方ですけれど、こちらでは誰一人として危険な方はいません」 ハギヨシ「危険な方は、そうですね……愛宕洋榎さんが危ないでしょう、連絡は早めにとっておかないと東京に行った時が怖いですよ」フッ ハギヨシ「では、また細かいなにかを聞きたい時は……3ですね」ニコッ 夕方2- 京太郎(んっと……) 京太郎「メールを誰にするかなぁ」 京太郎「洋榎さんにメールしてみるか、恭子さんにも言われたし」 本文『今、暇ですか?』 差出人:洋榎 本文『暇!久しぶりやなガースー!』 京太郎「おぉ」 本文『久しぶりです、中々連絡取らずにすみません』 差出人:洋榎 本文『寂しかったで(怒) まぁこうしてメールくれたから良かったけど』 京太郎「あぁ」 本文『ほんとすみません、東京でまた会いましょうね!』 差出人:洋榎 本文『うん、絹もおかんも会いたがってるから、また泊まりに来たりもするやろし!』 京太郎「楽しいからなぁ、あそこの家」 本文『また行かせてもらったりもあると思います それじゃ、また東京で!』 差出人:洋榎 本文『うん、楽しみにしとるよ~♪』 京太郎「ん、洋榎さんと絹恵さんの写メか……良いね!」グッ 夜- 京太郎「うわ、もう暗い!」 透華「またですの?」 京太郎「そういや前もあったなぁ……さて、帰るか、ありがとな」ナデナデ 透華「べ、別に構いませんけど……気を付けて」 京太郎「おう、それじゃぁな!」 深夜- 自宅- 京太郎「どうするかなぁ」 京太郎「ネトマでもするかな!」 一人目 グラマス 二人目 とよねー 三人目 どらごん 京太郎「健夜さんに豊音さんに玄さんかぁ」 グラマス:さて、やろうか!私に勝って見せてね! キョータロ:頑張ります! とよねー:よろしくねーがんばるよー どらごん:お任せあれ! 京太郎「お前の運命は俺が決める……!」 トップ グラマス 二着 京太郎 三着 とよねー ラス どらごん どらごん:やっばいのです とよねー:ちょーつよいよー キョータロ:もう無理 グラマス:あはは、最近自信ついてきたよ! キョータロ:いや、ほんと……これでまだ力があるんだから勘弁ですよ グラマス:普通にやればこれだね キョータロ:見抜けなんだ どらごん:お疲れ様! とよねー:おつかれさまだよー 京太郎「お疲れ様っと」 京太郎「豊音さんからか」 とよねー:ちょー強かったねー、京ちゃんでも勝てないなんてー キョータロ:あの人は別格ですよ、まぁ俺が勝てない人なんて案外いたりしますけど とよねー:えーちょー気になるよー、でも東京でまた会えるね、楽しみにしてるよー キョータロ:俺も楽しみにしてます! とよねー:またねー 京太郎「ん、ログアウトしたのか……さて、どうするかな」 京太郎「玄さんからか」 どらごん:インターハイ、私大丈夫かな? キョータロ:大丈夫ですよ! どらごん:だって私ボロボロで キョータロ:相手はとんでもだったんで大丈夫ですよ! どらごん:その中にキョータロ君が入ってるんだけどね? キョータロ:まぁとりあえず、また東京で会いましょう! どらごん:うん、またね! 京太郎「ログアウトしたかぁ」 京太郎「さて、寝るかなぁ」 京太郎「カピー?」 京太郎「……寝るか」パチンッ 113日目終了- ?- 京太郎「ん?」 「大罪同士で争わないんだな」ククッ 京太郎「は?」 「なんでもない」パチンッ 京太郎「はぁ?」 京太郎「淡に会いに行くかな」 「好きにしろ」 京太郎「おう」ギィッ 「どうなるか、だな」ククッ バタンッ 京太郎「よう淡」 淡「京太郎だ!」 京太郎「おう淡!」 淡「どうしたの?」 京太郎「なんとなくだよ、会いたくなっただけ」 淡「へぇ~嬉しいなぁ~」ギュゥッ 京太郎「抱きつくな!」 淡「やっこい?」 京太郎「もうちょっと大きくなってから言え」 淡「……えっち」カァッ 京太郎「うるせぇよ」 京太郎「白糸台って、どうなってたんだ?」 淡「ちょっとピリピリしてきたねー三連覇がかかってるから」 京太郎「だよなぁ、うちも見習ってほしいよ」 淡「えー大変だよー?菫なんて生理かってぐらい」 京太郎「そういうこと言うなよ!」 淡「う、うん、とりあえずみんな会いたがってたからね、またね!」フリフリ 京太郎「お、おう、またな!」